生理前後につらい症状を抱えている女性はたくさんいらっしゃいます。
実は、生理中の不快な症状は、自律神経の乱れと関係があります。
本記事では自律神経失調症と生理について、以下の点を中心にご紹介します。
- 自律神経失調症と生理の関係
- 自律神経失調症の女性に多い症状
自律神経失調症と生理の対策のためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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自律神経失調症とは
自律神経失調症とは、自律神経のバランスが崩れ、さまざまな不調があらわれた状態です。
代表的な発症原因は、ストレス・不規則な生活・ホルモンバランスの変化などです。
自律神経は交感神経と副交感神経から成り立ちます。
交感神経はアクセルの役割があり、心身を緊張・興奮させることで活動性を生み出します。
反対に、副交感神経はブレーキ役を担い、心身をリラックスさせて休息させる神経系です。
自律神経失調症では、交感神経が優位になるため、身体がつねに緊張状態になります。
特に女性は、生理・妊娠・閉経などによってホルモンバランスが変化しやすいため、自律神経失調症のリスクが高いです。
自律神経失調症について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
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自律神経失調症と生理の関係性
生理と自律神経失調症は、お互いに影響し合う関係です。
一方が悪化すると、もう一方も悪化しやすくなります。
生理と女性ホルモンの関係
前提として、生理には女性ホルモンが大きくかかわります。
具体的には、エストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンが関係しています。
女性ホルモンは生理前・生理中・生理後に、分泌量が大きく変動します。
女性ホルモンの増減は心身に大きな影響を与えるため、生理前後には不快な症状があらわれやすくなります。
自律神経と女性ホルモンの関係
一方、自律神経は全身の器官をコントロールする神経系です。
たとえば内臓機能やホルモン分泌の調整を司ります。
自律神経系と女性ホルモンを制御する分野は、どちらも脳の視床下部に存在します。
指令元が同じ場所にあるため、自律神経系と女性ホルモンは、互いに影響を受けやすいのです。
自律神経失調症では生理こない?
自律神経失調症は生理に大きな影響を与えます。
女性ホルモンのバランスが大きく変動する生理前後には、自律神経にも悪影響が出やすくなります。
女性ホルモンのエストロゲンには、自律神経を活発化させる働きがあります。
よって、生理に伴ってエストロゲンの分泌量が大きく増減すると、自律神経のバランスも崩れやすくなります。
反対に、自律神経の乱れが女性ホルモンのバランスに影響し、生理前後の不快な症状を悪化させることもあります。
たとえば、正常な月経周期に関係なく生理が起こる生理不順が代表的です。
生理不順の原因は多岐にわたりますが、代表的なのがストレスです。
自律神経失調症と生理の症状の関係
ストレスは、脳の視床下部にダメージを与えることで、自律神経のバランスを乱します。
自律神経のバランスが崩れて自律神経失調症になると、女性ホルモンのバランスにも悪影響が出ます。
女性ホルモンの分泌が正常に行われなくなるため、月経不順が起こりやすくなるのです。
自律神経失調症は、その他にも、さまざまな影響を生理に与えます。
たとえば生理前の月経前症候群(PMS)や、生理中のさまざまな不快な症状も、自律神経失調症と深く関わります。
生理とは
生理はエストロゲンとプロゲステロンが交互に分泌されることで起こります。
エストロゲンは排卵の準備を行うホルモンで、生理後〜排卵日にかけて分泌量が増えます。
プロゲステロンは妊娠に備えて身体を変化させるホルモンで、排卵後から生理前にかけて分泌されます。
2つの女性ホルモンは短期間で増減を繰り返しながら、生理を起こします。
非常にデリケートなバランスで成り立っているため、少しの刺激にも弱いのが特徴です。
自律神経失調症と生理の症状の関係
身体が長期間ストレスにさらされるため、ストレスに弱い女性ホルモンは悪影響を受けやすいのです。
女性ホルモンのバランスが乱れると、生理前・生理中に、さまざまな不調があらわれやすくなります。
生理前に起こる月経前症候群は、生理開始とともに症状が消えるのが一般的です。
ただし、自律神経失調症の方は生理中にも不調があらわれやすいです。
よって、月経前症候群が落ち着いても、引き続き心身に不快な症状が出ることが多いです。
自律神経失調症による生理の症状
結果として、自律神経と女性ホルモンの関係が悪循環に陥いるため、生理中の不快な症状が悪化し、生理痛が強くなることがあります。
なお、生理前・生理中の不快な症状には、以下があります。
【生理前の不快な症状(月経前症候群)】
- 腹痛・腰痛・頭痛・めまい
- 乳房の張り・痛み
