在宅介護を行う際に検討されることもあるのが手すりの設置です。
玄関やトイレなど必要な箇所や種類も多く迷いやすい手すりの設置ですが、どのような種類や設置場所があるのでしょうか?
今回は、在宅介護に適した手すりの設置についてご紹介した上で、その利用方法や助成制度についてもご紹介します。
- 一般的に玄関に対して行われる改修内容
- レンタルできる手すりの種類
- 玄関の改修が大事な理由
ぜひ、最後までご覧ください。
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介護のためのリフォームとは?
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令和3年総務省統計局のデータでは、2021年9月15日現在の高齢者人口は3,640万人で、総人口に占める割合は29.1%となり過去最高となっています。
高齢者介護の問題は高齢化が進む日本の社会問題の一つであり、在宅介護を行うための住環境の整備も見過ごせない課題の一つです。
たとえば、車いすで生活をされている方が段差の多い家で生活するのは困難です。
また、自力で立ち上がれない方が手すりのない環境で生活するのも容易ではありません。
代表されるリフォーム内容には、車いすや歩行器を使用した生活ができるように玄関スロープや段差解消などのリフォームがあります。
また、玄関や各部屋のドアを開き戸から引き戸に変更し出入りしやすくするリフォームも主流です。
介護に対する協力動作を得るためや転倒防止を目的として、トイレや浴室、生活導線への手すりの設置なども需要の高い環境整備です。
手すり設置程度の改修費用であれば、介護保険の住宅改修サービスで安価に取り付けが可能になります。
さらに費用をかけられる方は、洋式トイレへの変更や階段昇降機の設置、またぎやすい浴槽への交換など、大規模なバリアフリー住宅へのリフォームも行うことも多くあります。
高齢者の独居世帯や高齢夫婦のみの世帯が増えていく中で、このような住宅リフォームは欠かすことのできない在宅介護対策の一つです。
元気なときは気にならなくても足腰が弱くなって介護が必要になってくると、家の中の生活もしにくくなります。そこで検討したいのがリフォームです。リフォームをすることで介護される方だけでなく、介護する方にとっても負担が軽減されます。[…]
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介護用手すりとは?
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ドアや手すり、スロープの設置などの玄関リフォームは、要介護者が在宅生活を継続するための重要な環境整備です。
仮に、排泄や入浴などは介護保険サービスの利用によって対策可能ですが、玄関の環境整備が不十分ではそもそも住宅への出入りが困難となります。
以下、介護リフォームに関する手すりの設置について説明します。
手すりの設置の効果とは?
手すりの設置は足腰の筋力が低下した高齢者や身体に麻痺のある方などに有効です。
とくに非バリアフリー住宅の玄関では、靴の着脱を行う上がり框(かまち)が20~30cm程あったり、玄関外に数段の段差があったり、階段になっている場合もあります。
身体機能が低下した要介護者にとって、こういった非バリアフリーの環境の玄関を出入りすることは容易ではありません。
バランスを崩せば転倒や転落の危険性も伴います。
手すりを設置することで下半身だけに頼っていた力が分散され、安全な段差昇降を行えるようになるほか、介助者が歩行や立ち上がり介助を行う際の負担軽減にも役立ちます。
高齢者の転倒は、軽い尻もち程度の転倒でも骨折につながるケースは少なくありません。
一度の転倒による骨折が身体機能を著しく低下させてしまう恐れもあり、手すり設置は住宅改修の中でも需要の高い改修になります。
手すりの種類は?
