風邪でもないのに悪寒がする…そんなときは自律神経失調症が疑われます。
自律神経失調症を放置すると、慢性的な不調につながりやすいため、早めに対策を打つことが大切です。
本記事では自律神経失調症と悪寒の関係について、以下の点を中心にご紹介します。
- 自律神経失調症と悪寒の関係
- 自律神経失調症による悪寒を改善する方法
自律神経失調症による悪寒の対策のためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
自律神経について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
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自律神経失調症とは
※画像はイメージです
自律神経失調症は自律神経のバランスが崩れ、心身にさまざまな不調があらわれている状態です。
自律神経とは、全身の臓器を制御する神経系です。
自律神経のバランスは、交感神経と副交感神経の交代によって保たれています。
交感神経は、活動性を生み出す神経系です。
昼間や興奮・緊張時に優位になり、脈拍や血圧、体温の上昇に関わります。
対して、副交感神経は心身を休息させる神経系です。
夜間やリラックスしているときに優位になり、蓄積した疲労の修復を行います。
心身の健康は、交感神経と副交感神経が互いに入れ替わることで、維持されます。
交感神経と副交感神経のリズムが乱れると、心身に不調をきたしやすくなります。
つまり、自律神経失調症と呼ばれる状態に至ります。
自律神経失調症の主な症状は、悪寒やめまい、不眠といった身体的な症状です。
あるいは、イライラ・不安・うつなどの精神的な症状が出ることも多いです。
自律神経失調症の原因はさまざまですが、代表的なのは「ストレス」「不規則な生活」「ホルモンバランスの変化」などです。
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自律神経失調症と悪寒の関係
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あわせて、その他の症状についても解説します。
自律神経による悪寒の原因
自律神経失調症によって悪寒があらわれるのは、体温調節機能が低下するためです。
具体的には身体を十分に温めることができなくなり、結果としてゾクゾクするような寒気=悪寒が生じます。
自律神経は、気温の変化に応じて体温を調節する機能を担っています。
たとえば、暑い時に汗が出るのは、自律神経が汗腺を刺激するためです。
反対に、寒いときは自律神経が末端の血管を収縮させて血流を低下させ、体温の低下を防ぎます。
自律神経失調症になると、交感神経が優位になりやすくなります。
交感神経は血管を収縮させ、血圧を上げることで、身体を興奮状態にします。
交感神経が活発化しすぎると、血管の収縮時間も長くなります。
全身の血流が低下するため、手足の先などの末端に血液が届きにくくなります。
血流が低下した部分では、体温が低くなります。
すなわち自律神経失調症では、手足の先などが冷えやすい状態に陥ります。
血流が悪い状態が長引けば、手足だけでなく、内臓の温度も低下しやすくなります。
全身が冷え切ってしまうため、悪寒の症状があらわれることがあります。
自律神経失調症による悪寒は、数分で収まることもあれば、一日~数日にわたって続くこともあります。
また、じっとしているときに寒気を感じやすいのも、自律神経失調症による悪寒の特徴です。
悪寒がするほど身体が冷えると、悪寒以外にもさまざまな不調があらわれやすくなります。
たとえば風邪が代表的な症状です。
体温が低下すると免疫機能も下がるため、風邪やウイルス性の疾患にかかりやすくなります。
あるいは、身体が冷えるため下痢になったり、睡眠に支障が出たりすることも多いです。
また、血流の悪化にともない、肩や首のコリがひどくなることもあります。
自律神経失調症の悪寒以外の症状
自律神経失調症では、悪寒以外にもさまざまな症状があらわれます。
なお、自律神経失調症の症状は、「身体的症状」と「精神的症状」に分けられます。
【自律神経失調症の身体的症状の例】
- 悪寒
- 頭痛・めまい・耳鳴り
- 手足のしびれ
- 息切れ・動悸
- 便秘・下痢
- 胃痛・食欲不振
- 倦怠感・疲れやすい
- 不眠
【自律神経失調症の精神的症状】
- 不安・焦燥
- イライラ・興奮しやすい
- 気分が落ち込む
- やる気が出ない
もし悪寒や寒気に加えて、上記の症状がある場合は、自律神経失調症が疑われます。
ただし、自律神経失調症の症状は個人差が大きいため、上記の症状があらわれない場合もあります。
悪寒の原因として、風邪やその他の疾患に心当たりがない場合は、自律神経失調症の可能性を疑ってください。
自律神経失調症の症状について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
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自律神経失調症による悪寒の治し方
