高齢化社会になって「親の介護」が問題となっています。
同居介護したほうがいいのか悩んでいる方も多いでしょう。
そこで今回は、以下の点を中心に説明していきます。
- 3つの介護方法
- 介護方法によるメリット・デメリット
- 同居介護での負担
ぜひ最後までご覧いただき、同居介護を始める際にお役立てください。
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介護の仕方には種類がある
子どもが介護の必要になった親の面倒を見る場合、介護の仕方には大きく分けて3つの種類があります。
遠距離介護とは
子どもが親元から遠く離れた場所に住んでいるパターンです。
週末などを利用して、定期的に介護をしていくことになります。
遠距離介護はいろいろな意味で負担が大きくなるため、近居介護、同居介護に切り替えるという方も少なくありません。
遠距離介護について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
近居介護とは
同居介護ではなく、近くに住んで介護する方法です。
子どもが親の近くに引っ越す、あるいは親が子どもの近くに引っ越すということになります。
要介護度がそれほど重くなく、ある程度自立している場合などは可能でしょう。
同居介護とは
同じ家に親と子どもが一緒に住んで介護する方法です。
子どもが親を呼び寄せる、あるいは子どもが親元に住み替えて介護することになります。
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各介護方法のメリット・デメリットとは?
それぞれの介護の仕方について、メリットとデメリットを考えてみましょう。
遠距離介護のメリット
お互いにちょうどいい距離感を保つことができるため、介護者が無用なストレスを感じなくて済みます。
保険介護サービスを優先利用できるということも一つのメリットです。
お互いに現在の生活を守りながら介護したいという場合には、遠距離介護がいいでしょう。
遠距離介護のデメリット
定期的に通わなくてはならないため、交通費などの出費は覚悟しておかなくてはなりません。
また、遠距離なので、もし何かあった場合にすぐに対応ができないということもあります。
近居介護のメリット
お互いの生活スタイルを維持しながら介護できるので、同居介護に比べるとストレスが少ないというのがメリットです。
もし、何かあってもすぐに駆け付けることができるので安心です。
さらに、一人暮らしでなければ受けられない行政サービスや介護サービスが受けられます。
近居介護のデメリット
親を自宅近くに呼び寄せる場合には、環境の変化が負担になるかもしれません。
引っ越し先の環境に慣れるまでストレスで体調が悪くなるという心配もあります。
また近くにいるということは、コミュニケーションの頻度も増えるので何かと衝突しやすくなることもあります。
同居介護のメリット
同居介護の一番のメリットは、介護する親の体調管理ができ、急変に気づくことができることです。
介護サービスを使う場合でも、地域の情報などが手に入りやすくより良いサービスを受けやすくなります。
また、別居に比べると家賃などの出費がありませんし、自分で介護するため介護にかかる費用も抑えることができます。
同居介護をすることで家族間の交流が増え、孫がいる場合には、それが生きがいとなるかもしれません。
同居介護のデメリット
同居介護で親を呼び寄せる場合、今までと全く異なった環境に身を置くことになります。
年を取り、身体も弱くなって介護が必要になった親にとっては思った以上にストレスを感じてしまいます。
また、介護する方のストレスが大きいというデメリットも忘れてはいけません。
今まで、違う生活リズムや生活習慣だったわけですから、お互いにストレスがかかります。
同居していることで、ヘルパーなどの介護サービスが受けられないというデメリットもあります。
要介護度が進むと、それに合わせて手すりやスロープなどの住宅リフォーム費用も考えなくてはなりません。
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同居介護で考えられる負担は?
同居介護ではメリットもありますが、介護者の負担も多いようです。
どのような負担が考えられるのでしょうか。
肉体的な負担
同居介護をすると、親の介護度によっては常に介助を必要とするかもしれません。
介助の多くは「持ち上げる」「支える」といった肉体的な負担を強いられるものです。
たとえば、ベッドから車いすへの移動、衣類の着脱、トイレ・入浴の介助などを毎日のように行わなくてはなりません。
膝や腰、腕などに負担がかかり、ぎっくり腰や関節症などを引き起こすことも少なくありません。
精神的な負担
同居介護で最も問題となっているのが、精神的な介護疲れです。
よくあるのが、介護されている方との衝突です。
「よかれと思ってやってあげたのに、逆切れされた」などがあるとイライラが募ります。
怒鳴り返しても自己嫌悪に陥ってしまうという悪循環です。
また、介護負担が一人にかかってしまうことで家族の非協力的な態度やねぎらいのなさなどから、ストレスをためてしまうこともあります。
認知症の場合徘徊などが始まると、24時間気持ちが休まるときがなく介護うつを発症してしまうこともあります。
経済的な負担
介護度が進んで介護保険支給限度内に収めきれないと、全額自己負担になってしまいます。
そのほかにも、同居介護では紙おむつや介護食品、家のバリアフリー工事なども必要となって、経済的な負担も大きくなります。
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同居介護を行う上での注意点は?