設置できる手すりにはいくつか種類があります。
以下、据え置き型、突っ張り型、工事取り付け型について特徴や利点をお伝えします。
据え置き型
据え置き型の手すりは、金属板などに固定された手すりを置く形で設置するタイプの手すりです。
ソファーやベッドサイドに設置することで、立ち上がり動作を補助できます。
中には、据え置き組み合わせ型といわれるような手すりもあり、バーを連結させL字型にしたり、コの字型にしたりして配置できるもがあります。
方向転換などの動作を行う際に有効です。
据え置き型は住宅の壁に穴を開けることなく設置できるため、壁を傷つけたくない場合や賃貸住宅に住んでいる方に人気の手すりとなります。
突っ張り型
突っ張り型は、天井と床を突っ張り棒のような形で固定し設置するタイプの手すりです。
突っ張り型に関しても壁に穴を開けることなく設置ができるため、賃貸住宅での生活でも利用が可能です。
通常の突っ張り型手すりの場合、縦型の手すりとして機能するため手すりに掴まって身体を引き上げるような動作で使用します。
前述した据え置き型の手すりは押し上げる動作が中心で、突っ張り型の場合には引き上げる動作が中心になります。
いずれも使う筋肉が異なるため、要介護者の身体状況に応じてどちらのタイプが適しているかを判断しなければなりません。
判断に迷う場合は、リフォーム業者やケアマネジャーへ確認することで専門的な視点から適したものを紹介してもらえます。
工事取り付け型
工事取り付け型は壁に固定する形で設置する手すりです。
賃貸住宅では壁に穴を開けることができない場合がほとんどですので、大抵は持ち家の場合に使用される設置手段です。
壁に直接設置するため場所をとらず、環境や身体状況にあわせて縦横自在に設置できるため、もっとも自由度の高い設置方法といえます。
工事取り付け型の場合にかかる費用の相場は、1mあたり5,000~7,000円が相場となります。
詳しいことは後述しますが、要介護認定を受けられている方の場合、介護保険の住宅改修サービスの利用によって設置されるのが一般的です。
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介護用の手すりの設置場所
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介護用手すりの主な設置場所は以下のようなところです。
玄関 | 廊下 |
寝室 | トイレ |
浴室 | 階段 |
それぞれの設置場所の目的と適したタイプ、ポイントについてご紹介します。
玄関
玄関用の介護用手すり設置の目的とタイプ、ポイントは以下の通りです。
設置目的 | 靴の脱ぎ履き動作のサポート |
タイプ | 縦型もしくはL字型の手すり |
ポイント |
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玄関用には使わないときは片づけることのできる据え置き型の手すりもあります。
廊下
廊下の介護用手すり設置の目的とタイプ、ポイントは以下の通りです。
設置目的 | 本人の生活導線に合わせた場所に設置し歩行をサポート |
タイプ | 水平型の手すり |
ポイント |
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寝室
寝室の介護用手すり設置の目的とタイプ、ポイントは以下の通りです。
設置目的 | ベッドやふとんからの立ち上がりをサポート |
タイプ | 据え置き型の手すり |
ポイント |
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トイレ
トイレの介護用手すり設置の目的とタイプ、ポイントは以下の通りです。
設置目的 | トイレの立ち座り動作のサポート |
タイプ | 縦型もしくはL字型の手すり |
ポイント |
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浴室
浴室の介護用手すり設置の目的とタイプ、ポイントは以下の通りです。
設置目的 | 浴槽の立ち座り動作のサポート |
タイプ | L字型の手すり |
ポイント (深さ50~55㎝の標準的な浴槽の場合) |
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階段
階段の介護用手すり設置の目的とタイプ、ポイントは以下の通りです。
設置目的 | 階段の上がり下り動作のサポート |
タイプ | 階段の上がり下り動作のサポート |
ポイント |
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介護用手すりの選び方
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介護用手すりを選ぶ際のポイントには以下の3つがあります。
- 手すりの高さ
- サイズ・素材
- 太さ・形状
それぞれのポイントをご紹介します。
手すりの高さ
手すりの高さは利用者の身長や身体状況に合っていることが重要です。
また、高さは利用者の何をサポートするかによっても変わります。
サポートする目的には以下のようなものがあります。
- 立ち上がりのサポート(玄関、寝室、トイレ、浴槽)
- 廊下の歩行のサポート
- 階段の上がり下りのサポート
一般的には、地面から手すり上部までの高さは75~85㎝になっています。
サイズ・素材
