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健達ねっと>介護お役立ち記事>在宅介護>介護におけるQOL向上には何が必要?定義やADLとの関係を解説!

介護におけるQOL向上には何が必要?定義やADLとの関係を解説!

介護される方の「QOL」をどうしたら維持・向上できるのかについて、悩まれる方も多いのではないでしょうか。
またそもそもQOLとは何か知らない方もいらっしゃると思いますので、まずはQOLの定義とはどういったものなのかというところから知っておきましょう。

本記事では、介護におけるQOLについて以下の点を中心にご紹介します。

  • 介護におけるQOLの意義
  • QOLが低下してしまう理由
  • QOLを維持・向上させるために効果的なこと
  • QOLを測る評価方法

QOLとADL・介護予防サービスとの関係性についても触れていますので、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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介護におけるQOLとは?


そもそもQOLとは「Quality of Life」のことです。
単語の頭文字を取ることで「QOL」というワードが作られました。
「Quality of Life」とは日本語で生活(生命)の質という意味を示しています。

QOLは、「個人が生活する文化や価値観の中で目標や期待、基準および関心に関わる自分自身の人生の状況についての認識」であるとWHO(世界保健機構)によって定義されています。

では、一体なぜ介護においてQOLを向上させる必要があるのでしょうか。
それは、QOLを向上させることが被介護者の生活を充実させ、生きがいや楽しみをもって幸福に過ごせるようになることに繋がると考えられるからです。

QOLは被介護者の心に向き合って考えるため身体的な負担を和らげたり、再び社会へ参加する機会を設けたりすることも可能となります。

また、被介護者がより前向きに歩んでいくための「道標」となりますので、介護者は「QOL」を意識しながら介護を行うことが大切です。

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QOLが低下してしまう理由は?


次に取り上げるのは、なぜQOLが低下するのかについてです。
QOLが低下してしまう理由には、4つの事柄が関係していると考えられます。

運動不足

1つ目は「運動不足」です。
例えば、最近足腰が弱ってきたと被介護者自身も自覚がある場合、歩くことを敬遠して車椅子などを利用するケースも多いです。

しかし、弱ってきたことを理由として足の筋肉を使わなくなってしまうと、そのまま歩けなくなってしまうリスクが高くなります。

また、無理に運動しすぎてしまうのも逆効果となるため、こちらもQOLの低下となる可能性が高くなるため注意しましょう。

バランスの悪い食事状況

2つ目の理由は「バランスの悪い食事状況」です。

バランスが悪い食事とは具体的にいうと、食事で摂取する栄養バランスが偏っていたり、摂取カロリーが適切でなかったりする状況のことです。
食事のバランスが悪い場合、健康に悪い影響を及ぼすリスクが高くなるため気を付けましょう。

QOLを維持し、さらに向上させていくには「健康」を意識する必要があります。
ですので、食事状況の見直しを行うことも重要だといえます。

コミュニケーション不足

3つ目に考えられる理由は「コミュニケーション不足」です。

これまで当たり前にできていたことが突然できなくなると、被介護者はショックを受ける可能性が高いです。ショックを受けたことによって人との関わりを避けるようになり、人間関係が希薄になっていくことも考えられるため気を付ける必要があります。

また、コミュニケーションが不足すると同時に、意欲も低下していく可能性があるため注意しましょう。

意識低下

4つ目に考えられる理由は「意欲低下」です。
身体の状態などを理由とし、積極的に活動することが難しくなるとストレスから意欲低下を招く可能性があります。

しかし、介護される方の気持ちを無視して、社会活動への参加をすすめるとストレスがかかるため、この場合にもQOLの低下に繋がるケースもあります。
ですので、介護者はあくまでも介護される方の気持ちを尊重しながら、サポートを行ってください。

また、サポートを行うためには、まずは介護される方の気持ちを知る必要があります。
ですので、ぜひこの機会に介護される方と向き合ってみてはいかがでしょうか。

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QOLの維持・向上には?


