夜間高血圧は、脳卒中や心疾患による死亡率が非常に高いため、注意したい症状の一つです。
夜間高血圧の原因はさまざまですが、代表的な原因として自律神経障害が挙げられます。
本記事では、夜間高血圧と自律神経について、以下の点を中心にご紹介します。
- 夜間高血圧と自律神経の関係
- 自律神経障害による夜間高血圧の対策
夜間高血圧と自律神経の対処のためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
自律神経に興味がある方は下記の記事も併せてお読み下さい。
自律神経とは、内臓や代謝、体温といった体の機能を24時間体制でコントロールする神経のことです。心と体を活発にする交感神経と、休ませる副交感神経がバランスを取りながら、私たちの体を支えています。自律神経が不調をきたしたり乱れたりす[…]
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夜間高血圧とは
夜間高血圧とは、夜間に血圧が高い状態が維持される状態です。
具体的には、夜間血圧の平均値が120/70mmHgを超えると、夜間高血圧と診断されます。
夜間高血圧は多くの場合、自覚症状はありません。
しかし、本来なら身体が休息する時間帯にも、心臓や血管が働ている状態が続きます。
その結果、心臓や血管に大きな負担がかかってしまい、心疾患や脳血管障害のリスクが上昇します。
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夜間高血圧と自律神経の関係
夜間高血圧の原因はさまざまですが、代表的な原因として自律神経障害があげられます。
自律神経は全身の器官をコントロールする神経で、具体的には内臓機能の調節やホルモン分泌をつかさどります。
自律神経は、血圧の変動と深いかかわりがあります。
そのため、自律神経に障害が起こると夜間高血圧などの血圧異常が起こりやすくなります。
前提として、自律神経は交感神経と副交感神経から成り立ちます。
交感神経はアクセルの役目を果たす神経で、全身の血流や代謝をあげることで心身の活動性を高めます。
交感神経が優位になると、血圧は上がります。
たとえば、昼間や緊張時は交感神経が活性化するため、血圧は上がりやすくなります。
一方、副交感神経はブレーキの役目を担います。
活動性を低下させることで心身をリラックスさせ、疲労を回復させるのが主な働きです。
副交感神経が優位になると、血圧は低くなります。
夜間は副交感神経が優位になるため、血圧も低くなるのが一般的です。
しかし、自律神経に異常が起きると、交感神経と副交感神経のバランスが崩れます。
具体的には、交感神経の比重が大きくなり、副交感神経の働きが低下します。
つまり、アクセルを踏み続ける状態になるため、常に血圧や脈拍が高い状態で維持されます。
結果として夜間や睡眠中でも血圧が下がりにくくなり、夜間高血圧という状態に陥ります。
自律神経が異常になる状態は、「自律神経障害」または「自律神経失調症」と呼ばれます。
ちなみに自律神経障害の原因は、心理的ストレス、疲労、生活習慣の乱れなどが代表的です。
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自律神経障害による夜間高血圧の対策
自律神経障害による夜間高血圧では、脳卒中や心疾患のリスクが高くなります。
しかし、適切な対策を行えば、自律神経障害による夜間高血圧は改善を見込めます。
自律神経障害による夜間高血圧の主な対策について紹介します。
深呼吸
呼吸が深くなると副交感神経が優位になりやすいため、自律神経のバランスが整い、血圧が下がりやすくなります。
自律神経障害による夜間高血圧を抱えている方は、就寝前の深呼吸がおすすめです。
睡眠前に深呼吸をすると全身がリラックスするため寝つきがよくなります。
ちなみに、睡眠前には「3分呼吸法」が推奨されています。
やり方は以下の通りです。
- 5秒かけて鼻から息を吸う
- 10秒かけて口から息を吐く
- さらに5秒かけて息を吐き、肺に残った空気をすべて吐き出す
上記の過程を10~15回程度繰り返します。
適度な運動
適度な運動は全身の緊張をほぐす効果があるため、血圧の降下が期待できます。
適度な運動とは、ウォーキングや水泳といった有酸素運動が該当します。
反対に、激しい運動は交感神経を活性化させるため、かえって血圧を上げてしまいます。
さらに、睡眠前の激しい運動は寝つきを悪くするため、やはり避けるべきです。
適度な運動であっても、寝る直前に行うのはおすすめできません。
身体や神経が興奮し、寝つきが悪くなるためです。