手すりの素材は木製や金属製など様々あります。
設置場所に合わせて選ぶ必要があります。
素材を選ぶポイントは以下のようになります。
- 屋外に設置の場合は、ステンレスなどの金属だと夏冬の気温に影響されやすい
- 触り心地を重視する場合は木材
- 浴室などでは防水や滑りにくい素材が安心
サイズは手すりを設置するスペースも考慮することが必要です。
考慮するポイントは以下のようなものです。
- 体をぶつけないか
- 介助の妨げにならないか
太さ・形状
手すりの太さや形状も選ぶ際の重要なポイントです。
太さは利用者の手のサイズや握力を考慮した握りやすい太さとします。
一般的には直径28~45mmとなっています。
自宅用では公共の場で設置されているよりは少し細めが良いでしょう。
手すりが握りにくい場合は手やひじを乗せたまま移動できる楕円形のタイプもあります。
手すり設置の費用を安くしたいなら
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住宅リフォームの中では、手すり設置は比較的費用の安い項目になりますが、いくつも手すりを設置すれば費用はかさみます。
そのような場合、介護保険サービスをはじめとした制度の有効活用によって費用を抑えることが可能です。
以下、安価に手すりを設置できる方法について説明します。
福祉用具貸与を利用する
福祉用具貸与は介護保険サービスの一つです。
福祉用具貸与は、介護保険による要介護認定を受けている場合、自己負担1~3割で福祉用具がレンタルできます。
手すりに関しては要支援1以上からレンタルでき、住宅の壁に穴を開けられない方に需要のあるサービスです。
前述した据え置き型の手すりや、突っ張り型の手すりのレンタルが可能です。
利用の際には担当ケアマネジャーへ相談し、ケアプランを立ててもらうことで利用できるようになります。
月額利用料金は手すりの種類ごとに異なりますが、3,000~5,000円が一般的でそこから自己負担分1~3割を支払うことになります。
居宅介護住宅改修費を利用する
居宅介護住宅改修費も介護保険サービスの一つです。
在宅介護を目的とした住宅改修費用の一部が、介護保険サービスとしてまかなわれます。
原則要介護者1人つき1回の利用とされており、最大20万円を上限として1~3割の自己負担割合に応じて改修サービスを利用できます。
ただし、要介護度が3段階(要支援の場合には4段階)上がった場合には、再度住宅改修サービスの利用が可能です。
夫婦2人世帯の場合は夫婦それぞれにサービス利用権利があるため、合計しての利用も可能です。
介護保険が適用となる改修内容は以下の通りです。
- 手すりの取り付け
- 段差の解消
- 床や通路の床材変更
- 洋式便器への取り替え
- 扉の取り替え
- 付帯工事
住宅特定改修特別税額控除を利用する
住宅ローン所得税控除は投資型減税、ローン型減税、住宅ローン減税にわけられますが、住宅特定改修特別税額控除は投資型減税にあたる控除です。
住宅ローンを利用せずとも受けられ、バリアフリー改修などを行った際に所得税控除が受けられる仕組みです。
住宅特定改修特別税額控除には適当となる期限が定められており、令和3年12月31日までに改修工事を済ませ、その家屋に居住することが条件になります。
また、平成26年4月1日以降の改修工事では補助金などを控除した改修費用が50万円以上の場合に適用され、合計所得が3,000万円以下である必要があります。
さらに、控除対象期間は一年で控除限度額は200万円です。
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どこに設置すればいいか分からない場合は?
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一般的に手すりを設置する高さは、股関節周囲の大腿骨大転子(だいたいこつだいてんし)がちょうどよい高さとされています。太ももの骨の一番上の、少し出っ張った部分です。
また、手足が長い方の場合には橈骨茎状突起(とうこうつけいじょうとっき)と呼ばれる手首と親指の付け根付近にある突起部分を基準にするとよいです。
気をつけの姿勢をとった際の橈骨茎状突起の位置が基準の高さとなります。
階段に手すりを設置する際には、降りる場面を想定した高さで手すりを設置します。
利き手もしくは麻痺していない方に手すりを設置するのが一般的です。
介護保険サービスを利用した手すり設置の場合、住宅改修サービスにせよ福祉用具貸与にせよいずれもケアマネジャーへ相談する形となります。
ケアマネージャーも改修業者も専門家ですので、わからないことがあれば相談しましょう。
ケアマネージャーについて詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
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介護における手すりのまとめ
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要点を以下にまとめます。
- 一般的に玄関に対して行われる改修内容は、スロープの設置や手すりの設置
- レンタルできる手すりの種類は、据え置き型と突っ張り型
- 玄関の改修が大事な理由は、車いすの方などが自宅の出入りが難しくなってしまうから
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。