自分や家族の介護を続けていく中で、看取りまでの期間はどのくらいになるのだろうかと考えたことはありませんか?
「今までの介護と看取りの違いが分からない」「看取りとは実際に何をするのか?何をするべきなのか?」と疑問に思うことがたくさんあると思います。
今回は、介護における看取り期間や看取りで行うことなど以下の項目を中心に解説をします。
- 看取り介護期間について
- 介護における看取り
- 看取り介護を行える場所
看取り介護について詳しく知ることで当事者・家族が心残りなく看取りができるでしょう。
看取り介護を行う施設についての説明もしているので、ぜひ最後までお読みください。
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介護における看取りとは?
まず初めに、介護における看取りの意味を知っていますか?
実際に看取りが必要な状況になったとしても、介護における看取りというものが何か知らない方も多いのではないかと思います。
また、看取りと似たものにターミナルケアがありますがどのような違いがあるのでしょうか。
詳しく説明していきます。
看取りとは?
看取りの定義は、人生の最終段階において治療を必要とする人が無理な延命治療などをせずに自然に亡くなっていく過程を見守ることとされています。
看取りを行う場合には、本人の意思を尊重した決断を行います。
医療従事者・家族と共に意思を共有し、周囲が理解をした上での決定が重要になります。
介護や看病などの世話の有無に関係なく、最後を見守ることを看取りと捉える考える方が一般的です。
ターミナルケアとはどう違う?
看取りと同じようなものとされているのがターミナルケアです。
看取りをご存じである方であれば、ターミナルケアという言葉も聞いたことがあるのではないでしょうか。
ターミナルケアは、人生の最終段階における医療的・介護的ケアのことです。
終末医療とも呼ばれているターミナルケアなので、病気で余命わずかになった方に対して少しでも穏やかに過ごせるように治療や介護を行います。
病気に対しての痛みを取り除き、穏やかに過ごせるための治療を積極的に行うのがターミナルケアです。
看取りの場合は、無理な延命治療は行わないので延命に繋がるような治療は行いません。
日常のケアが中心となります。
よって、似ているように思われる看取りとターミナルケアですが実際には大きく異なります。
ターミナルケアに興味のある方は、こちらも併せてご覧ください。
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看取り介護期間とは?
看取り介護が必要になった場合に気になるのが、看取り介護期間だと思います。
終末期であることが告げられた後、どのくらい一緒にいることができるのでしょうか。
また、どのくらいの状態になると看取り介護の開始を告げられるのでしょうか。
目安などを知ることで心の準備をすることができるでしょう。
看取り介護の実施が決まった時
看取り介護が決定される状態としては、
- 意思疎通ができず全介助状態
- 食事量の減少
- 体力の低下
- 医療として積極的な治療が出来ない
などの判断が医師からされた時点で、看取り介護が開始されることがほとんどです。
在宅で看取る場合には、在宅医と看取りを行うための環境を作っておくようになります。
事前に聞き取りなどを行って作られている介護計画を基に看取り介護を開始していきます。(介護計画がない場合にはこの時点で作成します)
看取り介護が開始されても状態の波はあるので、その時の状況に応じた対応が出来るようにお願いしておきましょう。
看取り安定期
状態が安定していると、周囲との対話なども出来るようになるでしょう。
体調が安定している時は、できるだけ気分転換を行う・好きなものを食べる(少量でも口にすることで食べる楽しみを味わってもらうため)・入浴を行うなど、今までの生活を行ってください。
声掛けなども積極的に行うことで、お互いに良い思い出を残すことができるでしょう。
看取り不安定期
看取り介護を行う場合、緩やかに亡くなっていくイメージがあるかもしれませんが、実際には状態が安定している時もあれば、突然体調を崩してしまうこともあります。
安定と体調を崩すことを繰り返す時期を家族は経験するかもしれません。
持ち直してくれることは嬉しいものですが、幾度も繰り返すために精神的に疲弊してしまうかもしれません。
看取り介護の一つに家族へのケアも含まれているので、辛い時には気持ちを話してみてはいかがでしょうか?
看取り介護後期
これ以上の回復が見込めず、安定期にも戻らない状態になった時、在宅であればもしもの時の連絡先の確認を、病院や施設であれば最期に合わせたい相手に連絡を取り、会ってもらうなどを行いましょう。
本人が望むものがあれば、出来る限り対応してあげてください。
孤独を感じさせないように配慮することが大切です。
家族もつらい時期となりますが、本人との最期の時間を有意義に過ごせるようにしてください。
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看取り介護では何を行う?
看取り介護期間についてご紹介しましたが、実際に看取り介護では何を行うのでしょうか?
延命措置を行わないのであれば、最期の時まで何をするのか知っておきたいですよね。
看取り介護で行うケアについて解説していきます。
身体ケア
延命措置は行いませんが、看取りの時期には病気などの痛みがある場合には、苦痛を和らげる「緩和ケア」を行います。
身体にかかる負担をできるだけ減らして、苦痛で感じるストレスを和らげるためのサポートが必要です。
延命措置は人工呼吸器や心肺蘇生などの行為を指します。
このような行為を行わないことが、「延命措置を行わない」ということになります。
精神ケア
人生の終わりに直面すれば、不安や恐怖を感じてしまうはずです。
この時に精神的な面でのサポートが必要になります。
話を聞いてあげることや、思い出の品を置く、会いたい人に会えるようにするなど、本人が喜び気持ちが穏やかになるようなことをサポートすることがメインになるでしょう。
悩み苦しむようなことがない最期を迎えられるようなサポートです。
家族へのサポート
看取り介護が必要になった本人同様に、家族も不安を感じているでしょう。
大切な人が亡くなってしまうと分かっている状態では、想像できないほどのストレスや寂しさ、苦しさ、切なさなどを感じるはずです。
そのため不安定な状態になり、本人の意思疎通が可能な場合には口論をしてしまったり、家族間でもささいなことでトラブルが起きてしまうこともあるでしょう。
家族のサポートを行うことも看取り介護における大切な要素になっています。
看取り介護はどこで行う?