次は、QOLを維持・向上するために、介護される方に行って欲しいことについてご紹介します。

QOLを維持・向上させるために行って欲しいことは以下の4点です。

  • 適度な運動
  • バランスの取れた食事
  • 積極的な社会的交流
  • 趣味を持つ

具体的にどのようなことを行うのかについて、上から順番に一つずつ見ていきましょう。

適度な運動

まずは「適度な運動」についてです。
運動不足によるQOLの低下を防ぐには、適度な運動を行う必要があります。

具体例を挙げると、介護される方の足が弱り、歩行に不安を感じている場合には、まずはなるべく自力で行えるようなサポートを行う必要があります。

自力で行えるようなサポートには、杖などの補助器具を使う方法や、こまめに休憩しながら少しずつ歩行する方法などがありますので相手の状態に合わせて選択することをおすすめします。

また、被介護者にとってちょうどよいサポートを行うことも重要となります。
ですので、今できることをなるべく維持しながらお出かけなどの楽しい時間も充実させるようにしましょう。

バランスの取れた食事

食生活とQOLには、実は深い関係があります。
栄養素やカロリーなどのバランスの取れている食事を摂取することで、身体を健康に維持することができます。

健康を維持することで防ぐことができる疾病もあるため、疾病が原因となるQOLの低下も防ぐことが可能です。
食事のバランスを考える場合には「6つの基礎食品」を意識しながら、バランスよく摂取するようにしましょう。

また、1日の食事に「30種類の食品を入れる」など明確な目標を掲げると、分かりやすいだけでなく継続しやすくなるのでおすすめです。

主食、主菜、副菜をうまく組み合わせバランスを取りながら、美味しくて楽しい食事となるように工夫することが大切です。
調理方法が偏ると、食事のバランスが悪くなる可能性が高くなるため注意しましょう。

栄養バランスについてより詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。

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積極的な社会的交流

身体的な事情によるショックから、人との付き合いを敬遠される方もいますが、QOLを維持・向上させるにはコミュニケーションが必要です。

社会的な交流と耳にしてもイメージしにくい場合には、例えば「週に1回スーパーに買い物に出かける」など無理のない範囲で行うことをおすすめします。
人のいる場所へ出かけることで、必然的にコミュニケーションが生まれます。

また、散歩やお出かけをすると気分転換することができるため、併せて美味しいものを食べたり、親しい友人とカフェに出かけたりするのもおすすめです。

このように、QOLを向上させて充実した生活を送るためには、まずは介護者が被介護者の声に耳を傾ける必要があります。

しかし、介護者の常識などを元に被介護者の意見をすぐに否定していると、素直な気持ちを話せない環境となるため注意しましょう。
介護者は心に余裕をもって被介護者に接し、相手の思いをまずは受け止めるようにすることをおすすめします。

趣味を持つ

QOLを維持・向上させるためにぜひ行って欲しいことは「趣味持つ」ことです。

身体的な事情などで、以前楽しんでいたものができなくなった場合には、できる範囲内で体験教室などに参加してみるのもおすすめです。

新しい趣味を行う場に足を運ぶことによって、新しい趣味や気の合う仲間と出会うきっかけを作ることができる可能性があります。

また新しい出会いによって介護される方の意欲が高まり、身だしなみをはじめとした様々なことに興味を持つきっかけになることもあります。

もし、介護される方が強い意志で参加を拒否される場合には無理に勧めたりしないようにしてください。
介護者は、被介護者の価値観や興味を持っている分野などを見極めて、相手の気持ちに沿ったサポートを行うようにしましょう。

QOLを図る評価方法がある?

疑問
ここまでQOLについて詳しく解説してきましたが、実は評価する方法があります。
SF-36とWHO QOL-26になります。

次はこの2つについて詳しくご紹介していきます。

SF-36とは?