ウォーキングや軽いジョギングなどの汗をかくような運動は、就寝3時間前までに終わらせるのがベストです。
3時間前までに運動を終わらせると、ちょうど就寝時間に脳の温度が下がるため、眠りにつきやすくなります。
一方、軽いストレッチや体操であれば、寝る前でも問題はありません。
ストレッチは筋肉がほぐれるため、全身がリラックスして副交感神経が優位になりやすいです。
あるいは、腹式呼吸も良い運動法です。
運動が苦手という方は、3分呼吸法などを試してみましょう。
良質な睡眠
睡眠不足になると、自律神経のバランスが崩れやすくなります。
たとえ睡眠時間が確保できていても、日中に強い眠気がある場合は、やはり睡眠不足にカウントされます。
睡眠不足を解消するには、睡眠の質をあげることが大切です。
良質な睡眠は副交感神経を優位にするため、血圧が下がりやすくなるからです。
良質な眠りを得る方法として、就寝前の入浴があげられます。
シャワーだけで済ませるのではなく、湯船にしっかり浸かって全身を温めましょう。
全身が温まると、筋肉の緊張がほぐれ、副交感神経が優位になりやすくなります。
ちなみに、眠気は体温が下がる頃にあらわれやすいです。
就寝前にお風呂に入れば、ちょうど就寝時間ごろに体温が下がり始めるため、眠りに入りやすくなります。
熱すぎるお風呂は交感神経が活発化するため、かえって逆効果です。
湯温は好みにもよりますが、ややぬるめのお湯にゆっくり浸かるのがおすすめです。
入浴は就寝の2~3時間前に終わらせるのがベストです。
良質な睡眠を得るには、入浴のほか、マッサージや温かい飲み物を飲むのも良い方法です。
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夜間高血圧の種類
夜間高血圧は、血圧変動の仕方によって、いくつかのタイプに分類されます。
代表的な4タイプを紹介します。
ディッパー型
血圧変動が正常なタイプです。
具体的には、夜間の血圧が昼間の血圧より10~20%低くなります。
エクストリーム・ディッパー型
夜間の血圧が昼間の血圧より20%以上低下するタイプです。
夜間高血圧の種類のうち、血圧の低下の仕方がもっとも過剰なタイプでもあります。
高齢者の方は、自覚症状のない脳梗塞が進行しているケースが多いです。
ノン・ディッパー型
夜間の血圧が昼間とあまり変わらないタイプです。
具体的には、昼間とくらべて血圧が0~10%程度しか低くなりません。
正常型であるディッパー型と比べると、脳血管障害・心疾患・その他の臓器障害による死亡リスクが高いです。
ライザー型
夜間の血圧が昼間よりも高くなるタイプです。
他のタイプと比べて、脳血管障害・心疾患による死亡リスクが非常に高くなります。
ライザー型の方のうち、睡眠不足を抱えている方は、死亡リスクが相乗的に増加します。
体内時計の乱れは高血圧につながる?
自律神経は、体内時計に沿って活動しています。
そのため、体内時計が狂うと自律神経のリズムも狂い、結果として血圧調整がうまくいかなくなります。
通常の体内時計どおりならば、朝目が覚めると交感神経は自然と活発化します。
血圧が上昇するため、日中を活動的に過ごすことができるのです。
夜間になると、今度は副交感神経が優位になります。
副交感神経の働きによって血圧や脈拍が下がるため、全身が休息モードに切り替わります。
体内時計が狂うと、自律神経にも乱れが生じます。
たとえば、夜になっても副交感神経が活発化せず、交感神経が優位性を保ち続けるために、夜間高血圧のリスクが高まるのです。
体内時計が乱れる原因はさまざまです。
たとえば、睡眠不足や運動不足、偏った食生活などが代表的です。
寝る直前のブルーライトや、睡眠リズムの不規則さも、体内時計を狂わせる原因です。
体内時計を整えるには、生活リズムや睡眠リズムを毎日一定に保つことが大切です。
また、起床直後に朝陽を浴びることや、朝食をしっかり摂ることは、体内時計を正常に保つのを助けます。
自律神経失調症の原因について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
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夜間高血圧と自律神経のまとめ
ここまで、夜間高血圧と自律神経の関係についてお伝えしてきました。
要点を以下にまとめます。
- 夜間高血圧は、自律神経が乱れることで起こりやすくなる
- 自律神経障害による夜間高血圧は、深呼吸、適度な運動、質の良い睡眠を心がけることで対策できる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。