介護施設は、施設によって提供サービスや入居条件が異なります。
とくに「ケアハウス」と「有料老人ホーム」は提供サービスが似ているため、選択に迷う方も多いでしょう。
本記事ではケアハウスと有料老人ホームの違いについて、以下の点を中心にご紹介します。
- ケアハウスのサービスとは
- 有料老人ホームのサービスとは
- ケアハウスと有料老人ホームの入居条件の違い
ケアハウスと有料老人ホームの違いを知るためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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ケアハウスと有料老人ホームのサービスの違い
ケアハウスと有料老人ホームは、どちらも高齢者の方向けの入居型施設です。
いずれも生活支援を主なサービスとしますが、大きな違いも多々あります。
主なサービスの違いは以下の通りです。
具体的なサービス内容の違いについては以下でご紹介します。
ケアハウス | 一般型 | ・生活支援サービス ・外部の介護保険サービス |
介護型 | ・生活支援サービス ・施設職員による身体的介護 | |
有料老人ホーム | 介護付き | ・生活支援サービス ・施設職員による身体的介護 ・機能訓練やリハビリテーション |
住宅型 | ・生活支援サービス ・介護サービス・外部の介護保険サービス | |
健康型 | ・家事サポート ・食事サービス ・レクリエーションやサークル活動、娯楽 |
ケアハウスのサービス
「軽費老人ホーム」とも呼ばれます。
その名の通り、高齢者の方向けの施設の中では比較的費用負担が軽い施設です。
ケアハウスにはA型・B型・C型・都市型の4種類がありますが、もっとも一般的なのはC型です。
C型のケアハウスは、さらに「一般型」と「介護型」の2種類に分かれます。
一般型ケアハウスについて
生活支援のみを行います。
具体的には、食事の提供のほか、外出時の付き添い、掃除・洗濯代行などのサービスが利用できます。
原則として介護サービスは提供されません。
もし介護保険サービスを利用したい場合は、外部サービスを別途契約する必要があります。
【一般型ケアハウスで利用できるサービス】
- 生活支援サービス(食事の提供、掃除、洗濯、外出時の付き添いなど)
- 外部の介護保険サービス(通所介護や訪問介護など)
介護型ケアハウスについて
一般型ケアハウスとのもっとも大きな違いは、介護保険法による「特定施設入居者生活介護」の指定を受けている点です。
すなわち介護型では、生活支援に加えて身体的介護を受けられる点が、一般型と違います。
身体的介護とは、たとえば食事・入浴・排泄などの介助です。
【介護型ケアハウスで利用できるサービス】
- 生活支援サービス(食事の提供、掃除、洗濯、外出時の付き添いなど)
- 施設職員による身体的介護(食事・入浴・排泄など)
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有料老人ホームのサービス
有料老人ホームは、生活支援や介護などのサービスを提供する入居型施設です。
提供サービスの種類によって、以下の3つに分類されます。
介護付き有料老人ホーム
他タイプの有料老人ホームとの違いは「特定施設入居者生活介護」の指定を受けている点です。
つまり介護付き有料人ホームでは、介護保険に基づく介護サービスが提供されます。
たとえば食事・入浴・排泄には職員による介助が行われ、寝たきり状態の方を受け入れているところもあります。
生活支援として、食事の提供や掃除・洗濯などのサービスも行われます。
また、機能訓練のほか、レクリエーションやサークル活動が充実しているのも、介護付き有料老人ホームの特徴です。
介護付き有料老人ホームは、形態に応じてさらに2種類に分類されます。
1つ目は「混合型」で、自立の方と要介護者が混合で入居するスタイルです。
2つ目は「要介護型」で、要介護者の方のみを受け入れています。
【介護付き有料老人ホームで利用できるサービス】
- 生活支援サービス(食事の提供、掃除、洗濯、外出時の付き添いなど)
- 施設職員による身体的介護(食事・入浴・排泄など)
- 機能訓練・リハビリテーション
- レクリエーション
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは、主に生活支援を行う入居型施設です。
