多くの介護施設がある中、何を基準に選べばよいのでしょうか?
介護施設を選ぶときの指標の一つに人員配置があります。
人員配置基準は介護施設ごとに定められていますので、ご自身の希望にあった体制なのか確認することが大切です。
本記事では、介護施設の人員配置基準について以下の点を中心に解説します。
- 人員配置基準からみる介護施設を選ぶポイント
- 人員配置基準を確認するときに注意すること
- 人員配置基準以外にチェックするポイント
- 人員配置基準を違反した時の処分
心地よく、安心して過ごせる介護施設を選ぶための情報を解説していきます。
ぜひ最後までお読みください。
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人員配置基準とは?
人員配置基準という言葉をご存じですか?
人員配置基準とは、介護施設の人員体制に対する制度のことです。
スタッフが連携して質の高い介護サービスを提供する目的で設定されています。
介護施設によって、人員配置基準規定が異なっています。
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介護施設ごとの人員配置基準
ここからは、施設ごとの人員配置基準と特徴を説明していきます。
有料老人ホーム
人員配置基準は以下の通りです。
職種 | 配置基準 |
介護職員 | 看護職員と併せて要介護者3人に対して1人以上(常勤換算) |
看護職員 | 入居者30人迄は、1人以上(常勤換算) 入居者50人増すごとに1人追加 |
生活相談員 | 1人以上(常勤換算) |
入居相談員 | 配置基準なし |
機能訓練指導員 | 1人以上(常勤換算) |
ケアマネジャー | 1人以上(常勤換算) |
事務員 | 配置基準なし |
有料老人ホームでは、グレードや立地もバラエティーに富んでいます。
食事や介護、レクリエーションのグレードが高く、お客様本位のサービスが提供されます。
そのため、特別養護老人ホームなどと比べると料金は高くなります。
グループホーム
人員配置基準は以下の通りです。
職種 | 配置基準 |
介護職員 | グループホーム利用者3人に対して、1人以上の配置 |
計画作成担当者 | 共同生活の住居ごとに1人以上の配置 1人以上はケアマネジャーの資格を持っていること |
管理者 | 特別養護老人ホームや介護老人保健施設などで3年以上従事した経験がある 厚生労働省が規定する管理者研修を修了している |
代表者 | 特定の介護施設で認知症・高齢者の介護をしたことがある 保険医療や福祉サービスの事業経営に携わった経験がある 厚生労働省が定めた「認知症対応型サービス事業開設者研修」を修了している |
グループホームは認知症の方を対象とした介護施設です。
1ユニット5~9人の集団で、1施設2ユニットまでが最大定員となっています。
少人数のため、入居者同士や施設職員とのコミュニケーションが取りやすいのが特徴です。
また、グループホームは認知症の方を積極的に受け入れている施設です。
そのため、認知症ケアに関する知識が豊富な職員が多くいます。
介護老人福祉施設
人員配置基準は以下の通りです。
職種 | 配置基準 |
医師 | 入居者に対し健康管理及び療養上の指導を行うために必要な数 |
介護職員又は看護職員 | 入所者の数が3人又はその端数を増すごとに1人以上 |
生活相談員 | 入所者の数が100人又はその端数を増すごとに1人以上 |
栄養士 | 1人以上 |
機能訓練指導員 | 1人以上 |
ケアマネジャー | 1人以上(入所者の数が100人又はその端数を増すごとに1人を標準とする) |
基本的に、介護老人福祉施設は要介護3以上の方が入居の対象となります。
しかし、要介護1・2の方でも在宅生活が困難であれば、入居が可能な場合もあります。
認知症や知的障害、精神障害等を患っている場合が該当します。
あるいは、家族等による支援が期待できず、かつ地域での介護サービスや生活支援の供給が十分でない場合です。
最近では、少人数でのケアが行えるユニット型の施設も増えてきています。
また、看護師の配置もあるため医療的な処置もある程度可能です。
介護老人保健施設
人員配置基準は以下の通りです。
職種 | 配置基準 |
医師 | 1人以上、常勤1人以上 |
薬剤師 | 実情に応じた数(入居者300人に対し1人を基準) |
介護職員又は看護職員 | 入居者3人に対し1以上、その中で看護は2/7程度 |
支援相談員 | 常勤を1人以上、入居者100人に対し1以上 |
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 | 入居者100人に対し1以上 |
栄養士 | 定員100人以上で、1人以上 |
ケアマネージャー | 1人以上、入居者100人に対し1以上 |
介護老人保健施設は、自立した生活への復帰を目標としている施設です。
基本的には、入居可能期間は3か月から半年と定めているのも特徴です。
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職員ごとの役割は?
ここまで、人員配置基準についてご紹介しましたが、それぞれの職種の違いはご存知でしょうか?
