高齢になると定期的に病院通いすることが多くなります。
健康状態によっては、付き添いなどの通院介助が必要になる場合もあります。
「仕事があるので毎回、付き添うわけにもいかない」という方も多いでしょう。
そのようなときには、介護保険を利用して通院介助サービスを受けましょう。
ただし適用範囲が細かく指定されており、利用する際にわかりにくい点も多いのが介護保険の通院介助です。
知らないと自費となることもあるので注意が必要になります。
そこで今回は、以下の点を中心に解説していきます。
- 介護保険による通院介助はどこまでが適用されるのか
- 費用はどれくらいかかるのか
- 利用したいときにはどうすればいいのか
ぜひ最後までご覧いただき、通院介助サービスを受ける場合にお役立てください。
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通院介助は介護保険に適用される?
通院介助は介護保険に適用されるのでしょうか?
解説していきます。
通院介助とは
通院介助とは、通院するために必要な移動の介助を依頼できるサービスです。
待ち時間を含めると通院は長い時間がかかります。
とくに高齢者は、複数の診療科をまわるというのも珍しくありません。
毎回ご家族で病院への付き添いをすることは大きな負担となるでしょう。
そこで、少しでも負担を軽くするため利用したいのが通院介助です。
介護保険が使えれば、経済的な負担も軽くて済みます。
対象者は?
介護保険を適用して通院介助を受ける場合、いくつかの条件があります。
まず、介護認定が要介護1~5に該当していること。
そして、ケアマネージャーが必要と考えてケアプランに組み込まれていることです。
ですから、要支援の方や高齢者だからといって誰もが介護保険で通院介助してもらえるとは限らないのです。
条件次第で適用される
通院するために家を出て、戻ってくるまでが通院介助だと思っている方も多いでしょう。
しかし、介護保険が適用される介助とそうでない介助があります。
少し複雑なのですが、病院内での介助は「介護保険」ではなく「医療保険」が適用されるため、医療機関側で行うべきだという考え方です。
たとえば、病院内でのトイレ介助や移動介助は介護保険の適用範囲となります。
一方で待合室で待っている間の時間は介護保険適用外となってしまいます。
しかし、現実問題として個人病院などでは介助できる人がいないか少ないため、介助が必要でも介助できないケースもあります。
そのような場合は介護保険が適用できるケースもあり、事前にケアマネージャーと病院側、そして各市町村での調整が必要となります。
(参考サイト:船橋市ホームページ)
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介護保険に適用されないケースもある
介護保険を利用して通院介助を受けようとする場合、いくつかの制約があり、介護保険に適用されないケースもあることを知っておきましょう。
自宅以外から通院する場合
介護保険で適用される通院介護は、自宅あるいは老人介護施設での訪問介護に当たるサービスです。
あくまでも自宅で介護生活を送る方のためのサービスですから、自宅以外の場所から通院するために介護保険を使うことはできません。
たとえば、親戚や子どもたちの家から通院する場合、またヘルパーさんと最寄りのバス停で待ち合わせをして通院する場合などは自宅からではないため介護保険は適用されないので注意しましょう。
寄り道はNG
せっかく外に出たから、ついでに銀行や買い物に寄っても問題はないだろうと考えがちです。
しかし、この場合は介護保険の適用外となり自費になります。
あくまでも通院介助の範囲を超えることはできません。
ただし、診察後に近くの処方箋薬局まで介助してもらうというのはケアマネージャーが必要性を認めた場合には適用となることが多いようです。
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通院介助の費用は?
では、介護保険適用で通院介助を利用するときにはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。
徒歩や公共交通機関の場合
この場合は、訪問介護のサービス内容のなかの身体介護にあたります。
自己負担割合が1割の場合、20分未満で167円、30分以上~1時間未満で396円、1時間以上になると579円プラス30分ごとに84円が加算されていきます。
たとえば通院で往復4時間かかったとすると1,083円となり、これに本人とヘルパーさんの交通費が加わります。
介護タクシーの場合
介護タクシーを利用した場合には、介護保険の通院等乗降介助が適用されます。
自己負担割合が1割の場合、1回当たり99円となります。
これに運賃や介助費用、介護器具のレンタル料が加算されます。
介助費用は手を貸せば自力で降りられるのか、車いすが必要なのかなど乗降スタイルによって変わってきます。
また、介護器具をレンタルした場合にもそれぞれ費用がかかります。
事前にサービス事業者に料金体系を確認しておきましょう。
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利用開始の手順は?
要介護1~5が適用され、介護保険による通院介助を希望する場合の手順は以下のようになります。
- まずは、担当のケアマネージャーに相談しましょう。
- ケアマネージャーが通院介助の必要性を確認したら、ケアプランに組み込みます。
- サービスを提供してくれる事業者と契約を交わしたら、指定した日時より通院介助で病院に通うことができます。
通院介助にお金をかけたくないと感じたら
たとえ介護保険を使ったとしても通院介助にはお金がかかります。
また、介護保険の枠を使い切ってしまったというケースもあるでしょう。
その場合には
- 家族が通院介助をする
- 自治体やボランティアが提供するサービスを利用する
- 訪問診療を受ける
という方法が考えられます。
家族が通院介助できない場合には、さまざまな団体やNPO法人などで福祉車両での送迎をしてくれるところもあるので調べてみましょう。
また自宅療養中であり、一人では通院できないという場合には医師が定期的に自宅に来てくれる訪問診療も検討してみてはいかがでしょう。
制限のない移動がしたいのであれば
介護保険を使った通院介助は、細かな制限があるため使いにくいという方もいるでしょう。
あるいは、通院だけでなくいろいろな場所に連れて行ってくれる手段があればいいなと思っている方もいるでしょう。
そのような場合には、自費にはなりますが福祉タクシーが便利です。
福祉タクシーとは
福祉タクシーは高齢者だけでなく、年齢に関係なく身体が不自由な方の移動をサポートする車両の総称です。
一般的なタクシーとは違いワンボックスタイプの車両がほとんどで、車いすやストレッチャーが乗降しやすいように電動リフトなどが装備されています。
また、利用者や利用目的に制限はありません。
福祉タクシーと介護保険タクシーはどこが違う?
介護保険タクシーは、介護職員初任者研修以上の資格を持つドライバーが乗降や移動の介助を行うことができます。
しかし、福祉タクシーのドライバーはこうした資格が必要ないため乗降に対して直接介助することはできません。
もし、介助が必要な方で福祉タクシーを利用する場合には介助する家族の方などが行う必要があります。
介護保険と通院介助のまとめ
ここでは、介護保険が適用される通院介助について紹介してきました。
要点を以下にまとめます。
- 介護保険による通院介護は、要介護1~5に該当する方で、ケアマネージャーが必要とした場合に適用される
- 費用は、公共交通機関を使う場合は、本人とホームヘルパーさんの交通費と介護サービス料
介護タクシーを使う場合は、運賃や介助費用、介護器具のレンタル料が加算される - 介護保険による通院介助を利用する場合は、ケアマネージャーに相談してケアプランを立て、サービス事業者と契約する
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。