約100人に1人が発症するといわれている「統合失調症」。症状の進行や加齢に伴い、ご本人やご家族だけで自宅生活を継続することが難しくなり、介護施設や障害者施設の利用を検討される方が増えています。
「統合失調症でも介護施設に入居できるの?」「どんな施設を選べば安心して暮らせるの?」と疑問や不安をお持ちの方も多いでしょう。
本記事では、統合失調症の方の施設受け入れ事情をはじめ、適した施設の選び方、精神障害者グループホームの仕組み、利用メリットや費用(負担上限月額)についてわかりやすく解説します。
- 統合失調症の主な症状(陽性症状・陰性症状・認知機能障害)
- 介護施設・障害者施設の受け入れ事情と制度の適用(介護保険・障害福祉)
- 失敗しない施設選びの3つのポイント
- 精神障害者グループホーム(共同生活援助)の概要と入居条件
- 施設利用のメリットと費用(自己負担の上限月額)
ご本人やご家族が安心して適切な支援を受けられるよう、施設探しの参考にしてください。

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統合失調症とは?症状の種類と特徴
統合失調症は、こころや考えがまとまらなくなってしまう精神疾患の一つです。脳の神経伝達物質のバランスが崩れることが原因と考えられていますが、明確な発症原因は解明されていません。
症状は大きく分けると「陽性症状」「陰性症状」「認知機能障害」の3つに分類され、症状の現れ方には個人差があります。
統合失調症の3大症状
| 症状の分類 | 主な具体例 | 特徴・状態 |
|---|---|---|
| 陽性症状 | 幻覚(幻聴・幻視)、妄想(被害妄想・関係妄想)、思考の混乱、興奮状態 | 実際にはないものを感じたり、事実と異なる強い思い込みが生じる状態 |
| 陰性症状 | 意欲の低下、感情鈍麻(喜怒哀楽が薄れる)、会話の減少、引きこもり | 感情や意欲、活動性が乏しくなり、自発的な行動が難しくなる状態 |
| 認知機能障害 | 記憶力の低下、集中力・注意力の低下、計画や段取りが立てられない | 情報処理能力が低下し、家事や仕事、対人関係に支障をきたす状態 |
急性期には陽性症状が目立ちますが、慢性期に入ると陰性症状や認知機能障害が中心となるケースが多く、症状の段階に応じた適切なサポートと服薬管理が不可欠となります。

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統合失調症の方の施設受け入れ事情
統合失調症の方が施設を利用する場合、年齢や身体状況によって「介護保険施設」と「障害福祉サービス施設(グループホーム等)」の2つの選択肢があります。

