自律神経失調症では、手足のしびれなどの症状があらわれます。
自律神経失調症は発見が遅れやすい疾患であるため、しびれなどの特徴的な症状を知ることで、早期治療につなげることができます。
そこで本記事では、自律神経失調症と手足のしびれについて、以下の点を中心にご紹介します。
- 自律神経失調症の主な症状
- 自律神経失調症の治療方法
自律神経失調症としびれの対処のためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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自律神経失調症とは
自律神経失調症とは、自律神経のバランスが崩れた状態です。
自律神経は内臓機能やホルモン分泌をコントロールする神経で、交感神経と副交感神経から成り立ちます。
交感神経は、簡単にいえばアクセルの役割を果たし活動的にする神経です。
一方、副交感神経はブレーキの役目を担い、心身をリラックスさせます。
自律神経失調症は、交感神経の比重が大きくなる状態です。
心身がつねに緊張状態になるため、さまざまな不調があらわれやすくなります。
なお、自律神経失調症の原因は、多岐にわたります。
代表的な原因は以下の通りです。
- 生活習慣の乱れ(偏った食生活・運動不足・睡眠不足・飲酒・喫煙)
- 精神的ストレス
- 肉体的疲労
- ホルモンバランス
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自律神経失調症の主な症状
自律神経失調症の症状は、大きく分けて「身体的症状」と「精神的症状」の2つがあります。
自律神経失調症の症状のあらわれ方には個人差があります。
そのため、複数の症状があらわれることもあれば、一つの症状しかあらわれないこともあります。
どのような症状がどの程度あらわれるにしろ、日常生活に重大な支障がある場合は、速やかに病院を受診しましょう。
身体的症状
自律神経失調症の代表的な身体的症状の一つが、しびれです。
とくに手足のしびれが目立ちます。
手足がしびれる原因として、精神的・肉体的な疲労やストレスが挙げられます。
ストレスの蓄積は筋肉の硬直や血行不良を引き起こし、結果としてしびれ症状を出現させます。
自律神経失調症は神経の病気であり、外見には明らかな異常があらわれにくいです。
一見は健常者と変わらないため、症状があらわれても単なる不調で片付けられることも少なくありません。
しかし、自律神経失調症を放っておくと、その他の疾患の合併リスクが高まります。
なるべく早く心身の異常に気付き、受診につなげることが大切です。
中でもしびれは、自律神経失調症の代表的な症状の一つです。
手足にしびれがあり、しびれの原因となるようなケガ・疾患に心当たりがない場合は、自律神経失調症を疑いましょう。
自律神経失調症には、しびれ以外にも多様な身体的症状があります。
しびれに加え、以下のような症状が見られる場合は、自律神経失調症の可能性があります。
- めまい
- 便秘・下痢・腹痛
- 発汗・のぼせ・冷え性
- 頭痛・耳鳴り
- 不眠
- 倦怠感
精神的症状
自律神経失調症では精神的な症状もあらわれます。
主な症状は以下の通りです。
- 意欲・自発性の低下
- 気分が落ち込む
- イライラ・興奮
- 憂鬱
- 焦燥・不安感
精神的症状が悪化すると、うつ病の併発リスクが高まります。
自律神経失調症とうつ病は、発症原因や症状がよく似ています。
そのため、自律神経症状からうつ病に移行しても、うつ病に気付かないことも多いです。
自律神経失調症とうつ病は、よく似てはいても発症のメカニズムや治療方法は大きく異なります。
自律神経失調症の治療をしても、精神的症状が軽減しない場合、うつ病の併発が考えられます。
気になる症状がある場合は、改めて精神科などを受診しましょう。
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自律神経失調症の治療方法
自律神経失調症は、根本的な治療法や治療薬はありません。
治療法は諸症状の軽減を目指す対症療法や、非薬物療法によるストレスの改善が中心となります。
ただし、うつ病の併発や精神症状がある場合は、向精神薬などの薬物療法が選択されることもあります。
認知行動療法
認知行動療法は非薬物療法の一種で、精神的な問題解決を目的とします。
具体的には、認知のゆがみを正し、物事を合理的かつ前向きに捉えるための治療法です。
そもそも認知とは、物事の受け止め方・考え方のことです。
些細なミスをしたとき、とても気にする方とまったく気にしない方がいますよね。
この違いは、認知の仕方の違いによるものです。
自律神経失調症では、認知の仕方にゆがみが出ていることがしばしばあります。
たとえば、仕事のミスを気にしすぎる方がいるとしましょう。
過去のミスを気にするあまり、他のことが手につかず、新しい仕事に支障が出ています。
なぜ仕事のミスが気になるのでしょうか。
理由は、「仕事は完璧でなくてはならない」と思い込んでいるからです。
