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健達ねっと>介護お役立ち記事>介護保険>混合介護とは?現時点での課題と規制緩和前後の変化についても解説!

混合介護とは?現時点での課題と規制緩和前後の変化についても解説!

要介護者の利便性を高めるために現在、混合介護を緩和しようという動きがあります。
混合介護は利用者に多くのメリットをもたらす一方、詐欺などのデメリットの要因となることもあります。

本記事では混合介護について、以下の点を中心にご紹介します。

  • 混合介護とは
  • 混合介護が抱える問題
  • 混合介護が緩和された場合のメリットとデメリット

混合介護を知るためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

介護保険で利用できるサービスに興味がある方は下記の記事も併せてお読み下さい。

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混合介護とは

介護の相談
混合介護は、介護保険サービスと介護保険外サービスを混ぜて利用することです。

両者の違いはさまざまですが、最も大きな違いは自己負担割合です。
介護保険サービスは、利用者の収入に応じて費用の1~3割負担で利用できます。
一方、介護保険外サービスは介護保険が適用されないため全額自己負担しなければなりません。

介護保険サービスと介護保険外サービスの具体的な内容は以下の通りです。

【介護保険サービスの内容】

  • 訪問介護
  • 訪問看護
  • 通所介護
  • 短期入所生活介護
  • 小規模多機能型居宅介護
  • 特別養護老人ホーム
  • 介護老人保健施設 など

【介護保険外サービスの内容】

  • 家の周りの草むしり
  • 家事代行
  • 配食サービス
  • 買い物代行や散歩への付き添い
  • 見守りサービス など

介護保険サービスにも、洗濯・食事作り・掃除といった家事支援は含まれます。
ただし、介護保険サービスの場合、家事支援の対象はあくまで利用者一人のみです。

介護保険サービスを利用すれば、ホームヘルパーに利用者の食事を作ってもらえます。

しかし、ついでに利用者の家族の分まで頼むことはできません。

洗濯や掃除も同様です。

利用者以外の生活支援を含むサービスは、介護保険外サービスの範囲となります。
つまり介護保険サービスの利用者が、家族の分の食事作りを依頼したい場合は、介護保険外サービスも一緒に利用しなければなりません。

しかし現行では、介護保険と介護保険外サービスを同時に利用する混合介護は認められていません。

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現行の混合介護の課題


前述の通り、介護保険サービスと介護保険外サービスは同時に利用できません。

そのために利用者と事業者の両方に大きな不便を強いている点が、現行の混合介護の課題です。

まず前提として、介護保険サービスの利用者が介護保険外サービスを利用できるのかについて言及しましょう。
答えは「可能」です。
介護保険外サービスは、介護保険サービス利用者でも利用できます。

反対に介護保険外サービスの利用者が、新しく介護保険サービスを利用しても問題ありません。
ただし、利用の仕方に注意が必要です。

介護保険サービスと介護保険外サービスは、「同時かつ一体的」には利用できません。

たとえば利用者Aさんが、介護保険を利用して、ホームヘルパーBさんに食事を作ってもらっているとしましょう。
利用者Aさんは、一緒に家族分の食事も作ってほしいと考えています。
そこで介護保険外サービスの利用を思いつきました。
介護保険外サービスを利用すれば、家族分の食事作りも依頼できます。
しかし、利用者Aさんは現在、自分の食事作りとして介護保険サービスを利用中です。

現行で混合介護は認められていないため、Aさんは、ホームヘルパーのBさんに家族の食事作りを依頼できません。

上記のケースでは、実質的に介護保険サービスの利用者は介護保険外サービスを利用できないことになります。

Aさんが介護保険外サービスを利用するには、どうしたらよいでしょうか。
答えは、「続けて利用する」です。
介護保険サービスと介護保険外サービスは、明確に分けるという条件の下で連続して利用が可能です。
具体的には、Aさんの食事が完成した後ならば、BさんはAさんの家族の食事を作れるということです。

注意したいのは、介護保険サービスと介護保険外サービスを「明確に分けて」利用するという条件です。

もともと混合介護は全面的に禁止でしたが、2018年に緩和へ向けて厚生労働省が動きはじめました。
明確に分けるという条件も、2018年に新たに追加されたルールです。

Aさんの食事作りのケースでいえば、Aさんの食事作りと家族の分の食事作りは、明確に線引きしなければなりません。
どうやって線引きするかというと、ホームヘルパーBさんは、Aさんの食事を作り終えたら、いったん事業所に戻ります。

事業所では、介護保険を利用してAさんにサービスを提供した記録を作ります。
その後、再度Aさん宅を訪問し、Aさんの家族の食事作りに取りかかります。

このように、便利とはいえないスタイルです。

しかし、現行では、多くの事業所が同じ方法でサービスの提供時間を線引きしています。
なぜ明確な線引きが必要かというと、利用者の利益を守るためです。

たとえばAさんが希望していないにもかかわらず、Bさんが勝手にAさんの家族の食事を作るケースもあります。

Aさんは、家族分の食事作りサービスの料金を支払わなければなりません。

介護保険外サービス料金は全額自己負担であるため、Aさんの金銭的負担はとても大きいです。

事業者が利用者に不当なサービスを押し付けないためには、介護保険サービスと介護保険外サービスが明確に分類されることが必要です。
線引きが守られていることを証明するために事業者は、提供した介護保険外サービスの内容を文書で記録する義務があります。
サービス提供の前にも利用者に文書で内容を提示し、同意を得なければなりません。

そうはいっても実際には、AさんとAさんの家族の分の食事は一緒に調理したほうが便利ですよね。
Bさんにとっても、事業所とAさん宅を何度も往復するのは大変なことです。

現在は不便さを解消するために、混合介護の緩和に向けた動きが始まっています。

介護の相談について知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。

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混合介護の規制緩和の動向


混合介護の規制を緩和する動きについて紹介します。

規制緩和はいつから?