しかし設備・人員配置は設備によって大きく異なるため、中には介護サービスを提供するところもあります。
一般的には、介護サービスが必要な場合は、外部のサービスを契約しなければなりません。
どのようなサービスが利用できるのか、入居前に内容をしっかり確認しましょう。
【住宅型有料老人ホームで利用できるサービス】
- 生活支援(食事の提供、掃除、洗濯、外出時の付き添いなど)
- 介護サービス・外部の介護サービス
健康型有料老人ホーム
家事サポートや食事の提供サービスを中心とする施設です。
基本的に、健康に問題がなく一人で自立した生活を送れる方を対象としている点が、他タイプとの違いです。
入居中に要介護へと移行した場合は、退去や別施設への引っ越しを求められることがほとんどです。
健康型有料老人ホームは、日々の生活を充実させるサービスが豊富です。
たとえばレクリエーションやサークル活動のほか、スポーツジムや温泉が利用できるところもあります。
ただし、他の介護施設と比べると、数はあまり多くありません。
【健康型有料老人ホームで利用できるサービス】
- 家事サポート
- 食事サービス
- レクリエーション・サークル活動・娯楽
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ケアハウスと有料老人ホームの入居条件の違い
ケアハウスと有料老人ホームの大きな違いは、入居条件です。
それぞれの入居条件について解説します。
ケアハウス | 一般型 | ・60歳以上 ・基本的に自立した生活が送れる |
介護型 | ・65歳以上 ・要介護1以上の認定を受けている | |
有料老人ホーム | 介護付き | ・65歳以上 ・要支援または要介護認定を受けている |
住宅型 | ・60歳以上 ・基本的に自立した生活が送れる | |
健康型 | ・60歳以上 ・自立した生活が送れる |
ケアハウスの入居条件
ケアハウスの入居条件は「一般型」と「介護型」で違います。
一般型ケアハウス
一般型ケアハウスを利用できるのは、60歳以上の単独者もしくは夫婦です。
夫婦入居の場合は、どちらかが60歳以上であれば、夫婦そろって入居できます。
もう一つ注意したい条件は、自立した生活が可能であるかです。
一般型は介護サービスを提供しないため、基本的には、自立した生活を送れる方しか入居できません。
手厚い介護を必要とする方や、入居中に要介護になった方は、入居を断られることがほとんどです。
具体的には、要介護3以上の方は入居できないケースが多いです。
【一般型ケアハウスの利用対象者】
- 60歳以上(夫婦入居婦の場合、どちらか一方のみで可)
- 基本的に自立した生活が送れる方(要介護度2以下が目安)
介護型ケアハウス
65歳以上の方が利用できます。
また、介護型への入居には、要介護1以上の認定を受けている必要があります。
【介護型ケアハウスの利用対象者】
- 65歳以上の方
- 要介護1以上の認定を受けた方
有料老人ホームの入居条件
有料老人ホームも、各タイプによって入居条件が違います。
具体的な入居条件は施設によって違いがあるものの、おおむね以下のような入居条件があります。
【介護付き有料老人ホーム】
- 65歳以上の方
- 要支援または要介護認定を受けている方
【住宅型有料老人ホーム】
- 60歳以上の方
- 基本的に自立した生活が送れる方
- 軽度の要介護者(要支援認定までが目安)
【健康型有料老人ホーム】
- 60歳以上の方
- 自立した生活が送れる方
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ケアハウスと有料老人ホームの人員配置の違い
ケアハウスと有料老人ホームでは、人員配置にも違いがみられます。
人員配置とは、スタッフ1人が対応する利用者の人数です。
たとえば3:1であれば、3人の利用者に対して1人のスタッフが配置されます。
通常基準の人員配置は3:1ですが、介護施設によっては2:1や1.5:1などの手厚い配置を行っているところもあります。
ケアハウスの人員配置
ケアハウスの人員配置は以下の通りです。
- 管理者=1人
- 要介護者+要支援者:生活相談員=100:1
- 要支援者:看護・介護職員=10:1
- 要介護者:看護・介護職員=3:1
- 機能訓練指導員=1人以上
- 計画作成担当者=1人以上(介護支援専門職員)
有料老人ホームの人員配置
有料老人ホームの人員配置についてタイプ別にみていきます。
