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健達ねっと>介護お役立ち記事>在宅介護>寝たきりの方の在宅介護は大変?在宅介護の介助方法や注意点を解説!

寝たきりの方の在宅介護は大変?在宅介護の介助方法や注意点を解説!

自分の親が寝たきりの状態になった際、住み慣れた家で在宅介護を行いたい方も多いです。
しかし、介護の経験がない方の多くは何をすればいいのか分からないと悩まれる方もいると思います。

本記事では、寝たきり状態の方の在宅介護について以下の点を中心にご紹介します。

  • 寝たきりの方の要介護度
  • 寝たきりの方に必要な介護
  • 寝たきりの方を介護するうえでの注意点
  • 介護に限界を感じたときについて

在宅介護で利用できる介護保険のサービスについても触れています。
ぜひ最後までご覧ください。

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寝たきりとは?


そもそも「寝たきり」とは、以下のような状態に当てはまる方を指すことが多いです。

  • 日常生活の中で一人では行えないことが多い
  • 横になった状態で更衣や排泄を行うなど、生活の中心にベッドがある

寝たきりの状態になると、廃用症候群(はいようしょうこうぐん)を引き起こす可能性が高くなりますので注意しましょう。

寝たきりによって起こる廃用症候群とは

「廃用症候群」という名前を初めて耳にした方も多いと思いますので、併せてご紹介します。

廃用症候群の最大の特徴は、全身のさまざまな場所に症状が出やすくなることです。
症状は現れる場所やなぜ起きるのかなどにより異なりますので、まずは以下をご覧ください。

発症する部位原因症状
筋肉や関節運動量の減少筋委縮や関節拘縮
寝ている状態が続くこと肺に分泌物が溜まりやすくなる
運動量の減少便秘や食欲低下
皮膚同じ体勢で寝続けること床ずれ
神経行動範囲が狭くなること認知機能の低下

以上のように被介護者が寝たきりとなり、運動量が減ってしまうことが原因で廃用症候群は起こります。

寝たきりの原因

厚生労働省が2019年に実施した「国民生活基礎調査」によると、寝たきりになる原因として脳梗塞などを代表する脳卒中が挙げられます。

そのため寝たきりとなるのを防ぐために、血圧の計測や記録の習慣化、塩分やコレストロールを意識した健康的な食生活、そしてこまめな気分転換や運動を行うことをおすすめします。

また、脳の健康状態を把握するために脳ドックの受診も忘れないようにしましょう。

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寝たきりの方の要介護度は?

要介護認定では、「非該当(自立)」「要支援1・2」と「要介護1・2・3・4・5」の計8段階から要介護度が決定します。
そして、その中の要介護4と要介護5の方が一般的に「寝たきり」に相当します。

要介護4と要介護5の主な状態は以下の通りです。

〇要介護4

  • 介護に要する時間が90分以上110分未満
  • 日常生活のほとんどに介護が必要となる
  • 日常生活の中で問題行動が多くなる

〇要介護5

  • 介護に要する時間が110分以上
  • 日常生活の全てに介護が必要となる状態
  • 意思疎通ができない場合も多い

要介護4の方も「日常生活のほとんどに介護が必要となる状態」と表現されていますが、要介護5の方がより介護を必要としている状態であることが分かります。

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寝たきりの方に必要な介護とは?


寝たきりの方には、食事介助、歩行介助、更衣介助、入浴介助、排泄介助、体位介助の6つが必要です。
具体的に、どのような手順で行うものなのか知りたい方も多いと思いますので詳しく解説していきます。

食事介助

寝たきりの方の食事介助を行う際は、特に食事のメニューや食べるときの姿勢などを気を付けましょう。

特に寝たきりの方は咀嚼(そしゃく)する力や飲み込む力が弱くなっているため、柔らかくて飲み込みやすい形状の食事を提供する必要があります。
また、味覚や嗅覚などの感覚も感じにくくなるため食事の味付けや一日に必要な水分量などにも注意しましょう。

その他にも、唾液や胃粘液などの量が減ったり、消化器の動きが低下していることが関係して食欲不振などが起きる可能性もあります。

食事を行う際の姿勢が悪いと食べ物が食道ではなく気管に入り「誤嚥性肺炎」を引き起こすリスクが高まるので、注意が必要です。
椅子や車椅子に座って食事する場合は、以下の3点を意識してください。

  • 良い姿勢で椅子に深く腰掛けているか
  • 足の裏は床についているか
  • 膝や肘は90度になっているか

歩行介助

歩行介助の注意点は以下の3つです。

  • 歩行を妨げるものはあらかじめ移動しておく
  • 歩きやすい服装や靴を着用する
  • 歩行介助を行う前に休憩できる場所を把握しておく

短い距離を歩行する場合でも、その日の体調によっていつもより早く休憩しないといけないケースもあります。
安全に歩行するためにも、介助を行う前に必ず休憩できる場所(椅子など)を把握しておいて下さい。

更衣介助

介護される方に拘縮や麻痺などがある場合は、脱健着患(だっけんちゃっかん)を意識しながら更衣介助を行って下さい。
脱健着患とは、介護される方が動かしやすい側から服を脱ぎ、麻痺などの症状がある側から服を着ることです。

