介護付き有料老人ホームを利用するためには、月々の利用料金以外にも入居一時金が必要となります。
「有料老人ホームは高いのでは?」というイメージが一般的には強いのではないでしょうか?
介護付き有料老人ホームについてや費用の相場について解説しながら、負担費用を軽くする方法についてご紹介します。
- 介護付き有料老人ホームとは?
- 介護付き有料老人ホームの費用の相場は?
- 負担費用を軽くするには?
ぜひ、最後までご覧いただき、介護付き有料老人ホームを利用する際の参考にしてください。
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介護付き有料老人ホームとは
介護付き有料老人ホームとは、介護スタッフが24時間常駐しており、食事、入浴、排泄に至るまで日常生活におけるあらゆる介助サービスを受けることができる介護施設です。
施設名称 | 介護付き有料老人ホーム | 住宅型老人ホーム |
施設の特徴 | 要介護の方が介護や生活支援を受けて居住する施設 | 自立~要介護の方が生活支援を受けて居住する施設 |
入居対象者 | 要支援1~要介護5 | 自立・要支援1~要介護5 |
介護サービス | 24時間対応施設のスタッフが提供 介護度ごとの定額の費用 | 個人で外部サービス事業者と契約費用はサービス内容によって変動 |
主なサービス内容 | 介護サービス、生活支援、健康管理、食事の提供、リハビリ、レクリエーション | 身体介護、生活支援、健康管理、食事の提供のうち1つ以上を提供 |
費用 | 入居一時金:0~数億円 月額費用:13.5~25.5万円 注)施設によって異なります | 入居一時金:0~数千万円 月額費用:9~30万円 注)施設によって異なります |
メリット | 24時間介護サービスを受けられる 医療面も充実 毎月の支払いが安定 | 介護サービスを選択できる 利用していた介護業者を継続利用できる バリエーションが豊富 |
デメリット | 外部の介護サービスを併用できない 【自立】であっても介護サービス費用を支払う必要がある | 緊急時の介護対応が難しい 要介護度が高くなると負担額が割高になる可能性がある |
介護付き有料老人ホームの特徴
民間企業が運営している施設が多く、一定の基準を満たしていればよいため、
- 入居一時金がかからない施設
- 月額費用が100万円以上の高級な施設
- リゾート地のような施設
- ペット可の施設
- 温泉がある施設
など多様な施設があります。一般的な施設の特徴を詳しく見てみましょう。
生活支援
- 部屋の清掃や洗濯などの家事
- 買い物やさまざまな手続きの代行
- 本人が不在時の部屋の管理
- 入居中必要なものの購入
など日常生活に必要なさまざまなサービスを提供します。
健康管理・医療行為・緊急対応
日中は看護師が常駐しており、検温や血圧などをもとに
- 全身状態の観察
- 服薬管理
- 褥瘡(じょくそう)の確認
など健康管理をおこなっています。
協力医療機関と連携し、定期的な健康診断や訪問診察も行われます。
また、経管栄養や胃ろう、ストーマ、膀胱留置カテーテル、在宅酸素の管理などの医療行為もおこなわれます。
夜間緊急時は、看護師がオンコール体制で待機しており、病院に搬送できる体制が整っている施設もあります。
まれに医師が常駐し、24時間体制で看護師を配置している施設もありますが費用が高くなります。
食事
栄養バランスはもちろん、旬の食材を使ったメニューや行事にあわせたメニューなど入居者を楽しませる工夫がされています。
- 嗜好
- 嚥下機能によって刻み食やとろみ食
- 塩分やカロリー制限などの医療食
などさまざまな形態の食事にも個別対応しています。
リハビリテーション
身体機能や認知機能を維持するため、理学療法士や作業療法士によるリハビリもおこなわれます。
- 歩行訓練
- 筋力強化運動
- 嚥下機能を維持・改善する目的で口腔体操
などが実施され、日常生活の自立を促します。
認知機能を維持するために脳トレや音楽療法などもおこなわれます。
レクリエーション
介護スタッフが企画したゲームやカラオケ、手芸や工作など、さまざまなレクリエーションがおこなわれます。
行事や季節にあわせてお花見や夏祭り、小旅行などが企画されることもあります。