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そのため悪寒を治すには、身体を温めることが大切です。
自律神経失調症によって悪寒症状が出ている場合、手足だけでなく内臓の温度が下がっていることも少なくありません。
よって、体表面だけでなく身体を内側から温めるような工夫をしましょう。
また、身体の冷えを放っておくと慢性的な不調に発展しやすいため、早めに手を打つことが大切です。
体を温める食べ物を摂る
まず、冷たい飲み物・食べ物はなるべく控えましょう。
たとえば、水を飲むときは、常温か白湯がおすすめです。
また、身体を温める作用がある食べ物は積極的に取り入れましょう。
身体を温める食材として代表的なのは、以下のような根菜や発酵食品です。
- ごぼう
- にんじん
- かぼちゃ
- たまねぎ
- 玄米
- 納豆
- キムチ
- 紅茶
- ウーロン茶
適度な運動
運動すると血管が広がりやすくなるため、体温の上昇が期待できます。
ウォーキングや水泳のような有酸素運動は、身体への負担もかかりにくいのでおすすめです。
また、体幹の筋肉を鍛えることも大切です。
筋肉は熱を作り出す働きがあるため、身体が芯から温まりやすくなります。
体幹を強化できる運動は、以下のようなものがあります。
- ウォーキング
- 水泳
- スクワット
- ピラティス
- ダンベル
カイロや腹巻を活用する
お腹周りを温めることで、内臓の働きがよくなります。
カイロや腹巻を利用して、お腹を冷やさないようにしましょう。
特に、お腹が冷えて下痢になりやすい方におすすめの方法です。
ゆっくり湯船につかる
湯船にゆっくり浸かると、全身の血流が促進されて、体温が上がりやすいです。
ポイントは、38℃~40℃程度のぬるま湯に20分程度浸かることです。
熱湯はかえって湯冷めを招きやすいため、冷え性の方は控えましょう。
また、入浴中や入浴後にふくらはぎや全身をマッサージすると、さらなる血行促進が期待できます。
自律神経失調症の治し方について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
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悪寒の別の原因
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高熱などの風邪症状や、自律神経失調症に心あたりがない場合、以下の原因が考えられます。
月経周期
特に、排卵日のあとから生理の間に悪寒がある場合は、女性ホルモンのバランスが影響している可能性が高いです。
排卵後から生理までの期間は、身体が妊娠に備えるため、自動的に体温が上がります。
妊娠しないまま生理が始まると、今度は体温が急激に低下します。
そのため、場合によっては悪寒がするほどの寒気を覚えることがあります。
更年期障害
閉経や更年期を迎えると、女性ホルモンの分泌量が急激に低下するため、女性ホルモンのバランスが崩れやすくなります。
女性ホルモンの司令塔は、自律神経系と同じ分野に存在しています。
よって、更年期障害によって女性ホルモンのバランスが崩れると、自律神経にも悪影響が出やすくなります。
つまり、自律神経による体温調節機能が低下するため、身体が冷えやすくなり、悪寒を感じることがあるのです。
自律神経失調症かもと思ったら
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特に自律神経失調症は、明らかな病変やケガがないため外からは見えにくいのが特徴です。
つまり、自律神経失調症による心身の不調に気づけるのは自分しかいません。
つらい症状で生活や仕事の質を損なう前に、治療を受けましょう。
自律神経失調症に対応している診療科は、たとえば以下があります。
特に不安・イライラや、不安で眠れないなどの精神症状が出ている場合におすすめです。
- 心療内科
- 精神科
あるいは、つらい身体的症状がある場合、症状にあわせて診療科を選ぶ方法もあります。
- 呼吸器内科→循環器内科:動悸・息切れ・胸痛
- 婦人科・産婦人科→月経にまつわる不調・更年期障害
- 消化器内科→下痢・便秘・胃痛
- 整形外科→肩・首のコリ
- 耳鼻科→耳鳴り・めまい
- 内科・総合診療科→全身的な症状・何科に行けばよいか分からない
自律神経失調症の診断について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
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悪寒と自律神経失調症のまとめ
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要点を以下にまとめます。
- 自律神経失調症では体温調節機能が低下するため、身体が冷えやすくなり悪寒が出ることがある
- 自律神経失調症による悪寒の対策は、「身体を温める食事」「適度な運動」「入浴」「カイロや腹巻の活用」などの身体を冷やさないことが大切
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。