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健達ねっと>健康お役立ち記事>パーキンソン病>パーキンソン病患者はなぜ幻覚を見るのか?原因と治療法を解説!

パーキンソン病患者はなぜ幻覚を見るのか?原因と治療法を解説!

パーキンソン病は、しばしば幻覚症状を伴います。
幻覚症状を改善するには、薬物治療のほかに、介護者の適切な対応が求められます。

本記事では、パーキンソン病と幻覚について、以下の点を中心にご紹介します。

  • パーキンソン病の幻覚の原因
  • パーキンソン病による幻覚への対処法

パーキンソン病の幻覚の対策のためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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パーキンソン病とは

パーキンソン病とは、脳に異常が起きることで、身体が自由に動かしづらくなる疾患です。
主な症状は運動障害ですが、「うつ」「妄想」などの精神的な症状があらわれることも多いです。

【パーキンソン病の主な症状】

  • 静止時振戦(じっとしているときに手足が震える)
  • 筋固縮(筋肉が硬直して、手足や関節が動かしづらくなる)
  • 姿勢反射障害(身体がのバランスがとれなくなる)
  • 無動(動きが遅く・小さく・少なくなる)
  • うつ・妄想・幻覚などの非運動症状

パーキンソン病の症状について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。

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パーキンソン病患者の幻覚の原因

幻覚は、パーキンソン病の代表的な症状の一つです。
あるいは、パーキンソン病の治療薬が原因で幻覚が起こることもあります。

パーキンソン病の発症原因は、中脳に「レビー小体」という物質が蓄積し、「ドパミン」という神経伝達物質のバランスが崩れることです。
レビー小体はドパミンだけでなく、他の神経伝達物質や中枢神経にもダメージを与えます。

神経伝達物質とは、脳内の情報伝達を担うホルモンです。
よって、神経伝達物質に異常が起こると、脳の情報伝達がうまくいかなくなります。
結果として、幻覚や妄想のような症状があらわれるのです。

また、幻覚はパーキンソン病の治療薬の副作用としてもあらわれます。
とくに幻覚を起こしやすい治療薬には、以下があります。

  • ドパミンアゴニスト
  • MAO阻害薬
  • アマンタジン
  • トリフェキシフェニジル など

副作用による幻覚は、薬の服用期間が長いほど出やすい傾向があります。
服薬を中止したり、薬の種類を変更したりすると、幻覚症状はおさまることが一般的です。

また、パーキンソン病による幻覚には、もう一つの理由が考えられます。
それは、パーキンソン病による体調不良です。
とくに高齢の方の幻覚は、脱水症状や発熱といった体調不良が原因の場合も多いです。

さらにパーキンソン病では、レビー小体による中枢神経へのダメージにより、自律神経失調が起こりやすいです。

自律神経失調とは、交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで、心身にさまざまな不調をきたす状態です。
自律神経失調の代表的な症状には、便秘・脱水症状・めまいなどがあります。

つまり、パーキンソン病による自律神経失調が起こると、幻覚が起こりやすい状態に陥るのです。

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パーキンソン病患者の幻覚の治療法

ここからはパーキンソン病による幻覚に対する治療法をご紹介します。

治療薬の量や種類を減らす

幻覚の原因が薬の副作用ならば、まずは治療薬の量や種類を減らして様子を見ることが一般的です。
とくにドパミンアゴニストなどの治療薬は、幻覚を引き起こしやすいです。

薬によって幻覚症状があらわれている場合は、薬の量を減らしたり、薬の種類を変更したりすることで、幻覚がおさまる場合が多いです。

一般的には、以下の順番で薬剤の使用を中止していきます。

1. 抗コリン薬
2. ドロキシドパ
3. 塩酸アマンタジン
4. MAO-B阻害薬

神経伝達物質を補充する薬の服用

上記の薬剤の中止でも幻覚症状の改善がみられない場合、次に検討されるのが「ドパミンアゴニスト」の減量・中止です。

ドパミンアゴニストは、脳に「ドパミン」という神経伝達物質を補充するための薬です。
メリットは薬の持続時間が長い点ですが、かわりに幻覚などの副作用のリスクが高いです。

ドパミンアゴニストによって幻覚症状が出ている場合は、同じくドパミンの補充薬である「L-ドパ」を併用・増量して様子を見ます。
ただし、場合によっては、ドパミンアゴニストや抗コリン薬などの薬剤の減量・変更・中止が難しいこともあります。

幻覚を抑える薬の服用

治療薬を変更できない場合には、幻覚をおさえる治療薬を併用することが一般的です。

パーキンソン病による幻覚の治療薬として用いられるのは、「コリンエステラーゼ阻害薬」が代表的です。
コリンエステラーゼ阻害薬は、認知症の治療にも用いられます。

主な作用は、脳内の神経伝達物質の分解を防ぐことです。
脳内の神経伝達物質のバランスを整える作用があるため、結果として幻覚や妄想などの症状の軽減が期待できます。

コリンエステラーゼ阻害薬の代表的な薬剤は以下の通りです。

【コリンエステラーゼ阻害薬の主な薬剤】

  • アリセプト
  • レミニール
  • イクセロン/リバスタッチ

コリンエステラーゼ阻害薬には、副作用もあります。
たとえば筋肉が収縮し、ピクピクと震える症状などが見られます。

一方、パーキンソン病にはもともと、手足の震えなどのパーキンソン症状が見られます。
コリンエステラーゼ阻害薬の服用によって、パーキンソン症状が悪化することもあります。