同居介護を決めるとき、どのようなことに注意したらいいのでしょうか。
お互いに十分な心構えと準備をしておくことで、同居介護をスムーズに行うことができます。
同居に対する家族の考えを理解する
「長く離れて暮らしていたから、せめて晩年は親孝行がしたい」という気持ちから同居介護を始めるという方も多いでしょう。
しかし、それは子どもの一方的な思いかもしれません。
親は「同居したくない」と考えているかもしれません。
最近では「子どもの世話にはなりたくない」と介護老人ホームを希望する方が増えています。
同居介護を決めてしまう前に、親や家族の考えを確認することが大切です。
生活様式が異なることを理解する
食事一つとっても、生活様式が異なります。
たとえば、朝食にパンを食べる子どもの家にご飯を食べる親が一緒に住むことになれば、パンもご飯も用意しなくてはなりません。
あらゆる面で生活様式が異なっていることを理解し、そしてどこで折り合いをつけるのかがトラブル回避のために必要なことです。
ケアマネジャーに事前に相談する
同居介護は同居して初めてわかること、戸惑うことがたくさんあります。
同居介護を始める前に、お世話になるケアマネジャーに相談をしておきましょう。
ケアマネジャーは、同居介護でのいろいろなトラブルや相談を受けてきています。
事前に相談することで、気が付かなかったトラブル回避法などを教えてくれます。
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同居家族に役割を担ってもらう
同居介護では、一人に負担がかかることで大きなトラブルに発展しかねません。
介護する方が疲れて介護うつにでもなっては、十分な介護ができないだけでなく家庭崩壊にもつながりかねません。
同居介護を始めるにあたり、同居する家族に役割を分担してもらう方向で調整しましょう。
今後介護度が進めば、負担の分担は非常に重要になってきます。
段階を踏む
親を呼び寄せての同居介護は、迎え入れる家族も迎え入れられる親も戸惑うことが多くなります。
それがストレスとなって、同居介護が解消されてしまうこともあります。
一気に同居介護を進めるのではなく、段階を踏んでなじんでいくということもお互いのストレス軽減には役に立つでしょう。
たとえば近居介護から始めて、慣れてきたら同居介護に移行するなどの方法が考えられます。
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同居介護・在宅介護にかかる費用は?
同居介護は、もちろん施設よりも費用は抑えられますが、それでも費用はかかります。
実際何にどれくらいの費用がかかるのでしょうか。
同居介護にかかる費用は、一時的にかかる費用と日常的にかかる費用があります。
一時的にかかる費用としては、被介護者が生活しやすく、転倒する危険性を減らすなどを目的としたリフォームがあります。
一時的費用としての平均は、69万円となっています。
日常的にかかる費用としては、おむつや介護保険によるサービス代などです。
月額平均7.8万円となっています。
介護度が進めば進むほど、介護サービスを受ける種類も多くなってきているので当然費用もかかります。
介護の費用について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
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積極的な介護サービスの利用も重要
同居介護では、積極的に介護サービスを利用することで家族の負担を軽減することができます。
ホームヘルパーが自宅に訪問して、排泄や入浴、食事の介助などを行う「訪問介護・訪問入浴介護」サービス。
介護施設の送り迎えをしてもらい、レクリエーションや身体の機能回復のための運動などをおこなう「デイサービス」。
介護施設に短期間宿泊する「ショートステイ」などがあります。
どのサービスが受けられるかは介護度にもよるので、ケアマネジャーとよく相談しましょう。
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同居家族がいても生活援助は受けられる
同居家族がいると生活援助は受けられないと諦めてしまう方もいます。
しかし、条件によっては受けられることがあります。
たとえば、家族に障がいや疾病などがあり介護できないというケースです。
内容は
- 調理:家族が不在で食事の確保が必要な場合
- 掃除:利用者本人のみが使用する場所
など、条件付きで認められる場合があります。
注意しておきたいのは、対象はあくまで利用者本人であるという点です。
調理したものを介護者が一緒に食べたり、共用するスペースの掃除をしたりすることは認められません。
その他介護保険外サービスとしての家事代行などもあります。
介護保険では提供できないサービスも利用可能な点が特徴です。
- 行事などの特別な手間がかかる料理
- 草むしり
- ペットの世話
- 洗車
- 外出の介助
などがあります。
保険が利用できないため、サービス提供事業者により料金もさまざまです。
しかし利用したいサービスがある場合、問い合わせてみるとよいでしょう。
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同居する家族に出来ることは?