職種ごとの違いを把握し、どの職種の方にいて欲しいかを明確にすることも大切です。
介護職員
介護職員は入居者と一番接することの多い職種です。
その方らしい生活を送れるように、生活の全般をサポートします。
食事、排せつ、入浴など身体介護や、掃除、整理整頓などもサポートします。
また、心身の観察を行い、変化があったときには看護職員へ報告するなどの対応も行います。
看護職員
看護職員は入居者の健康管理を行います。
仕事内容としては、バイタルサイン、薬の管理、褥瘡(床ずれ)のケア、感染予防などがあります。
介護職員やその他の職種と連携しながら業務を行っています。
医師や家族とも連絡を取り合い、質の高い医療サービスを行えるようにしています。
ケアマネジャー
入居者が適切な介護サービスを受けられるようにケアプランの作成を行います。
また、入居者・家族と介護サービス事業所の橋渡しも担っています。
生活相談員
入居者や家族の利用相談、生活の相談など相談業務全般を担っています。
入居者の様子を家族へ伝える他、医療機関への連絡調整も行います。
施設に関するさまざまな情報が生活相談員へ集約されるため、医療的な相談もまずは生活相談員にすることをおすすめします。
入居相談員
入居を検討されたとき、最初に会うのが入居相談員です。
介護施設への入居に関する相談、施設見学の案内、契約などが主な業務となります。
機能訓練指導員
入居者へリハビリを行う職員です。
日常生活を送るために必要な機能の維持、改善のためにリハビリを行います。
リハビリは一人一人に合わせて機能訓練計画書を作成し、リハビリを行います。
また、ゲームやレクリエーションなどを通じて体を動かすメニューもあります。
通常は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員などが担当しています。
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上乗せ介護費とは?
人員配置基準として入居者と職員の割合を「3:1」としている施設が多い中で、「2.5:1」以上の人員配置を行っている介護付き有料老人ホームもあります。
人員配置基準以上の人員配置を行うことで、介護スタッフの負担軽減になります。
そして、介護スタッフの負担が軽減すれば、結果として入居者の安全にもつながるのです。
人員を多く配置する分、料金を上乗せ介護費として徴収することが認められています。
人員配置基準を確認するときの注意点
人員配置基準を確認しただけで満足してはいけません。
注意するべき点を以下でご紹介します。
全員が常勤とは限らない
人員配置基準によると常勤介護職員は1人以上配置すればよいことになっています。
そのため、入浴や食事などの忙しい時間帯には非常勤職員を導入している施設も多いです。
勤務形態は施設によって異なるため、見学時にスタッフに確認してみてください。
夜勤は少なくなることが多い
「3:1」の人員配置基準となっている施設が多くあります。
しかし、24時間入居者3人に対して1人の介護・看護職員が常駐しているわけではありません。
介護職員・看護職員はシフト制勤務のため、時間帯によって人員は増減します。
そのため、夜間帯は日中の職員数よりも少なくなります。
夜勤者の人数を確認し、極端に夜勤者の人数が少ない場合は注意しましょう。
人員配置基準以外のチェックポイントは?
介護施設選びは初めてのことで、迷われることが多いかと思います。
人員配置基準以外についてチェックするポイントをみていきましょう。
立地
本人の住み慣れた土地に住むか、家族の近くに住むか迷われると思います。
家族が施設へ通われることを考えると、家族の近くを検討されるとよいでしょう。
自分で外出することを考えれば、近くに商店があったほうが便利です。
また「緑が豊か」「海が見える」など本人が落ち着く環境を選べるとよいでしょう。
サービス内容
食事の内容、外出行事の有無、医療的な処置など施設で行われるサービスの内容はさまざまです。
個室の広さ、騒音、食事の時間、入浴の回数、面会時間なども施設によって異なります。
入居者にとって施設は、これから長く生活をしていく場所です。
本人の生活スタイルに合わせ、暮らしやすさを優先して選ぶようにしましょう。
医療体制
協力医療機関が近くにある、医療機関との連携がとれていると安心です。
体調を崩したときに、どのように対応してくれるのか確認してみましょう。
看護師が24時間常駐していない場合もあります。
医療行為の内容によっては、看護師の配置状況によっては対応が困難な場合があります。
どこまでの医療行為を行ってもらえるのか、確認するとよいでしょう。
人員配置基準に違反したらどうなる?
指定更新期間内の6年以内に1度行われる施設の実地指導の際に人員基準違反が発覚すると、指導が行われます。
さらに、監査の対象となります。
監査の結果、人員基準違反とみなされると、以下のような処分が科されます。
- 介護事業所の指定取り消し
- サービス停止
- 新規受け入れ停止
- 減算
介護事業所が指定取り消しを受けると、介護事業を5〜10年間行えなくなります。
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介護施設の人員配置基準のまとめ
ここまで、介護施設の人員配置基準や、施設を選ぶポイントを中心にお伝えしました。
要点は以下の通りです。
- 人員配置基準を確認し、希望する体制が整っているかどうか見定めることが大切
- 時間帯によって人員の増減があることを把握したうえで人員配置を確認することが大切
- 人員配置基準以外にも、立地、サービス内容、医療体制も介護施設選びのチェックポイントとなる
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。