- 吐き気・食欲不振
- 冷え・のぼせ
- イライラ
- 倦怠感・疲れやすい
【生理中の不快な症状】
- 腹痛・頭痛・腰痛
- 下痢・便秘
- 倦怠感
- 気分が落ち込む
女性は、閉経を迎えるときに自律神経失調症のリスクが高まります。
閉経とは生理が終わることです。
閉経が近づくと、卵巣機能が低下して、女性ホルモンの分泌量が激減します。
脳は女性ホルモンの量を増やそうとして、盛んに視床下部から卵巣に指令を出しはじめます。
視床下部からの指令が過剰になると、同じく視床下部に存在する自律神経系の指揮系統にも影響が出ます。
自律神経系のバランスが乱れやすくなるため、結果として自律神経失調症に至ります。
更年期の女性がさまざまな心身の不調を感じやすいのは、ホルモンバランスの変化による自律神経の乱れが原因なのです。
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自律神経失調症の女性によく見られる症状
自律神経失調症の症状は、大きく分けて精神的症状と身体的症状の2つがあります。
精神的症状
自律神経失調症の女性の主な精神的症状を紹介します。
不安・焦燥
根拠のない不安や焦りを感じやすい状態です。
原因は、交感神経が優位になり、つねに心身が緊張状態になることです。
イライラ・感情の起伏が激しい
些細なことでイライラしてしまいます。
生理前や更年期障害の女性に多い症状です。
落ち込む・憂鬱・やる気が出ない
気分が落ち込みやすくなり、憂鬱や孤独を感じやすくなります。
意欲が低下し、自発的に行動できなくなることも多いです。
身体的な症状
自律神経失調症の女性の主な身体的症状を紹介します。
頭痛・耳鳴り・目の痛み
頭部が重たく感じたり、頭・耳・目の奥に痛みを感じたりする状態です。
生理前後にあらわれやすい症状でもあります。
便秘・下痢
慢性的な下痢、あるいは慢性的な便秘症状が続きます。
または、下痢と便秘を交互に繰り返す場合もあります。
女性の自律神経失調症では、とくに便秘症状が目立ちます。
息苦しさや動悸
呼吸しても酸素をうまく吸えないような感覚になります。
パニックを起こすことも多く、動悸や意識障害を伴うこともあります。
睡眠障害
寝つきが悪くなったり、寝付いても何度も目が覚めたりする状態です。
睡眠不足が、自律神経失調症のさらなる悪化を引き起こすこともあります。
倦怠感・慢性的な疲労感
身体が疲れやすく、休んでも疲労が取れない状態です。
生理前後にあらわれやすい症状でもあります。
吐き気・食欲不振
胃もたれや、むかつきを感じやすくなります。
自律神経失調症によって消化器官のコントロールがうまくいかなくなることが原因です。
手足のしびれ・関節の痛み
手足の先にしびれるような感覚があります。
重篤な場合は、全身に痛みを伴うこともあります。
発汗・ほてり
気温や服装に問題がないにも関わらず、突然たくさんの汗をかいたり、身体が火照ったりする症状です。
更年期に多い症状でもあります。
自律神経失調症の症状について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
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自律神経失調症の原因
自律神経失調症の主な原因を解説します。
過剰なストレス
ストレスを感じると心身が緊張するため、交感神経が優位になり、結果として自律神経のバランスが崩れやすくなります。
対策としては、ストレスを感じないための工夫や、ストレスを発散させる工夫が必要です。
具体的には、趣味や好きなことをしたり、身体をゆっくり休めたりすることが大切です。
生活リズムの乱れ
生活リズムが乱れると、体内時計が狂いやすくなるため、結果として自律神経が乱れやすくなります。
反対に生活リズムを一定に保つと、自律神経のリズムが整いやすくなります。
たとえば就寝や食事は、なるべく毎日同じ時間に行うようにしましょう。
その他
自律神経失調症のリスクを高めるそのほかの要因は、以下の通りです。
- 環境の変化:進学・転職・引越しなど
- 生来の性格:几帳面・負けず嫌い・気が弱いなど
- 偏った食事:ビタミン・ミネラル不足など
- 窮屈な服装:ネクタイやベルトなど、身体を締め付けるもの
自律神経失調症の原因について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
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自律神経失調症の治し方
自律神経失調症の主な治療法を解説します。
薬物療法
薬物療法は、不安やうつ症状などの精神的症状に有効です。
多くの場合、抗不安薬・抗うつ薬などの向精神薬が処方されます。
漢方薬や睡眠薬が用いられることもあります。
自律神経失調症の薬について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
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心理療法
