複数の介護サービスを同一事業所が提供するのが小規模多機能型居宅介護です。
利用目的によってはデメリットにつながる可能性もある小規模多機能型居宅介護ですが、どのようなサービスや仕組みがあるのでしょうか?
今回は、小規模多機能型居宅介護のデメリットについてご紹介した上で、その特徴やメリットになる点についてもご紹介します。
- 小規模多機能型居宅介護の登録定員数
- 月額定額制のデメリット
- サービスが固定されることで生じるデメリット
小規模多機能型居宅介護のデメリットに関する理解や利用される際の参考にしてください。
ぜひ最後までお読みください。
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小規模多機能型居宅介護とは?
小規模多機能型居宅介護は、中重度の要介護者が在宅生活を継続していくための支援を目的に創設されたサービスです。
通い、訪問、宿泊サービスを一つの事業所が提供するのが特徴で環境の変化が苦手な方でも、同一事業所の顔なじみのスタッフからサービス提供を受けられます。
また、小規模多機能型居宅介護は地域密着型サービスの位置づけとなっており、お住まいの住所と事業所の所在地が同じ市町村でなくては利用できません。
その他、利用料金は月額定額制となっており要介護度に応じて月々の支払額が決められています。
小規模多機能型居宅介護について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
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小規模多機能型居宅介護にもデメリットが?
小規模多機能型居宅介護は利用者によってはメリットの大きいサービスとなりますが、デメリットがないわけではありません。
あらかじめデメリットを知っておくことで、より有効なサービス利用が可能になります。
以下、小規模多機能型居宅介護のデメリットについて説明します。
併用できるサービスに限りがある
小規模多機能型居宅介護の主な提供サービスは「通い」「訪問」「宿泊」の3つのサービスです。
その他のサービスを利用したい場合には、自己負担限度額に余裕があれば保険適用によって利用できる介護サービスもあります。
以下、併用可能なサービスです。
- 訪問看護
- 訪問リハビリテーション
- 居宅療養管理指導
- 福祉用具貸与
- 住宅改修
以下、併用できないサービスです。
- 居宅介護支援
- 訪問介護
- 訪問入浴介護
- デイケア
- デイサービス
- ショートステイ
ケアマネージャーの変更が必要
介護保険サービスを利用されている方の場合、既に担当のケアマネージャーがついています。
しかし小規模多機能型居宅介護を利用するためには、事業所に所属するケアマネージャーへの担当変更が必要です。
これまでの担当ケアマネージャーと信頼関係ができていた方にとっては、ケアマネージャーの変更はデメリットになる可能性があります。
費用が高くなる場合もある
小規模多機能型居宅介護は月額定額制です。
サービスの利用頻度が少なくても、毎月要介護度に応じた金額の支払いが必要になります。
サービス利用頻度がそれほど多くない方にとっては、金銭面だけをみるとデメリットが生じてしまいます。
定員次第でサービス利用が難しい場合もある
小規模多機能型居宅介護は、小規模サービスに位置づけられているため、利用定員が29名以下とされています。
また、通いの場合は15名以下、宿泊は9名以下と決まっており、利用定員が上限になると利用できません。
利用希望日が他の利用者と重なる場合には、サービスを利用できずデメリットを感じてしまうかもしれません。
各サービスを個別に変更できない
小規模多機能型居宅介護では、「通い」「訪問」「宿泊」のすべてのサービスが同一事業所から提供されることになります。
たとえば、一部のサービスだけ気に入らず、宿泊だけは違う施設のサービスを利用したいと希望しても変更はできません。
その場合、他のサービスも含めて事業所ごと変更する必要があり、全ての提供サービスに満足できないとデメリットにつながる可能性があります。
事業所が一つになる
サービスを提供する事業所が一つになることにデメリットを感じる方もいるかもしれません。
前述の個別に変更できない点にも通じるところですが、他に気に入っているサービス事業所があっても、「通い」「訪問」「宿泊」については、契約した事業所からしかサービス提供を受けられません。
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メリットも多くある
ここまで小規模多機能型居宅介護のデメリットとなり得る部分について説明してきましたが、当然メリットもたくさんあります。
以下、小規模多機能型居宅介護のメリットについて説明します。
利用制限がない