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームの人員配置は以下の通りです。
- 管理者=1人
- 生活相談員=1人以上
- 要介護者:介護職員=3:1
- 要介護者:看護職員=30:1(ただし50人増ごとに+1人)
- 機能訓練指導員=1人以上
- 計画作成担当者=1人以上(介護支援専門職員)
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームの人員配置は以下の通りです。
- 管理者=1人
- 生活相談員=必要数
- 要介護者:介護職員=必要数
- 要介護者:看護職員=必要数
- 機能訓練指導員=必要数
健康型有料老人ホーム
健康型有料老人ホームの人員配置は以下の通りです。
- 管理者=1人
- 生活相談員=必要数
- 要介護者:介護職員=必要数
- 要介護者:看護職員=必要数
- 機能訓練指導員=必要数
参照元:「有料老人ホーム設置に関する主な基準及び手続き」
「特定施設入居者生活介護の概要」
ケアハウスと有料老人ホームの費用の違い
ケアハウスと有料老人ホームでは、費用面でも大きな違いがあります。
それぞれの費用相場をみていきましょう。
ケアハウスの費用
ケアハウスは、利用者の対象年収ごとに介護サービス費の負担額が異なります。
対象年収とは、実際の年収から医療費や社会保険料を差し引いた金額です。
たとえば対象年収が45万の方の月額費用は1万4100円です。
対象年収が85万円の場合、月額費用は4万3800円です。
実際には、介護サービス費に、食費・管理費・水道光熱費が加算された月額料金が請求されます。
施設によっては、入居時に初期費用として保証金を求められるところもあります。
参照元:「養護老人ホーム・軽費老人ホームについて」
有料老人ホームの費用
有料老人ホームの費用は支払方式によって異なります。
なお、支払方式は2つの種類があります。
1つ目は「前払い制」で、家賃や利用料をある程度一括して前払いする方法です。
前払い金は「一時入居金」とも呼ばれ、施設や部屋のグレードによって数万~数百万と幅があります。
2つ目は「月払い制」で、家賃や利用料を月ごとに支払う方法です。
厚生労働省の資料によると、平均月額料金は月額22.7万円です。
特定施設では、介護サービス費は要介護度ごとに決められています。
基本的には介護サービス費に、家賃・食費・水道光熱費が加算された料金が請求されます。
参照元:「特定施設入居者生活介護の概要」
「介護サービス情報公表システム」
ケアハウスと有料老人ホームの選び方は?
ケアハウスと有料老人ホームは、サービス内容などがとてもよく似ています。
そのため、どちらを選べばよいのか分からないという方も多いです。
ケアハウスと有料老人ホームの最も大きな違いは、費用です。
ケアハウスは、他の介護施設と比べると比較的安価で入居できます。
ただし、費用が安い分、やはり人気も高いです。
そのため、申込みから入居まで数年待たなければならないこともあります。
一方、有料老人ホームはケアハウスと比べて費用が高額です。
しかし、居室や提供サービスが多彩なのが魅力です。
有料老人ホームの方が、介護サービスはもちろん、日々の生活を充実させるためのレクリエーションや娯楽が豊富です。
多少高額でも、日々を充実させたいという方には、有料老人ホームの利用が向いています。
反対に、少し待ってでも、なるべく費用を押さえたいという方は、ケアハウスの利用がおすすめです。
サ高住と有料老人ホームについて詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
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ケアハウスと有料老人ホームの違いまとめ
ここまで、ケアハウスと有料老人ホームの違いについてお伝えしてきました。
要点を以下にまとめます。
- ケアハウスの提供サービスは「一般型」は自立生活支援のみだが「介護型」では介護サービスも提供される
- 有料老人ホームの提供サービスは「介護付き」は介護を含むが「住宅型」「健康型」は基本的に生活支援のみ
- ケアハウスと有料老人ホームの入居条件の違いは、年齢や要介護度認定の有無
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。