心理療法は、カウンセリングが代表的です。
カウンセラーは精神科医や臨床心理士が務めることが一般的です。
カウンセリングとは、自分が置かれている状況や心理状態を話すという治療法です。
自分の心の中を整理することで、自律神経を乱す原因と向き合い、適切に対処する方法を考えます。
カウンセリングには、カウンセラーによる生活指導も含まれます。
その他の治療法
自律神経失調症のその他の治療法を解説します。
認知行動療法
自分の物事の受け止め方や感じ方のパターンを把握する方法です。
自分の考え方のゆがみに気付き、物事を前向きに捉えるための視点を養います。
アサーション
自分も相手も大切にするという考え方です。
具体的には、相手を尊重しつつも自分の意見をしっかり伝える訓練を行います。
マインドフルネス
瞑想の一種です。
呼吸・五感を通して「現在の自分」に丁寧に向き合うことで、ストレスとも上手に付き合えるようになります。
自己治癒能力の向上
食生活や生活リズムを見直し、自律神経が整いやすい生活習慣を身に着けます。
つらい症状の緩和のために、漢方薬を用いることもあります。
理学療法
身体的なストレスを軽減させる方法です。
たとえばマッサージや指圧、温熱治療などを利用し、身体をいたわります。
自律訓練法
自己暗示の一種です。
決まった手順で自分に暗示をかけていき、意識的に全身の緊張をほどきます。
自律神経失調症に効果のあるセルフケア
自律神経失調症に効果のあるセルフケア方法を解説します。
記録をとる
どのようなときに心身の不調を感じやすいのかを書き留めます。
自律神経失調症の原因の多くはストレスであるため、適切に対処するには、まずストレスのもとを知らなければなりません。
記録を取ると自分のストレスパターンを把握できるため、対策を立てやすくなります。
食事
自律神経を整える効果のある栄養は、ビタミンB6、トリプトファン、炭水化物です。
その他にも、ビタミン・ミネラルは積極的に摂取したい栄養です。
また、腸内環境を改善させると、自律神経のバランスも改善されることが分かっています。
整腸作用のある乳製品や発酵食品もおすすめです。
【自律神経を整える食べ物】
- トリプトファン…ナッツ・大豆・乳製品・卵・バナナ
- ビタミンB6…レバー・魚・納豆・バナナ
- 炭水化物…米・穀類
【腸内環境を整える食べ物】
- 乳製品:ヨーグルト・チーズ
- 発酵食品:納豆・みそ・漬物
- 食物繊維:ごぼう・大根・わかめ・こんにゃく
生活リズム
自律神経を整えるには、生活リズムを整えることが大切です。
起床・食事・就寝の時間は、毎日なるべく一定に保ちましょう。
また、睡眠の質を上げることも重要です。
質の良い眠りは副交感神経を優位にして、心身の疲労を回復させるからです。
質の良い眠りを得るには、就寝前にリラックスしておくことが大切です。
ブルーライトは交感神経を刺激するため、就寝前のスマホ・パソコンは控えましょう。
また、就寝直前の食事は消化器官に負担をかけるため、安眠を妨げやすいです。
食事は、就寝の2~3時間前に終わらせましょう。
同じく就寝の2~3時間前に軽い運動・入浴を済ませると、スムーズな入眠を期待できます。
ストレス解消
ストレスは自律神経を乱す大きな要因です。
理由はストレスが交感神経を刺激することで、自律神経のバランスを乱すからです。
自律神経のバランスを整えるには、なるべくストレスをためない生活サイクルを意識しましょう。
ストレスがたまっている場合は、発散・解消させることが大切です。
趣味などに熱中することは、代表的なストレス解消方法です。
あるいは、身体をゆっくり休めることもよいストレス解消になります。
相談できるところ
自律神経失調症は、外見に明らかな病変やケガを伴いません。
一見健常者と変わらないため、つらい症状を抱えていても周囲に気付かれないことも多いです。
就労や進学に支障が出る場合も多く、誰にも相談できないという葛藤を抱えている方も少なくありません。
自律神経失調症に苦しむ方の相談場所として、精神保健福祉センターがあります。
精神保健福祉センターは、自律神経失調症をはじめ、精神症状や心の病気を抱えた方の総合案内窓口です。
適切な医療機関への誘導のほか、日常生活・就労などの総合支援を行っているところもあります。
各地自体に設置されており、相談は匿名でも行えます。
どこに相談すべきか迷っている方は、精神保健福祉センターに連絡を取るのも一つの方法です。
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自律神経失調症と生理のまとめ
今回は、自律神経失調症と生理についてご紹介しました。
自律神経失調症と生理についての要点を以下にまとめます。
- 自律神経失調症と生理は、女性ホルモンを通して相互に影響し合う関係
- 自律神経失調症の女性に多い症状は、イライラ・落ち込みなどの精神的症状や、腹痛・倦怠感・不眠などの身体的症状
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。