老老介護という言葉を耳にしたことはありませんか?
日本の高齢化社会における深刻な問題にもなっています。
今回は、以下の点を中心に解説していきます。
- 老老介護とは
- 老老介護の問題点
- 老老介護の負担を減らす方法
ぜひ最後までご覧いただき、老老介護への対応にお役立てください。
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老老介護とは
老老介護は、社会問題として徐々に深刻になってきており、早急な救済策が求められています。
老老介護について、その実態を解説しましょう。
老老介護とは
老老介護とは、老人が老人の介護を行うことです。
具体的には、65歳以上の高齢のご夫婦、子どもや兄弟が65歳以上のケースになります。
もう一つ、認認介護というものもあります。
こちらは、介護する側と介護される側がともに認知症を発症していることです。
老老介護の現状は?
国民基礎調査の結果をみると、2001年は65歳以上同士の老老介護の割合は40.6%でした。
しかし、2016年の調査では54.7%となっており、今後とも増加することが予想されています。
参照元:令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-(本文)
老老介護の原因
老老介護の原因には、単に高齢化社会になっただけではない複雑な要素があります。
健康寿命と平均寿命に差がある
健康寿命とは日常生活に何ら支障もなく、元気で過ごせている寿命のことです。
2013年の段階では男性71.19歳、女性74.21歳でした。
ところが平均寿命を見てみると、男性80.21歳、女性86.61歳で、健康寿命との差が男性9.02歳、女性12.40歳となっているのです。
この差は何を意味しているかというと、開いている期間は介護を必要としている可能性が高いということです。
そしてこの開きは年々大きくなっているといわれています。
核家族化が進んだ
「単独世帯」と「核家族世帯」の割合は、上昇傾向にあり、逆に「三世代世帯」は低下傾向にあります。
子どもと離れて暮らす核家族化が進むことで、介護するのが高齢の夫婦のみの老老介護となってしまいます。
介護保険の想定と介護者の実情が異なる
介護保険制度がモデルとしている介護者は、嫁や孫などが同居している家族で、若くて体力があり、家事・介護に専念できる人です。
そのため、家事援助などはしなくてもいいだろうという発想につながっています。
ところが実際は、老老介護で日常生活も困難となっているのです。
金銭的な問題がある
高齢者になると仕事もできなくなり、年金で細々と生活する方も多くなります。
介護保険に加入していたとしても、介護にはお金がかかります。
老老介護では、とくに収入源が不安定だとデイサービスを利用したくてもできないという問題も発生します。
他人に助けを求められない
近くに血縁者や親しい人がいない場合、助けてもらいたくてもなかなか声を上げられません。
高齢者になればなるほど、社会的な繋がりも薄れやすくなります。
引きこもり状態が長く続けば、さらに周りとの関係性が薄れます。
周囲の人たちもどのような状況なのかが把握できず、気が付いたら老老介護の果ての孤独死といった悲しい結果となることもあります。
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老老介護で懸念されるリスク
老老介護では、さまざまなリスクが考えられます。
一般的なリスクを紹介しましょう。
身体的・経済的・精神的負担が大きい
老老介護では、介護者の体力も低下しています。
体力がないために、介護するときの身体への負担は相当なものとなります。
また、おむつや福祉用具などの購入で経済的にも負担となるでしょう。
最も大きいのが精神的負担です。
介護に時間が取られるようになると外出もままならなくなり、相談相手もいなくなります。
そうすると悩みを一人で抱えることとなり、ストレスもたまっていきます。
ストレスがたまると、そのはけ口を介護される方に向けてしまい虐待につながるリスクが高まります。
共倒れする可能性もある
要介護者だけでなく、介護者自身も高齢のため身体的にも精神的にも負担が蓄積してしまう可能性が高くなります。
介護者が病気やケガで介護が必要になってしまえば、共倒れする可能性も高くなります。
社会から孤立するようになる
老老介護になると社会とのつながりが希薄になる傾向が強くなります。
とくに日本では「介護は家族の責任」といった風潮が強く、さらに「他人に介護されるのはイヤ」という方もいます。
介護する方は家に縛られ続け、社会から孤立してしまうリスクがあります。
性別による問題が生まれる