設備
個人のスペースとなる居室の規定は13㎡以上です。
洗面台やトイレの設備はありますが浴室付きの居室は少ないです。
その他共有スペースとしては食堂、浴室、リビング、多目的室、医務室・健康管理室、機能訓練室、その他の設備として看護・介護職員室、厨房、洗濯室、汚物処理室などがあります。
万が一の火災に備え、スプリンクラーを設置するなど安全面も考えられています。
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介護付き有料老人ホームの種類
一般的に介護付き有料老人ホームには、
- 介護専用型
- 混合
- 自立型
の3種類に分類されます。
それぞれのタイプについて詳しく見てみましょう。
介護専用型
入居対象者は要介護1以上の方に限定されます。
介護度が高い方でも安心して過ごせるような施設づくりとなっており、緊急時もすぐに対応してくれます。
混合
入居対象者は、要介護認定されていない方でも入居できます。
要介護・要支援の方も自立した方も入居可能です。
夫婦で入居することもでき、自立可能な方が介護を必要になった場合もそのまま入居し続けることができます。
自立型
介護専用型や混合型と比較すると施設数は多くありません。
一般的に居室をはじめ、設備面が充実しており、費用が高い傾向にあります。
住宅型老人ホームとの違い
入居対象者や費用においては、さほど大きな違いはありません。
介護サービスの提供体制が異なっています。
【介護付き有料老人ホーム】
24時間介護サービスを受けられ、介護サービス費は介護度ごとの定額です。
【住宅型有料老人ホーム】
介護サービスを受けるのに個人で在宅サービス事業者と契約する必要があり、介護サービス費は必要な分だけ支払わなければなりません。
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介護付き有料老人ホームの費用の相場は?
介護付き有料老人ホームの費用の幅は広く、提供しているサービスや設備も異なります。
そのため、施設を選ぶときに迷ってしまう人が多いでしょう。
介護付き有料老人ホームの費用は、大きく分けて初期費用と月額利用料の2種類に分けられます。
初期費用や月額利用料のそれぞれについて詳しく見てみましょう。
初期費用
初期費用には、入居一時金と敷金や保証金がかかる場合があります。
入居一時金
入居時に支払う前払いの家賃になります。
金額は0円から1億円以上の施設まであり、立地や部屋の広さ、設備などでもかわります。
支払い方法には以下のようなものがあります。
- 入居時に一括で前払いする方式
- 入居時には収めず全額月払いで支払う方式
- 入居時に一部を前払いし、残りを月額費用として支払う方式
保証金
敷金または保証金として入居一時金以外に費用がかかる場合があります。
費用はさまざまであり、0円~数十万円となります。
月額利用料(30日の場合)
家賃他、食費や水道光熱費、管理費など月々に支払う費用になります。
家賃相当額
介護付き有料老人ホームの場合は、法令で一定に定められています。
しかし、個室、ユニット型、多床室など部屋や施設のタイプによって月々の費用は異なります。
約3万円~11.5万円となっています。
食費
食材費以外にも厨房維持管理費が含まれます。
1日3食分が含まれているため、外出などで欠食した場合も1日分の食費が請求されます。
しかし、外泊や入院などの場合は事前に食事を止めることで請求はされません。
施設によっても費用は異なりますが、約4.5万円~6.5万円となっています。
水道光熱費
水道、電気、ガス、冷暖房など必要なエネルギーに要する費用になります。
施設によっては管理費と一緒に請求している場合もあり、約1万円~2万円となっています。
管理費
施設の維持に必要な共益費や生活支援サービス費などが含まれます。
水道光熱費と一緒に請求している場合もありますが、約2万円~5.5万円となっています。
合計
上記から、月額利用料(30日の場合)約13.5万円~25.5万円と見込まれます。
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介護付き有料老人ホームで提供されるサービスとその利用料は?