小規模多機能型居宅介護はサービス利用回数に制限がありません。
一般的な居宅サービスであれば、利用した回数だけ利用料金が請求されます。
しかし、小規模多機能型居宅介護は定額制を採用しており、定員に空きがあれば何度でもサービス利用可能です。
月額が定額制である
小規模多機能型居宅介護は月額定額制を採用しています。
サービス利用頻度が少ない方にとってはデメリットとなり得ます。
逆にサービスをたくさん利用される方にとっては大きなメリットとなります。
三つのサービスを同時に利用できる
「通い」「訪問」「宿泊」の3つのサービスを同時に、利用回数に制限なく利用できる点は小規模多機能型居宅介護のメリットです。
リハビリや訪問看護などを中心にサービス利用したい方にとってはデメリットになる仕組みでも、この3つのサービスが主な利用目的であれば得られるメリットは大きいといえます。
スタッフが顔なじみになる
同一事業所によるサービス提供は環境の変化が少なく、顔なじみのスタッフからサービス提供を受けられます。
そのため、利用者も安心感を得られる点でメリットになります。
とくに環境の変化が徘徊などの周辺症状につながることもある認知症患者にとっては、環境の変化が少ないという点は大きなメリットです。
状況に応じたサービス利用が可能である
小規模多機能型居宅介護は臨機応変なサービス利用ができる点もメリットとしています。
定員に空きがあればいつでもサービスを利用できるため、急遽宿泊サービスの利用が必要な場合、利用調整してもらえることもあります。
小規模多機能型居宅介護とその他施設の違い
小規模多機能型居宅介護とその他施設の違いはどのようなものなのでしょうか?
様々な施設との違いをご紹介します。
デイサービスとどう違う?
通常、デイサービスは事業所の決められた時間帯での利用しかできません。
しかし、小規模多機能型居宅介護の通いでは、利用者の生活状況や都合に合わせて短時間利用などが可能です。
たとえば、午前中だけの利用や入浴だけを目的に利用するなどの対応も可能です。
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グループホームとどう違う?
グループホームは要支援2の方や、認知症の診断をされた方を対象とした介護施設になります。
小規模多機能型居宅介護には宿泊サービスがあるものの、施設入居サービスという位置づけではありません。
あくまでも自宅での生活を前提としたサービス利用になります。
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ショートステイとどう違う?
ショートステイは事前に予約された日程にあわせて施設に泊まることになります。
小規模多機能型居宅介護の宿泊サービスは、通いサービスの流れでそのまま宿泊へ移行したり、利用枠があれば急遽宿泊サービスを利用したりできます。
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小規模多機能型居宅介護の利用手順は?
小規模多機能型居宅介護は介護保険サービスとなるため、要介護認定を受けていなければ利用できません。
すべての要介護度に対応しており要支援1~2、要介護1~5の方まで利用可能です。
また、地域密着型サービスとなることから、住んでいる自宅の住所と事業所の所在地が同一市町村である必要があります。
条件を満たし、利用したい事業所に問い合わせることで事業所に所属するケアマネジャーなどから利用に向けた支援を受けられます。
似たサービスが他にもある?
看護小規模多機能型居宅介護は、これまで看護サービスが十分に受けられないことをデメリットとしていた小規模多機能型居宅介護に訪問看護が加わったサービスです。
「通い」「訪問」「宿泊」の3つのサービスは変わらず受けられるうえに、24時間365日の訪問看護サービスが利用できます。
ただし、訪問看護を利用する際には医師の指示書が必要となるため、事前に医療機関との相談が必要です。
看護小規模多機能型居宅介護について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
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小規模多機能型居宅介護とデメリットのまとめ
今回は、小規模多機能型居宅介護のデメリットについてご紹介しました。
小規模多機能型居宅介護のデメリットについての要点を以下にまとめます。
- 小規模多機能型居宅介護の登録定員数は、29名以下
- 月額定額制のデメリットは、サービス利用頻度が少ないと利用料金が高く感じられる
- サービスが固定されることで生じるデメリットは、サービスごとに事業所を変更できない点
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。