ご夫婦のうち妻が介護される場合、夫は介護はできても家事全般は全くできないというケースが考えられます。
逆に夫が介護される場合、妻は家事ができても夫を介助する力がないというケースが考えられます。
このように性別による問題がリスクとして発生します。
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老老介護を防ぐには
老老介護の大変さやリスクを知ったところで、どのようにしたら老老介護を防ぐことができるのでしょうか。
常に健康状態を維持しておく
最も簡単な予防策としては、とにかく介護状態にならないことです。
そのためには知的好奇心を失わず、運動も適度に行うようにすることです。
健康を意識した日常生活を送りましょう。
夫婦や子供の間で将来のことを話し合う
介護状態になってからでは話し合うこともできないかもしれません。
元気なうちにご夫婦、子ども、兄弟姉妹などと将来について話し合う機会を作ってみましょう。
共通認識を持つことで、いざというときに混乱せずに済みます。
地域の中で積極的な交流を行う
いざというときに頼りになるのは身内だけではありません。
ご近所や友人と日頃から積極的に交流することで、困ったときに助けてもらえます。
地域のボランティアなどに積極的に参加すれば「生きがい」も生まれて、ハリのある生活を送ることもできます。
老老介護の負担を軽減したい場合
老老介護にならないようにと思っていても実際になってしまったとき、どのようにして負担を軽減すればいいのでしょう。
身体に異常を感じたら病院に行く
介護する方は、介護される方ばかりを見ていることが多いのでご自分の健康には無頓着になりがちです。
自分も高齢者だということを忘れずに、少しでも身体に異常を感じたら病院を受診しましょう。
病状が悪化してしまうと、共倒れになってしまうリスクがあります。
地域包括支援センターに相談する
お住まいの地域の「地域包括支援センター」に相談しましょう。
地域包括支援センターは、介護に関する悩みごと、相談ごとなどスペシャリストが対応してくれます。
介護保険サービス等のサービスを利用する
介護認定されれば、介護保険サービスが受けられるようになります。
自宅で受けられるサービスや通所サービスなど、いろいろなサービスが受けられるので介護する方の負担もかなり減ることでしょう。
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血縁者を頼る
「他人にはとても相談できない」という方もいらっしゃいます。
その場合には、信頼のおける血縁者を頼ってみてはいかがでしょうか。
血縁者なら、安心して介護を任せられるかもしれません。
認認介護との違い
老老介護と同じように深刻なのが認認介護です。
認認介護とは、介護する方も介護される方も認知症を患っているという状態です。
現在65歳以上の高齢者5人に1人は認知症だといわれており、この数は年々増加傾向ともいわれています。
認認介護ならではの深刻な点は、認知症ならではのリスクがあることです。
認知機能が衰えて記憶することができなくなるため、食事をしたかどうかも忘れてしまって、栄養失調になるリスクがあります。
また、お風呂に入ることや掃除、ゴミ出しも忘れてしまい不衛生になるリスクもあります。
さらに、金融機関からのお金の出し入れができず、お金の管理もできなくなります。
介護者本人が認知症になった場合、自分が認知症であることも認識できないため相談できないでいる場合もあります。
認認介護について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
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老老介護に役立つ介護サービス
介護保険は、介護される方にとっても介護する方にとっても負担をできるだけ軽くする制度です。
サービス内容を知っておくことで、自分に合ったサービスを受けることができます。
訪問型サービス
自宅にいながらいろいろな介護サービスが受けられます。
介護予防訪問入浴介護
寝たきりなどの理由から自宅の浴槽では入浴できない場合、浴槽を自宅に持ち込んで入浴介護を行うサービスです。
介護予防訪問リハビリテーション
理学療法士や作業療法士が訪問して、リハビリテーションを行うサービスです。
介護予防居宅療養管理指導
医師、薬剤師、歯科衛生士といった医療に従事する関係者が訪問し、療養中の健康管理や指導を行うサービスです。
介護予防訪問看護
看護師や保健師などが訪問し、療養中の世話や医療処置の管理や援助を行うサービスです。
病状の観察やバイタル、注射などを行います。
通所・宿泊型サービス
自宅から施設に通ったり、宿泊したりできるサービスです。