介護される側も安心に、そして介護する側もスムーズに更衣介助を行えるようになります。

また介護される方にとって負担のかかる介助を行うと、怪我を負うリスクが高まるため注意が必要です。
麻痺や拘縮がある部位を動かすと痛みを伴うケースも多いので痛みを感じることの無いように気遣いながら、ゆっくりと介助することをおすすめします。

入浴介助

入浴介助を行うと身体を清潔に保つことができるだけでなく、細菌による感染症を予防することが可能です。

また、身体を温めることで血液が循環するため関節の痛みを軽減させてくれる効果も期待できます。
リラックス効果もあるので、入浴することで心と身体の両方をケアすることができます。

しかし、入浴介助は転倒したり入浴中に意識を失ったりするリスクも伴うため、細心の注意を払いながら行う必要があります。

体を強くこすりながら洗うと肌へダメージがかかり、トラブルの原因となるので注意しましょう。

また身体の片側に麻痺がある方の入浴介助を行う際は、身体のバランスを崩した場合でも支えることができるように麻痺のある側に立つことをおすすめします。

排泄介助

排泄介助を行う際は、介護される方のプライバシーと自尊心に配慮する必要があります。
介護される方が自信を持って前向きに生活するためにも、特に排泄の失敗に対して不快な声掛けや態度を行わないようにしましょう。

またトイレやポータブルトイレで排泄する場合には、移動時に転倒しないように注意が必要です。

急かしたりはせず、介護される方のペースに合わせて歩行することを心がけましょう。

体位変換

長い時間同じ姿勢で寝ていると同じところばかり集中して圧迫されるため、床ずれ(褥瘡)ができるリスクが高くなります。

予防するためには体位変換が有効ですので、ぜひ併せて体位変換のやり方も知っておきましょう。
体位変換は、介護される方の状態や使用しているマットレスなどによっても前後されますが、基本的に1~2時間に一回程度行うことが推奨されています。

体位変換とは体位を変換することをいいますが、代表的な体位は以下の2つです。

仰臥位(ぎょうがい)ベッドの上で上を向いて寝ている体勢
側臥位(そくがい)ベッドの上で横向きになって寝ている体勢

誤った体位変換を行ってしまうと介護者にとっても介護される方にとっても負担がかかり、怪我を負う恐れもありますので注意が必要です。

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寝たきりの方を介護するときの注意点は?


寝たきりの方を在宅介護するうえで気を付けて欲しい注意点が4つあります。
具体的になぜ注意する必要があるのかも紹介しておりますので、ぜひご確認ください。

床ずれ・褥瘡に注意する

寝たきりの方を在宅介護する際、「適切な体位変換を行うこと」はとても難しいです。
誤った体位変換を行い続けていると、身体の一部にばかり圧がかかり続けることで「床ずれ」ができることもあります。

具体的に床ずれとは、内出血や水膨れ、悪化すると皮膚の一部分が壊死して肌に穴が空いたような大きな傷のことです。
悪化した状態から元の状態に戻すためには、治療を行っても一年以上かかることもあるので注意が必要です。

床ずれは痛みを伴いますので寝たきりの方が長期間辛い思いをしないよう、正しい体位変換を行うようにしましょう。

介護者の負担に注意する

在宅介護を行っていると、ついつい介護者と寝たきりの方との「マンツーマン」になってしまいがちです。
昼夜問わず一人で介護にあたり続けていくことは、肉体的にも精神的にもかなり大きな負担となってしまいます。

近年では、在宅介護を行っている介護者の「介護うつ」の割合がかなり増えているので、一人で抱え過ぎないように注意して下さい。

寝たきりの方の清潔を保持する

寝たきりの方の入浴介助を在宅で行うのは、介護者にとってかなり負担が大きいです。
しかし、清潔な状態を保持していないとかゆみをはじめとした肌トラブルが起きる可能性も高くなります。

また寝たきりの状態で過ごしていると、血行が滞ることによって皮膚の代謝や免疫が落ちるため注意しましょう。

プライバシーを尊重する

寝たきりの方は排泄介助が必要となるケースが多い一方で、介護されることに抵抗を感じる方がほとんどです。
そのため、寝たきりの方の自尊心を傷つけないよう対応する必要があります。

また、寝たきりになると尿意や便意などが分かりにくくなるケースも多いため排泄を失敗することもあります。

失敗が続いた場合、介護者は「自分が全てサポートしよう」と考えてしまいがちです。
しかし、寝たきりの方ができることまでやってしまうと自尊心をより傷つけてしまう恐れがあります。

「寝たきりの方ができること」を把握し、プライバシーや自尊心を守ることを意識しましょう。

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介護に限界を感じたら


在宅介護に限界を感じる場合は、まず介護保険で利用できるサービスを検討してみて下さい。

サービスを利用することで新たな知識を得て、日々の介護が行いやすくなる可能性があります。
また、第三者の方と話をすることで介護者の心の負担も軽減することができます。