まずは「SF-36」についてです。

そもそも「SF-36」とは、アメリカのQualitestが提供しているQOLを評価するための調査票のことをいいます。
「健康関連QOLを測定するための、科学的で信頼性・妥当性を持つ尺度」であると定義されており、疾患のある方もない方も包括的に評価することが可能です。

ちなみに、SF-36は日本だけでなく世界170か国以上で普及しているため、世界中の多くの方に使用されている調査票であるともいえます。

以前はExcelのものもありましたが、現在はインターネットを使用してWebブラウザから行う「Web版スコアリングシステム」のみが販売されています。(公式サイトから気軽に入手することができますのでご安心ください。)

ちなみに、SF-36を使用する場合は8つの健康概念」への質問に対して2段階から回答を行い、直接Webブラウザ上で入力していきます。

  • 身体機能
  • 日常役割機能(身体) 
  • 体の痛み 
  • 全体的健康感
  • 活力
  • 社会生活機能
  • 日常役割機能(精神)
  • 心の健康

標準スコアリング方法に基づいて評価を自動的に算出してくれるため、とても便利にお使いいただけます。
また、8つの項目の中から気になるもののみの評価を行うことも可能です。

備考ですが、WebブラウザはInternet Explorer 11、Microsoft Edge、Google Chrome、そしてSafariの最新版に対応しています。

WHO QOL-26とは?

次は「WHO QOL- 26」についてです。
そもそも「WHO QOL- 26」とは、WHOが提供しているQOLを評価するための調査票のことをいいます。

WHOが定めたQOLに対する定義に基づき、5年以上の月日をかけて開発され、日本では1997年に初めて刊行されました。

対象年齢は18才以上の方で、以下の4項目を含めた24問と、QOL全体に関する2問をトータルした計26問により質問が構成されています。

  • 身体的領域(日常生活動作・移動能力など)
  • 心理的領域(否定的感情・肯定的感情など)
  • 社会的関係(人間関係・社会的支えなど)
  • 環境関係(金銭関係・自由・安全と治安など)

質問では過去2週間の間にどのように感じ、どのくらい満足し、そしてどのくらいの頻度で経験したのかを問われます。

「まったくない」から「非常に」などの5段階から回答することが可能ですので、より自分に合っている状態を選択することができます。
回答時間はたったの10分ですので、こちらの調査票も気軽に行うことが可能です。

しかし、WHO QOL-26は公式サイトから購入することができますが一般家庭への配送は行っていません。
購入することができる職種や専門機関なども限定されているため注意しましょう。

また、企業をはじめとする機関で使用する場合には医師などの指導の下で使うようにしてください。

健達ねっとECサイト

QOLとADLは密接な関係にある?


QOLとよく似ている「ADL」というワードを見かけたことがあるのではないでしょうか。
実は、この2つは密接な関係性であるといえます。

ADLとは一体何なのか、そしてADLとQOLの関係性を併せてご紹介します。

ADLとは?

そもそもADLとは「Activities of Daily Living」の単語ごとの頭文字を取って、組み合わせて作られたワードのことです。
「Activities of Daily Living」を日本語に訳した、「日常生活動作」という名称でも呼ばれます。

ADLは具体的に挙げると、歩く・服を着替える・排泄をするなど、日常生活の中で行う基本的な動作のことを言います。

被介護者に備わっている「基本的な動作能力」や「自立度」を客観的に示すための指標として、ADLの概念が生まれました。

ADLについてより詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。

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ADLとQOLにはどんな関係がある?

ADLとQOLは密接な関係にあります。
QOLを充実させて、身体機能を維持・向上することで、ADLの向上に繋がります。
また、反対にADLを向上させて、身体機能を維持・向上させることにより、QOLを向上させることもできます。

このようにどちらにも影響を与えるため、片方が低下するともう片方も低下します。
つまり、相互のバランスを大切にする必要がありますので、意識しながら介護を行うようにしましょう。

薬の使い方

介護予防サービスがQOL向上に繋がる?