介護予防通所リハビリテーション
通称「デイケア」と呼ばれる通所介護の一種で、医療的なケア及びリハビリが中心となります。
介護予防短期入所生活介護
通称「ショートステイ」と呼ばれています。
数日から1週間くらいまでの間、施設に入所して入浴、食事、機能訓練などを行うサービスです。
このサービスは家族が家を留守にしたり、一時的に介護ができなくなったりしたときに利用します。
介護予防短期入所療養介護
こちらもショートステイの一種ですが、医療としての特性が強いサービスになります。
医療やリハビリが中心の宿泊サービスです。
介護予防特定施設入居者生活介護
特定施設とは「有料老人ホーム」「軽費老人ホーム」「養護老人ホーム」です。
「施設に住んでいる」とみなして、自宅で受けられる介護サービス全般を受けることができます。
介護予防小規模多機能型居宅介護
自立した生活ができるように入浴、排せつ、食事などの介助や支援、さらには機能訓練を行うことによって心身機能の維持、回復を図るサービスです。
対象者は要支援1、2の方となっています。
介護予防認知症対応型通所介護
軽度な認知症の方を対象として、デイサービスに通いながら入浴、排泄、食事の介助、機能訓練などが受けられるサービスです。
介護予防認知症対応型共同生活介護
認知症の方が少人数で共同生活を送ることによって、認知症の進行を遅らせたり自立して生活できるようにしたりするサービスです。
その他サービス
その他にも、自宅で介護しやすいようにするためのサービスがあります。
介護予防福祉用具の貸与
要介護者ができるだけ自宅で自立した生活が送れるように、福祉用具のレンタルを行うサービスです。
介護保険でレンタルできるものは、車椅子やベッドなど13品に限られています。
特定介護予防福祉用具販売
直接肌に触れる福祉用具は、レンタルするのにも抵抗があるものです。
たとえば腰かけ便座や入浴補助用具などは、購入することとなります。
年間10万円を限度として購入費用が補助されます。
介護予防住宅改修
足腰が弱くなって介護が必要になると、住宅のリフォームも必要になります。
たとえば、手すりやスロープの設置、和式トイレから洋式トイレの取り替えなどです。
20万円までなら1割(収入によって2、3割)の負担で住宅改修を行うことができます。
サービスの利用には認定調査を
介護保険サービスを利用するためには、認定調査が必要となります。
認定調査は、要支援・要介護の申請を行ったあと、各市区町村から認定調査員が家庭訪問して、本人、家族に聞き取り調査を行います。
調査は、74項目の基本調査に加えて特記事項などがあり、一次判定、二次判定を経て結果が通知されます。
一般的に申請から調査、結果通知まで30日くらいが目安となりますが、地域によっては1~2カ月かかるところもあります。
老老介護が予測される世帯と人数
2021年の国民生活基礎調査から、老老介護が予測される世帯数と人数を知ることができます。
それぞれ見ていきましょう。
老老介護が予測される世帯
2021年6月現在の全国の世帯総数は、5190万世帯です。
そのうち、65歳以上の者のいる世帯は2580万世帯で、全世帯の49.7%になります。
65歳以上の者のいる世帯の中でも、夫婦のみの世帯は825万世帯です。
65歳以上の者のいる世帯の32%が、夫婦のみの世帯ということになります。
夫婦の片方だけが65歳以上である世帯も含まれていますが、今後老老介護になるかもしれません。
また65歳以上の者のいる世帯のうち、65歳以上の者のみの世帯は1504万世帯です。
58%の世帯が65歳以上の者だけで構成されている家族と言えます。
親子であれ、夫婦であれ、兄弟であれ全員が65歳以上ということは、家族の1人が介護が必要な状態になると老老介護になってしまうということです。
老老介護が予測される人数
2021年度の65歳以上の人数は、約3820万人です。
家族形態でみると、夫婦のみの世帯の者が最も多く1525万人です。
65歳以上の者の家族形態は他にも、
- 子と同居
- 子夫婦と同居
- 他の親族と同居
などがあります。
いずれにしても将来的には老老介護になる恐れがあります。
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老老介護のまとめ
ここでは、老老介護について紹介してきました。
その要点を以下にまとめます。
- 老老介護とは、高齢者が高齢者を介護すること
- 老老介護になると介護する高齢者の身体的、精神的負担が大きくなるなど共倒れになる危険性がある
- 老老介護の負担を減らすには、介護保険サービスを上手に使う
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。