終末期が近づいてきた場合、または終末期を迎えるための準備を行う必要がある場合には、看取り介護はどこで行えるのでしょうか?
それぞれの場所で看取りを行う場合のポイントについて説明します。
介護施設等で看取りを行う場合
介護施設を利用されている方であれば、介護施設で最期を迎えたいと思われるのではないでしょうか。
看取り時期のタイミングによっては、自宅に戻って最期を迎えるための準備をすることが難しいです。
そのため、介護施設などを利用されている場合には施設で最期を迎える方が家族も安心できます。
看取り介護を行うためには、看取り介護が可能な施設でなければ対応することができません。
希望していても対応が出来ない施設の場合には、病院や看取り看護が可能な施設への移動が必要になります。
施設入居時に介護施設で最期を迎えることを希望する場合は、看取り介護を行ってくれる施設を選ぶようにしましょう。
また、介護施設について詳しく知りたい方は下記の記事も参考にしてみてください。
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自宅で看取りを行う場合
在宅での看取りを行っている医療機関の数も年々増加しているので自宅で看取ることも大変ではなくなってきましたが、数は多くありません。
自宅での看取りを希望する人は多いですが、実際にその希望が叶う可能性が低いのが実情です。
施設等で看取られるケースを含めると、約80%以上が自宅以外で最期を迎えられています。
自宅での看取り介護を行う場合には、在宅医療ができる環境づくりを行った上で看取り介護を行うことになり、24時間365日の介護医療体制を取れる状態を必要とします。
自宅での看取りを希望する場合には、ケアマネージャー・ソーシャルワーカーなどと相談することがおすすめです。
本人の希望を尊重し、最期の時間を家族や親しい人と過ごせるように相談に乗ってくれます。
家族も満足できる看取りができます。
病院で看取りを行う場合
亡くなる方の全体のうちおよそ75%が病院で亡くなっています。
核家族や単身者など家族構成の変化によって、自宅で看取ることが減っていることが理由に挙げられます。
介護施設を利用している人でも、介護施設で看取り介護ができずに病院へ入院・最期を看取られる場合も多いので、病院で看取ることが増えているようです。
自宅や施設と異なる部分は、病院で適切な治療を行うことが可能になる点です。
延命治療は行いませんが、緩和ケアなどを十分に行うことができるので痛みで苦しむことがなくなり安心です。
看取り介護を行っている施設はどこがある?
看取りは延命治療を行わず、本人が希望する最期を迎えられるようなサポートを行っていくことなので必ずしも病院で行う必要はありません。
延命治療は行いませんが、緩和ケア(病気がある場合には痛みなどを和らげるケア)は行います。
看取り介護はどこの施設でも行っている訳ではなく、介護保険法の定めにより一定の条件などを満たしている必要があります。
看取り介護可能な施設の基準例は以下の通りです。
- 常勤看護師一名以上を配置し、施設または病院等の看護職員との連携による24時間の連絡体制を確保している
- 看取りに関する指針を入所者・家族に説明し同意を得るとともに、看取りの実績を踏まえ適宜見直しを実施している
- 看取りに関する職員実習を実施している
- 医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断していること
出典:介護老人福祉施設の報酬・基準について(厚生労働省)
これらの条件が満たせない場合には看取り介護を行うことができません。
看取り介護を行う施設選びにはコツがある
老人ホームなどでの看取り介護を希望する場合には、看取り介護ができる老人ホームを探す必要があります。
入居後に探していては二度手間になってしまうので入居を決める時点で探しておくことが必要です。
探すためのポイントをご紹介します。
- 常勤看護師が一名以上いる
- 看取り介護の実績がある
- 他業種連携がしっかりしている
- 本人・家族の希望を汲み取ってくれるか
- 看取り介護に対する方針が決められている
- 亡くなった後の流れが決められている
看取り介護ができる老人ホームなどを探す場合のチェックポイントとしてご利用ください。
看取り介護を実施することになってから施設などを探すことになる場合には、思うような看取り介護ができないままに亡くなってしまうという可能性も出てきます。
パンフレットやホームページなどに記載されている場合がほとんどですが、実際に見学などを行う時に質問もできるので、確認しておきましょう。
看取り介護における看取り介護加算とは?
介護報酬は元からあるシステムであり、介護サービスを行う施設に対して国や市町村が介護給付として報酬を与えるものです。
そこに新たに追加されたものが看取り介護加算です。
看取り介護加算は、看取り介護を行える施設を増やし、その対応を充実したものにするための給付です。
介護施設が看取り介護を行うとその内容に応じた対価を事業所に対して支払うというシステムです。
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看取り介護期間のまとめ
今回は、介護における看取り期間や看取り介護に必要なことについて説明しました。
- 介護における看取りとは、延命措置を行わずに本人の希望する最期を迎えるための見守りを行うこと
- 看取り介護期間とは医師が看取り開始を決定してから亡くなるまでの間のこと
- 実際の看取り介護は苦痛を和らげる緩和ケアや、本人の体調が良い時などに気持ちよく過ごせるためのお世話などを行う
- 看取り介護は、病院・自宅・介護施設などで行われるが、実際には病院で看取ることがほとんど
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。