パーキンソン病の悪化が見られた場合は、服用を中止するか、あるいはパーキンソン症状を抑える薬が処方されることもあります。

パーキンソン病の薬について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。

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非定型抗精神病薬の服用

コリンエステラーゼ阻害薬では、幻覚症状が改善されない場合もあります。
コリンエステラーゼ阻害薬の効果が十分でない場合は、次に「非定型抗精神病薬」が選択されることが多いです。

非定型抗精神病薬は抗精神病薬の一種です。
特徴は、副作用のリスクが低く、抑うつや感情の鈍麻といった非運動症状への効果が高い点です。

さらに、神経伝達物質の受容体に働きかけることで、脳の情報伝達を助け、幻覚・妄想などを軽減する作用もあります。

幻覚の治療に用いられる非定型抗精神病薬には、たとえば以下があります。

【幻覚の治療に用いられる主な非定型抗精神病薬】

  • セロクエル
  • ジプレキサ
  • ビプレッソ
  • シクレスト

ただし、抗精神病薬にも副作用のリスクはあります。

加えて、パーキンソン病の方は、薬に対する過敏性の傾向が強いです。
過敏性とは簡単に言えば、薬が効きすぎることです。
パーキンソン病の方に薬が効きすぎてしまうと、症状がかえって悪化することもあります。

とくに、薬剤の中でも抗精神病薬は、パーキンソニズムを引き起こしやすい薬剤です。
パーキンソニズムとは、パーキンソン病に似た症状のことです。
具体的には、手足の震えや筋肉の硬直といった運動症状を指します。

薬の副作用としてあらわれるパーキソニズムは「薬剤性パーキンソニズム」と呼ばれます。
もともとパーキンソン病の方であれば、パーキンソニズムの原因が病気か薬剤なのかは判別が難しいです。

よって、薬の服用後に少しでも体調・症状に変化が見られた場合は、すみやかに医師に相談し、副作用の悪化を防ぎましょう。

パーキンソン病の治療について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。

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介護者の対応方法

パーキンソン病による幻覚症状への対応方法について解説します。

否定せずに受け入れる

周囲からすればただの幻覚でも、本人にとっては紛れもない実体として見えています。
ときには幻覚によって、恐怖を感じていることもあります。

そのため、周囲から幻覚を否定されると、本人は戸惑い混乱してしまいます。
パニックになった結果、幻覚やパーキンソン病が悪化することも少なくありません。

よって介護者は、パーキンソン病の方が幻覚を訴えても、否定したり強く叱ったりするのはやめましょう。

パーキンソン病の方が幻覚を訴えた場合は、「こわかったね」「もう大丈夫だよ」のように、幻覚を受け入れる姿勢を示すことが大切です。
本人が「自分は理解されている」と感じられれば、それだけで幻覚症状がおさまることもあります。

幻覚が起きにくい環境を整える

幻覚は一般的に、暗い場所や、見通しの悪い場所で起こります。
たとえば、家具の物陰が人影に見えるなどのケースが代表的です。

幻覚を防ぐには、幻覚が起こりにくい環境を整えましょう。
具体的には、大きな家具を取り払ったり、照明を明るくしたりする方法があります。

また、壁のシミや汚れも幻覚のもととなりやすいので、きれいに拭き取りましょう。

体調不良などがないか確認する

幻覚は、便秘や発熱、脱水症状などの体調不良を原因として起こることもあります。
とくにパーキンソン病の方は、自律神経失調が起こりやすいため、心身に不調をきたすことが多いです。

パーキンソン病の方は、自身での適切な健康管理が困難な場合があります。
よって、介護者は本人に代わってしっかり健康管理を行いましょう。

幻覚の原因が心身の不調の場合、原因を取り除けば幻覚はおさまることが一般的です。

パーキンソン病の看護について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読みください。

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幻覚症状が止まないときの対処法

では、どうしても幻覚症状が治まらないときは、どうすれば良いのでしょうか。
具体的な対処法を解説します。

本人に話を合わせる

まずは本人に話を合わせてみましょう。
たとえば「部屋にヘビかいる」と訴えるなら、「見てくるからここで待ってて」のように対応します。

その後、しばらく時間をおいて、「追い払ったからもう大丈夫だよ」のように声掛けすると、本人の安心につながります。

周りから危険を遠ざける

ときには、幻覚によって本人が興奮状態になることもあります。
興奮状態になると、予想外の行動に出ることもあるため、本人の周りから危険を遠ざけておくことが大切です。

たとえば、ハサミなどの刃物は遠ざけておきましょう。
転倒を防ぐために、すべりやすい床には敷物を敷くなどの対策も必要です。

幻覚の原因を知る

すでに幻覚症状がある場合、原因を特定することが大切です。
幻覚症状の多くは、原因を取り除けば改善するからです。

幻覚の原因を特定するには、どのタイミングで幻覚があらわれやすいのかを観察しましょう。
たとえば、夜に幻覚が起こる場合は、家具の配置や照明に原因があるかもしれません。
よって、見通しや照明を工夫することで、幻覚の改善が期待できます。

あるいは病院帰りなどに幻覚がみられる場合は、病院に行く不安からパニックになり、幻覚を起こしている可能性があります。
本人が混乱しないよう、優しい声掛けを行うなどの対策を考えましょう。

薬の使い方

パーキンソン病の幻覚のまとめ

ここまで、パーキンソン病の幻覚についてお伝えしてきました。

要点を以下にまとめます。

  • パーキンソン病の幻覚の原因は、「パーキンソン病そのもの」「治療薬による副作用」など
  • パーキンソン病による幻覚への対処法は「薬物治療」のほか、「話を合わせること」や「幻覚が起こりにくい環境を整えること」

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
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  • 設立: 1999年11月24日
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