混合介護は2018年4月に一部緩和されています。

内容は、サービスの提供時間を明確に分ければ混合介護を認めるというものです。

おなじく2018年4月には、東京都の豊島区で混合介護のモデル事業が始まりました。
モデル事業は、平成30年4月~令和3年3月まで実施されています。

豊島区のモデル事業で可能になったことは以下の2点です。

  • 介護保険サービスと介護保険外のサービスが同時一体的に提供できる
  • 介護保険サービスの付加価値をつけた部分に料金を上乗せ設定できる

モデル事業の実施を受け、東京都保健福祉局は、豊島区以外でも混合介護の提供が可能だと報告しています。
つまり、全国的に混合介護が利用できるようになるのです。

しかし現在のところ、混合介護の全国的な規制緩和は実現していません。
実施予定も未定です。
理由として、各自治体で混合介護の体制整備が進んでいないことが挙げられます。

令和2年の政府の政策会議の資料では、各自治体によって混合介護のルール運用に差があると指摘されました。
今後は、混合介護に関する明確なルール作りが求められます。

参照元:介護サービスの生産性向上に関する論点

選択的介護モデル事業 東京都福祉保健局

規制緩和前と後で何がかわるの?

混合介護の規制の緩和は、利用者と事業者にさまざまな変化をもたらします。
具体的な変化をみる前に、混合介護の緩和によるメリットとデメリットをみていきましょう。

【メリット】

  • 利用者と事業者の利便性が上がる
  • 2つのサービスが一体的になることで、それぞれの質の向上が期待できる
  • 利用者の生活の質が向上する
  • 利用者の家族の負担が軽減できる
  • 事業者の収益が上がる

【デメリット】

  • サービスが高額化するおそれがある
  • 事業者が利用者に、法外な料金のサービスを不当に押し付けるおそれがある(詐欺)
  • 線引きがあいまいになるため、利用者がどのサービスを使えばよいか分かりにくくなる

デメリットは主に金額に関するものです。
利用者が不利益を被らないようなルール作りが求められます。

それでは混合介護の緩和の前後で、どのような変化があるのか紹介します。

訪問介護の場合

訪問介護における具体例を見ていきましょう。
ホームヘルパーに食事作り・草むしり・ペットの世話を頼みたい場合
規制緩和前では、ホームヘルパーはまず食事を完成させ、いったん事業所に戻ります。
その後、再び利用者宅を訪問して、草むしりやペットの世話を行います。
あるいは、食事作り中に別のホームヘルパーが来訪して、草むしりやペットの世話を行うケースもあります。
規制緩和後は、一人のホームヘルパーが食事作り・草むしり・ペットの世話を一度に全て行えます。
利用者と配偶者の世話を依頼したい場合

規制緩和前は、ホームヘルパーは利用者と配偶者の世話は明確に区別しなければなりません。
食事作りや食後の食器の片付け、部屋の掃除・洗濯も、すべて利用者の分のみが対象です。
配偶者の世話をするには、一度事業所に戻るか、別のホームヘルパーに依頼しなければなりません。

規制緩和後は一人のホームヘルパーが、利用者と配偶者の世話を一度にこなせます。

訪問介護について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。

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通所介護の場合

通所介護における具体例を見ていきましょう。
施設の行き帰りに買い物に寄りたい場合

規制緩和前は、原則として、施設の送迎中に寄り道はできません。
緊急性の高くない日用品の買出しのみが対象です。

規制緩和後は、施設の送迎中での寄り道が可能になります。
スーパーやレンタルショップに行く際でも、送迎スタッフに付き添ってもらえるケースもあります。

施設で過ごす時間で有料マッサージを受けたい場合

規制前は、介護保険サービスの利用中は、他の有料サービスは利用できません。
規制緩和後は、介護保険サービス時間内でも、他の有料サービスを利用できます。

よって、デイサービスの施設内に外部のマッサージサービスや鍼灸(しんきゅう)サービスを招くことも可能です。

療養通所介護について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。

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混合介護のまとめ


ここまで、混合介護についてお伝えしてきました。
要点を以下にまとめます。

  • 混合介護とは、介護保険サービスと介護保険外サービスを混ぜて利用すること
  • 混合介護が抱える問題は、利用者と事業者の双方に不便が多いこと
  • 混合介護が緩和された場合のメリットは利便性が高まる点だが、利用者に金銭的なリスクが発生するおそれがある

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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