認知行動療法では、初めに自分の認知のゆがみパターンを把握します。
上記の場合では、「完璧でなくてはならない」というのが認知のゆがみです。
認知のゆがみを把握したら、次は、認知の仕方を少しずつ変化させていきます。
たとえば「ミスをしたなら、次は気をつければいい」というように、思考パターンを前向きに変化させていくのです。
自律訓練療法
自律訓練療法は、自己催眠によって心身をリラックスさせる方法です。
7段階に分かれており、決まった言葉を心の中で唱えながら、全身の力を抜いていきます。
終了後はスッキリした気分になるため、ストレスの軽減に役立ちます。
自宅で一人でも行えて、副作用のリスクがない点がメリットです。
環境を整える
自律神経失調症は、生活習慣の乱れから生じることも多いです。
生活習慣の乱れとは、睡眠不足や運動不足、飲酒・喫煙が代表的です。
反対に、生活習慣や生活リズムを整えると、自律神経のバランスも整いやすくなります。
十分な休息や禁酒・禁煙を心がけましょう。
生活リズムを整えるときは、交感神経と副交感神経のリズムを意識することも大切です。
交感神経が優位になる昼間は、しっかり身体を動かしましょう。
反対に、副交感神経が活発化する夜間は、ゆっくり身体を休めることが大切です。
交感神経と副交感神経のリズムにあわせて、生活にメリハリをつけると、自律神経が自然と整いやすくなります。
音楽療法
音楽が持つリラックス効果を利用して、自律神経のバランスを整える治療法です。
具体的には、音楽によってα波という脳波を出現させ、副交感神経の働きを優位にします。
あるいは、自分が好きな音楽を聞くのもおすすめです。
カウンセリング
カウンセリングは、自分が抱えている悩みや不調をカウンセラーに話すという治療法です。
言葉にすることで悩み・不調の原因を見つめ直すとともに、解決に向けた方法を探っていきます。
カウンセラーを務めるのは、精神科医や臨床心理士が一般的です。
カウンセラーの役割は、考え方の歪みや思考の癖を指摘したり、生活リズムの整え方を指導したりすることです。
自律神経失調症の方は、自分を客観的に見られなくなっていることが多いです。
カウンセラーによる客観的な指摘は、自分を見つめ直すことに大いに役立ちます。
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自律神経失調症の方の障害者手帳
自律神経失調症の方と障害者手帳について解説します。
概要
自律神経失調症の方が取得するのは、精神障害者保健福祉手帳が一般的です。
精神障害者保健福祉手帳は、精神障害によって日常生活や社会活動に重大な支障がある方に交付されます。
等級が1~3段階あり、精神障害の症状や程度によって分類されます。
申請は各自治体の窓口から行い、交付から2年ごとに更新が必要です。
受けられるサービス
精神障害者保健福祉手帳の取得者は、さまざまな優待や控除を受けられます。
受けられるサービスの例は以下の通りです。
- 公共料金の割引(NHK受信料・上下水道料金・交通機関料金)
- 各種税金の控除(所得税・住民税・相続税・自動車税)
- 生活福祉資金の貸し付け
- 障害者雇用率の適用
- 公営住宅への優先的な入居
しびれを伴うその他の疾患
手足のしびれは、自律神経失調症以外の疾患でも起こることがあります。
脳血管障害のリスクも高いため、しびれ症状が出た場合は、なるべく早めに脳の検査も受けておきましょう。
脳梗塞
脳梗塞は、脳血管が詰まる疾患です。
具体的な原因と症状を解説します。
原因
脳血管が詰まる原因は、脳に血栓という詰まりが生じるためです。
あるいは、血管が細くなって詰まることもあります。
いずれも根本的な原因は動脈硬化で、血管が脆くなるために起こります。
脳梗塞は発症後、治療開始が早ければ早いほど、後遺症のリスクを下げられます。
症状
脳梗塞の主な症状は以下の通りです。
- 手足や半身のしびれ・麻痺
- 歩行時にふらつく
- ろれつが回らない
- 嘔吐・頭痛
- 視界が二重写しになる
脳出血
脳出血は、脳血管が破れ、脳内で出血が起こる状態です。
代表的な疾患として、くも膜下出血があります。
原因
脳出血の主な原因は、高血圧です。
高血圧によって血管の負担が大きくなった結果、血管が脆くなり、破れやすくなるのです。
加えて、高血圧による動脈硬化も脳出血リスクを上げる要因の一つです。
症状
脳出血の主な症状は以下の通りです。
- 激しい頭痛・嘔吐
- 半身または全身の麻痺・しびれ
- 顔面神経麻痺(顔の片側がゆがむ)
- 歩行障害
- 視界が欠ける
- 呼吸障害
自律神経失調症のしびれまとめ
ここまで、自律神経失調症としびれについてお伝えしてきました。
要点を以下にまとめます。
- 自律神経失調症の主な症状は、手足のしびれのほか、めまい、腹痛、頭痛、気分の落ち込み、抑うつなど
- 自律神経失調症の治療方法は、認知行動療法、自律訓練療法、環境改善など
- 自律神経失調症の方は、精神障害者保健福祉手帳を取得できる場合がある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。