結論からいうと、介護予防サービスを利用するとQOLの向上に繋がります。
しかし、そもそも介護予防サービスや介護予防事業について知らない方も多いと思いますので、まずは解説させていただきます。

そもそも介護予防サービスとは、その名の通り介護予防を目的として行うサービスのことです。
介護を予防したいと思っている方の多くは自宅で居住しているため、在宅で行うことができるサービスも多く含まれています。

要支援1・2の方が利用できる介護予防サービス

まず、要支援1と要支援2の方が利用することができる介護予防サービスとして、以下の3つを挙げることができます。

介護予防訪問介護

サービスを利用する方の自宅にヘルパーが訪問して、食事介助から洗濯、調理など幅広い支援を行うサービスです。
利用する方が自立した生活を送ることを目的とし、ケアプランに基づいてサービスが提供されます。

介護予防通所介護

訪問ではなく、利用者がデイサービスなどに通うことによってサービスを受けます。
主に食事介助や入浴介助等を受けることができます。

レクリエーションや運動などを実施して、身体機能の向上・維持を図っている施設も多いです。

介護予防通所リハビリテーション

病院や介護老人保健施設などに通いながら、在籍している理学療法士や作業療法士によってリハビリテーションを行ってもらうサービスです。

サービスを利用する方が在宅で自立した生活を送ることができるように身体機能の向上・回復を目的とするサービスを提供します。
近年では関節可動域の訓練やバランスボールを用い、リハビリ等を実施する病院も増えています。

要支援認定が1から2の方(高齢者)を対象としている地域密着型の介護予防サービス

次に、要支援認定が1から2の方(高齢者)を対象としている地域密着型の介護予防サービスを紹介します。

介護予防小規模多機能型居宅介護

介護を必要とする方が自立した生活を送っていけるように、食事・排泄などの介護を行なってくれるサービスです。

施設に通ってサービスを受けることが多いですが、状況に応じて訪問介護や短期間の入所サービスを行うことも可能です。

ケアプランに沿った介護予防サービスを提供してもらうことができます。
具体的に提供してくれるサービスの内容としては、入浴介助や食事介助、身の回りのお世話やリハビリテーションなどがあります。

介護予防認知症対応型サービス

認知症の高齢者を対象として行われる介護予防サービスです。
介護予防認知症対応型サービスには主に2種類あります。

まずは1つ目の、デイサービスなどの通所でサービスを受けることができる介護予防認知症対応型通所介護についてです。

主に、軽い認知症の高齢者を対象とした食事介助や排泄介助、入浴介助などを行います。
その他にも、生活に関する相談や介護される方の健康状態の確認、そしてリハビリテーションなども受けることができます。

2つ目は、住居で共同生活を送る介護予防認知症対応型共同生活介護についてです。

住居に5人~9人程度(少人数)が共同で暮らし、介助からリハビリテーションまでを行います。
サービスを利用する方ができる限り自立した日常生活を送れるようにすることを目的としています。

また、アットホームの雰囲気を作って症状の進行を遅らせる効果も期待できる共同生活介護は、要支援2の方のみが利用することができます。

総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)

そして、最後は要支援1と要支援2の方、そして65歳以上のすべての高齢者が対象となる総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)についてです。
総合事業の場合は要介護認定の申請を行わなくても利用することができます。

「一般介護予防事業」とは、まず市区町村が主体となって住民や民間サービスと連携しながら、利用する高齢者の生活をサポートしてくれるサービスです。
日々の暮らしの中に生きがいを作ることを重視してくれるため、介護予防に役立つ事業であるといえます。

 このように、介護予防サービスとはかなり種類が豊富で幅広いことがお分かりいただけたと思います。

介護予防についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。

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介護とQOLのまとめ


ここまで、介護におけるQOLについての情報を中心にお伝えしました。
要点を以下にまとめます。

  • QOLは、WHOによって「個人が生活する文化や価値観の中で目標や期待、基準および関心に関わる自分自身の人生の状況についての認識」と定義されている
  • QOLを向上させることが、被介護者の生活を充実させ、生きがいや楽しみをもって幸福に過ごせるようになることに繋がる
  • QOLが低下してしまう理由として運動不足やバランスが悪い食事状況、コミュニケーション不足、意欲低下の4つが挙げられる
  • QOLを維持・向上させるには、適度な運動とバランスの取れた食事をすること、積極的な社会的交流、そして趣味を持つことが効果的
  • QOLを測る評価方法には「SF-36」と「WHO QOL-26」の2種類がある

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
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  • 障がい者雇用

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