ここでは、介護に限界を感じたときにおすすめの対応をご紹介します。

訪問介護を利用する

一つ目は、訪問介護を利用することです。

訪問介護とは、その名の通りホームヘルパーなどが自宅に訪問して、排泄介助や衣類の着脱などを行ってくれる介護サービスです。

介護保険で利用できるサービスであるため、利用するには「要介護認定」を受ける必要があります。

また、要介護認定で要介護5等に決定し、ケアプランなども作成していただいているがサービスを利用したことがないという方も、ケアマネージャーによる居宅介護支援を受けることで在宅介護を利用できます。

訪問入浴介護を利用する

訪問介護では訪問先の家にあるお風呂場を使用して入浴介助を行いますが、訪問入浴介護の場合は、看護師や介護士などが持参した「浴槽」を利用して入浴介助を行います。
訪問入浴介護のサービスも介護保険で利用でき、「要支援1・2」の方や「要介護1・2・3・4・5」の方が利用対象です。

主に自宅のお風呂での入浴が難しい方や、デイサービスの利用が難しい方がご利用できるサービスです。

サービスの中には、身体の一部分だけの入浴や清拭も含まれますので自宅での入浴に悩まれている方は、ぜひ利用の検討をおすすめします。

訪問看護を利用する

訪問看護は、看護師や保健師を中心とした医療従事者が自宅を訪問するサービスです。

医師の指示を元に療養するうえでのアドバイスを行ってくれます。
具体的にサービス内容を紹介すると、今回紹介した床ずれ(褥瘡)の処置・予防や症状の観察、栄養や食事の指導、口腔ケアなどが挙げられます。

ちなみに訪問看護のサービスも、介護保険で利用できるもので「要支援1・2」の方や「要介護1・2・3・4・5」の方が利用対象です。

施設利用も検討する

在宅だけでは介護していくことが厳しい場合には「デイサービス」や「短期入所」の利用、もしくは施設への入所を検討しましょう。

寝たきりの方と適度な距離を設けることで、うまく付き合っていけるようになります。
ここまで取り上げたような施設を利用したい場合には、ケアプランの変更も必要ですのでまずはケアマネージャーに相談すことをおすすめします。

兄弟や親戚を頼る

専門職だけでなく、身内の方にも介護の相談ができるようになると介護者は心強くなります。
また、相談することで協力が得られる可能性もありますので、まずは気軽に話してみることをおすすめします。

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介護うつになる前に


介護うつの最大の特徴は、日々の暮らしの中で嬉しい気持ちや楽しい気持ちが感じられなくなるという症状が出ることです。
そのため、もし趣味や好きだったものを楽しめなくなった方や、楽しいはずの時にも楽しい気持ちになれないという方がいましたら注意しましょう。 

介護うつの原因として、介護者が一日中在宅で介護にあたることで「体力面」や「精神面」に大きな負担が蓄積され続けたことが考えられます。 

一般的な介護うつの予防策は以下の通りです。

  • 悩みは家族や友人・ケアマネージャー(専門職)に気軽に相談する
  • 介護者がきちんと寝られる時間を作る 
  • 今の自分が楽しめるような趣味を探す

 介護者にとって前向きな気持ちになれるような環境を作ることで、介護うつを予防・改善することができると考えられます。
また、うまく付き合っていくためにも介護サービスなどを活用し、寝たきりの方と適度な距離感を保つことをおすすめします。

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在宅での要介護者における寝たきり者の人数

kranke seniorin im pflegeheim

平成10年のデータでは、在宅の要介護者の人数は124万3千人です。
そのうち寝たきりの人数は35万6千人で、全体の約30%ほどになります。

寝たきりの程度別では、

  • 「全く寝たきり」16万7千人
  • 「ほとんど寝たきり」18万9千人
  • 「寝たり起きたり」51万1千人

となっています。

寝たきりの方35万6千人のうち、日常生活動作において全て介助が必要な方の人数は、以下の通りです。

  • 洗面・歯磨き 23万8千人
  • 着替え 28万2千人
  • 食事 19万7千人
  • 排せつ 27万人
  • 入浴 31万8千人
  • 歩行 29万4千人

一方、全く寝たきりの方16万7千人のうち介助が必要な方の人数は、以下のようになります。

  • 洗面・歯磨き 14万9千人
  • 着替え 16万人
  • 食事 13万3千人
  • 排せつ 16万1千人
  • 入浴 16万7千人
  • 歩行 16万7千人

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まとめ:寝たきりの方の在宅介護

医師解説
ここまで寝たきりの方の症状や原因、在宅介護の介助方法などを中心にお伝えしました。
要点は以下の通りです。

  • 寝たきりの方の要介護度は、要介護4や要介護5に相当する
  • 寝たきりの方の在宅介護では、食事介助、歩行介助、更衣介助、入浴介助、排泄介助、体位変換などが必要
  • 寝たきりの方を介護するときは、床ずれや介護者の負担、清潔の保持、プライバシーの尊重に注意する
  • 介護に限界を感じたときは、訪問介護や訪問看護、施設利用を検討する

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。

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監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
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  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
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