同居家族がスムーズに介護できるよう、介護職員初任者研修を取得しておくとよいでしょう。
介護に役立つ基本的な知識や技術が習得できます。
介護職員初任者研修とは?
介護職員初任者研修とは、介護業務をする方が最低限の知識・技術・考え方を身に付けるために受ける研修です。
在宅や施設を問わず幅広い領域で介護業務ができる人材の育成を目指すものです。
受講は地域のスクールで行います。
自治体や都道府県知事が指定した高齢者・障害者施設での実習を受けられる場合もあります。
資格取得にかかる時間は?
資格取得に必要なカリキュラムは全130時間です。
受講には130時間すべてを通学で受講する方法と、通信と通学を併用する方法があります。
いずれも併用の場合、通信で受講できる時間は40.5時間以内と定められており、通学時間と合算して130時間になります。
130時間を各自のペースで受講していき、最短14日で取得可能です。
家庭や仕事の兼ね合いを見て計画的に行いましょう。
資格取得にかかる費用は?
取得にかかる費用は、研修を受ける地域・立地・サービス内容などにより差があります。
3万円~10万円と幅広く設定されており、平均64,000円程度です。
お住まいの地域の相場を確認したうえで、受講を検討しましょう。
取得することで何が変わる?
初任者研修は介護に関する知識・技術・考え方を基本から学べるものです。
介護の経験がない方でも基本的な介護力を身に付けられるため、家族介護の必要性が生じても不安を軽減できるでしょう。
また、資格取得をきっかけに介護施設への就職などもしやすくなるといえます。
高齢化が進む日本において、取得して損はない資格でしょう。
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同居介護で起きる「介護うつ」とは
同居介護で問題になっているのが「介護うつ」です。
介護うつは年々増えており、誰にも相談できずに苦しんでいる方もたくさんいます。
介護うつとは
病気としての名称ではありませんが、介護が原因でうつ病を発症してしまったというケースです。
うつ病の初期は、本人だけでなく周りにいる家族も気づきにくく、症状が悪化してからでは介護どころか日常生活も送れなくなってしまいます。
介護うつの症状
介護うつの症状では「食欲不振」「睡眠障害」「倦怠感」「不安」「無気力」などがあげられます。
家族の団らんにも入ってこず、一人でぼんやりするようになったという場合には注意が必要です。
介護うつの原因
介護うつの原因は、その人の性格にも強く影響します。
たとえば、責任感があって介護は自分で何とかしようとがんばってしまう人などは、介護うつになりやすい要素を持っています。
また同居介護は、家という閉ざされた空間で行われます。
介護される方と常に一緒にいることで、社会から隔離されたと感じ孤独感を深めます。
介護うつを予防するには
介護うつを予防するためには、自分にストレスがたまっていることを自覚して発散することが重要です。
誰かに相談したり、日頃の愚痴を聞いてもらうだけでもストレスの解消になるでしょう。
また、デイサービスやショートステイなどの介護サービスを活用して、自分だけの時間を作ることです。
趣味や買い物、映画を見に行くなど誰にも邪魔されない時間を楽しむ工夫をしましょう。
介護うつについて詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
介護をしている方なら誰にでもなり得る介護うつ。日々続く介護による心身の疲労や負担は大きく、介護うつを発症するとダメージはさらに大きくなります。介護うつは、本人や周囲が気づきにくく、発症すると完治するまでに時間を必要とする非常に深刻な病[…]
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同居介護のまとめ
ここでは、同居介護について紹介してきました。
その要点を以下にまとめます。
- 介護方法には「遠距離」「近居」「同居」がある
- 介護方法によるメリット・デメリットをよく考えて介護方法を選ぶ
- 同居介護では「肉体的」「精神的」「経済的」負担がある
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。