1. 制度の使い分け(65歳以上の壁と優先原則)
- 65歳以上の方:原則として介護保険制度が優先適用されます。要介護認定を受けることで、特別養護老人ホーム(特養)や介護付有料老人ホームなどの介護施設を利用できます。
- 64歳以下の方:統合失調症は介護保険の「特定疾病(16種類)」には該当しないため、65歳未満の方が統合失調症のみを理由に介護保険を利用することはできません。そのため「障害者総合支援法」に基づく障害福祉サービス(精神障害者グループホーム等)を利用するのが一般的です。
2. 介護施設での受け入れ対応の実情
介護保険施設や民間有料老人ホームにおいて、統合失調症の方の受け入れ可否は施設ごとに判断が異なります。
- 受け入れが難しくなるケース:大声・興奮・暴言などの激しい陽性症状がある、他者への被害妄想が強い、夜間不眠で徘徊や大声を出すなど、他の入居者の生活や安全に著しい影響を与える恐れがある場合。
- 受け入れが可能なケース:服薬コントロールにより病状が安定している、集団生活に大きな支障がない、精神科医療機関との連携体制が整っている場合。
病状が落ち着いており、手厚い看護・介護体制や精神科のバックアップがある施設であれば、受け入れてもらえる可能性は十分にあります。
統合失調症の方に適した施設を選ぶ3つのポイント
統合失調症の方が安心して施設で過ごすためには、環境選びが非常に重要です。以下の3つのポイントを必ず確認しておきましょう。
1. 精神科・心療内科との医療連携体制があるか
統合失調症の治療・維持において、継続的な服薬と定期的な医師の診察は最も重要です。
- 施設に精神科の嘱託医がいるか
- 提携している精神科医療機関があり、緊急時の往診や入院手配がスムーズか
- 精神科訪問看護や往診を受け入れられる体制があるか
かかりつけ医への通院が難しい場合に備え、協力医療機関との連携体制を事前に確認しましょう。
2. 統合失調症や精神疾患の受け入れ実績があるか
看護師や介護スタッフが精神疾患に対する正しい知識と接遇スキルを持っているかが大きなポイントです。
精神症状の対応に慣れているスタッフがいれば、幻覚や妄想による不安に寄り添った対応や、無理のない声かけを行ってくれます。過去の受け入れ実績や、精神科経験のある看護師の配置状況を相談員に尋ねてみましょう。
3. 服薬管理体制と落ち着ける住環境が整っているか
服薬を自己判断で中断してしまう(自己中断)と、症状の再燃・悪化(再発)に直結します。
- スタッフによる確実な服薬確認・配薬管理が行われているか
- 刺激が少なく、プライバシーが守られる個室環境が確保されているか
周囲の視線や大きな音が刺激となって症状が悪化することもあるため、静かで落ち着ける生活環境かどうかも見学時にチェックしましょう。
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精神障害者グループホーム(共同生活援助)とは?
64歳以下の方や、住み慣れた地域で自立した生活を目指す高齢者の方に多く利用されているのが「精神障害者グループホーム(共同生活援助)」です。
障害者総合支援法に基づき、数人〜十数人で共同生活を送りながら、世話人や生活支援員によるサポートを受けられます。
精神障害者グループホームの主な支援内容
- 日常生活のサポート:掃除、洗濯、買い物などの家事支援や食事の提供
- 健康・服薬管理:体調確認、病院への通院同行、毎日の服薬チェック
- 相談・人間関係のサポート:日常生活の困りごと相談、対人関係の調整
- 社会参加・就労支援:就労移行支援や作業所(就労継続支援A型・B型)への通院・通所サポート
入居条件と「精神障害者保健福祉手帳」
精神障害者グループホームに入居するには、原則として「障害福祉サービス受給者証」が必要です。また、申請の際に「精神障害者保健福祉手帳」の所持が求められるケースが多くあります。
精神障害者保健福祉手帳の等級(目安)
| 等級 | 障害の状態(判定基準の目安) |
|---|---|
| 1級 | 精神障害のため、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの(常時高度の援助・介護が必要) |
| 2級 | 精神障害のため、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの |
| 3級 | 精神障害のため、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの |
出典:厚生労働省「精神障害者保健福祉手帳」
※手帳は初診日から6ヶ月以上経過した時点で申請が可能です。お住まいの市区町村の障害福祉窓口や精神保健福祉センターへご相談ください。
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統合失調症の方が施設を利用するメリット
施設を利用することは、ご本人の生活の質の向上だけでなく、ご家族の負担軽減にも大きなメリットがあります。
1. 専門的なケアと規則正しい生活で症状が安定する
専門スタッフの見守りのもとで毎日の服薬が確実に行われるため、薬の飲み忘れによる再発リスクが大幅に低下します。また、バランスの良い食事や規則正しい生活リズム、レクリエーションなどを通じて、陰性症状や認知機能障害の改善・生活意欲の向上が期待できます。
2. ご家族の身体的・精神的負担(介護疲れ)を大幅に軽減できる
統合失調症の在宅介護では、「昼夜逆転への対応」「妄想や強い不安への傾聴」「服薬拒否との戦い」などにより、ご家族が精神的に追い詰められてしまうケースが少なくありません。
施設を利用することで、ご家族自身の生活や睡眠時間を確保でき、レスパイト(一時休止)効果が得られます。適度な距離感を保つことで、面会時に笑顔でご本人と接することができるようになるなど、家族関係の修復・良好化にも繋がります。
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施設利用にかかる費用と自己負担上限額
障害福祉サービス(グループホーム等)を利用する場合、サービス利用料は世帯の所得に応じた自己負担上限月額が設定されています。
障害福祉サービスの自己負担上限月額
| 区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
|---|---|---|
| 生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
| 低所得 | 市町村民税非課税世帯(※1) | 0円 |
| 一般1 | 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満 ※2) | 9,300円 |
| 一般2 | 上記以外の世帯(※3) | 37,200円 |
※1:3人世帯で障害基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象。
※2:収入が概ね600万円以下の世帯が対象。
※3:グループホーム利用者で市町村民税課税世帯の場合は「一般2(37,200円)」となります。
出典:厚生労働省「障害福祉サービスの利用について」
※上記サービス利用料のほか、施設での実費(家賃、光熱水費、食費、日用品費など)が別途必要となります。なお、非課税世帯のグループホーム利用者には、国の補助制度(特定障害者特別給付:月額最大10,000円の家賃補助)などが適用される場合があります。
また、65歳以上で介護保険施設(特養や有料老人ホームなど)に入居する場合は、介護保険の自己負担(1〜3割)と、居住費・食費・日常費用の合計を支払う形となります。

まとめ
統合失調症の方の施設利用について、重要なポイントをまとめます。
- 65歳以上は介護保険施設、64歳以下は障害福祉施設(精神障害者グループホーム等)が主な選択肢
- 病状が安定し、集団生活に大きな支障がなければ介護施設への入居も十分に可能
- 施設選びでは「精神科の医療連携」「精神疾患の受け入れ実績」「確実な服薬管理体制」を重視する
- グループホーム等の入居には障害福祉サービス受給者証や精神障害者保健福祉手帳(1〜3級)が活用できる
- 専門ケアによる本人の症状安定と、ご家族の介護負担軽減(レスパイト)に大きな効果がある
統合失調症の介護や生活支援でお困りの方は、一人で抱え込まずに、地域の地域包括支援センターや相談支援事業所、担当ケアマネジャーへお早めにご相談ください。ご本人の病状と希望に合った最適な施設を見つけていきましょう。