介護付き有料老人ホームでは介護保険を利用してサービスを受けることが可能です。
介護サービスの利用料は所得により1~3割を自己負担として支払う必要があります。
また、要介護度により毎月の自己負担額が定められています。
具体的には以下の表の通りです。
要介護度 | 介護保険単位数(単位) | 自己負担額(円)※1単位=10円、1~3割負担 |
要支援1 | 5460 | 5,460〜16,380円 |
要支援2 | 9330 | 9,330~27,990円 |
要介護1 | 16,140 | 16,140~48,420円 |
要介護2 | 18,120 | 18,120~54,360円 |
要介護3 | 20,220 | 20,220~60,660円 |
要介護4 | 22,140 | 22,140~66,520円 |
要介護5 | 24,210 | 24,210円~ |
その他、人員配置の変更や介護保険外のサービスなどによって追加費用がかかる場合があります。
具体的には以下の通りです。
上乗せサービス費
介護付き有料老人ホームは人員配置基準が国の法律で定められてます。
要介護者3人に対し1人以上の看護・介護職員を配置することが定められています。
上記基準を超えて人員配置し、介護体制を充実させることを上乗せサービスといいます。
上乗せサービスを提供した場合入居者に対し上乗せサービス費を請求することができます。
横出しサービス費
入居者の中には買い物代行や介護保険単位数を超えたサービスを要求する場合があります。
介護保険外のサービスを横出しサービスといいます。
横出しサービスの場合、介護保険の枠にとらわれないため自由にサービスを選択できます。
しかし、横出しサービスは介護保険適応外となるため全額自己負担になります。
介護付き有料老人ホームの費用負担を軽くするには
負担費用を軽くするには、2種類の制度があります。
高額介護サービス費制度
介護保険サービスを利用した時に、自己負担額が月額の上限限度額を超えた場合、市区町村で「高額介護サービス費」を申請することで払い戻しされます。
注)上限限度額は個人や世帯の所得によって決められています。
高額医療・高額介護合算制度
同一の医療保険制度(国民健康保険、後期高齢者医療制度、会社の健康保険など)に属する世帯が対象です。
年間(8月1日~翌年7月31日まで)に支払った医療保険と介護保険の合計が自己負担の上限限度額を超えた場合、上限限度額を超えた金額が払い戻される制度です。
各自治体の国民健康保険窓口で申請します。
注)自己負担の上限限度額は所得によって決められています。
医療費控除
医療費が一定の額を超えた場合、超えた額に対して税金が控除されます。
福祉施設である有料老人ホームは、この制度の対象にはなりません。
しかし、訪問診療などの医療サービスを受けた場合や一定の医療行為を受けた場合は適用される場合があります。
医療費控除の対象になるかどうかは、入居中に支払ったサービスの領収書に「医療費控除対象」と記載されているかを確認してみましょう。
介護付き有料老人ホームに入居条件はあるの?
介護付き有料老人ホームは、介護保険サービスを利用できる65歳以上の方が対象です。
施設の種類によって自立度が分類されています。
「介護専用型」は要介護1以上の方、「混合型」は要介護・要支援の方も自立した方も入居できます。
「介護専用型」では夫婦で一方が要介護で、もう一方が自立している場合は夫婦で一緒に入居することはできません。
「混合型」では自立度が異なっていても夫婦で一緒に入居することができます。
また、介護付き有料老人ホームは終身利用となっています。
そのため自立可能な方が介護を必要になった場合もそのまま入居し続けることができます。
さらに、認知症を発症している方でも入居することができます。
上記の入居条件を満たしていても身元引受人がいない方や感染症にかかっている方は、入居できない場合もあります。
施設にもよりますので、事前に確認してみると良いでしょう。
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生活保護受給者の利用は可能?
生活保護を受給している方は一部の介護付き有料老人ホームを利用することができます。
生活保護者が介護付き有料老人ホームを探す場合、以下の点に注意してください。
施設側が生活保護者が入居を許可しているか
生活保護者を受け入れていない施設も少なくありません。
事前に入居できるかどうかケースワーカーを通じて確認しましょう。
施設利用料が生活保護支給上限額内に収まるか
生活保護の場合、介護付き有料老人ホームに必要な費用は一部異なります。
介護サービス利用時にかかる介護費は生活保護の介護補助の適応になります。
結果、自己負担なくサービスを利用することができます。
介護サービス以外の費用は生活保護の補助をうけて支払う必要があります。
家賃は住宅扶助が適用され、上限額内で実費が支給されます。
生活費は生活扶助が適用され、上限額内で必要な金額が支給されます。
上記を踏まえ、施設利用料が生活保護の支給額内に収まるか確認しましょう。
介護付き有料老人ホームの費用まとめ
ここまで、介護付き有料老人ホームについてや費用の相場、負担費用を軽くする方法などを中心にお伝えしてきました。
- 介護付き有料老人ホームとは介護スタッフが24時間常駐しており、あらゆる介助サービスを受けられる
- 介護付き有料老人ホームの費用の相場は13.5万円~25.5万円
- 負担費用を軽くする制度は「高額介護サービス費制度」と「高額医療・高額介護合算制度」
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。