「介護保険サービスの居宅療養管理指導とは、いったいどのようなサービスなのだろう?」
「介護保険サービスの居宅療養管理指導のサービス内容や費用などについて詳しく知りたい。」
と上記のような疑問や悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
介護保険サービスの居宅療養管理指導とは、要介護者が自宅に居ながら自立した日常生活を送るサポートを行うサービスです。
また介護保険サービスの居宅療養管理指導にはメリットやデメリットがあるほか、往診や訪問診療とも特徴に違いがあります。
そこで今回は、以下について解説していきます。
- 居宅療養管理指導を利用する場所
- 居宅療養管理指導の利用料金
- 往診や訪問診療との違い
- 居宅療養管理指導の利用方法
ぜひ最後までお読みください。
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居宅療養管理指導とは?
※画像はイメージです
居宅療養管理指導とは、要介護者が自宅で自身の能力に応じ自立した日常生活を送ることができるようにサポートする介護保険サービスの一種です。
また利用者である要介護者の療養生活の質の向上を促す目的とした介護給付サービスでもあります。
居宅療養管理指導では、通院が困難な要介護者のため専門の療養指導員が居宅に訪問します。
専門の療養指導員は職種別にさまざまな指導員がいます。
専門の療養指導員についてそれぞれ紹介します。
医師・歯科医師
医師・歯科医師は、医学的管理や歯科医学的管理による継続的なサポートを行います。
またケアマネジャーによるケアプランを作成する際に必要な要介護者の情報などを提供しています。
さらに要介護者本人とその家族などに対し、在宅サービスを利用する際の留意点や介護方法などのアドバイスを行います。
薬剤師
薬剤師は、医師または歯科医師の指示に基づき服薬管理のサポートを行います。
服薬管理は特に複数の疾患を抱える要介護者のため、薬を服用させる的確性や正確性が重要視されます。具体的には、
- 処方された薬を正しく服用できる状態にする(形状を錠剤から粉剤にするなど)
- 内服薬を飲みやすいように一包化する
- 薬の袋一包ごとに薬剤の名前・服用タイミングを記す(朝食後・夕食後・就寝前など)
- 処方された内服薬に残薬が無く、正しく内服できているか確認する
- 重複投与・配合禁忌(同時に服用禁止の薬)に気を配る
などがあげられます。
管理栄養士
管理栄養士とは、栄養バランスはもちろんですが摂食(食べ物の量)・嚥下機能(飲み込む動作)・食事形態(食べ物の状態)などを管理します。
- 摂食:食べ物の量など過食・拒食に気を付ける
- 嚥下機能:食べ物の噛む力や飲み込む力を確認する
- 食事形態:主食・主菜・副菜などをミキサー・ソフト・きざみ・荒きざみ・一口大などにしているか確認する
などがあげられます。
また要介護者の慢性疾患(糖尿病や高血圧など)の症状や、それに合わせた食事指導を行います。
さらに栄養管理の仕方から、要介護者に合わせた献立と調理方法についてもアドバイスします。
歯科衛生士
歯科衛生士とは、歯科医師の指示に基づいた指導を行います。
- 口腔内や入れ歯の清掃の仕方
- 摂食・嚥下機能の管理指導
- 食事中の姿勢や食事環境の改善方法
などがあげられます。
要介護者に少しでも口から食べる楽しみを知ってもらうため、口腔機能の向上と口腔ケアの改善を行います。
看護師・保健師(廃止)
居宅療養管理指導の一つに、看護師・保健師によるサービスがありました。
しかし2018年4月1日に廃止とされています。
ただ保健師は、社会福祉士・主任介護支援専門員などとチームアプローチによる連携を取り住民の健康の保持と生活の安定に必要な援助を行う施設地域包括支援センターで包括的な支援を受ける事が可能です。
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居宅療養管理指導はどこで利用する?
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こちらでは居宅療養管理指導の利用シーンと対象者について解説します。
利用シーン
居宅療養管理指導の利用シーンは以下の通りです。
- 身体が不自由になり通院が難しい場合
- 認知症などの病気で服薬管理が難しい場合
- 健康の維持、または病気が悪化しないための栄養管理をしたい場合
- 義歯の手入れやケアなどの管理方法を知りたい場合
- 在宅介護の際の助言や指導が欲しい場合
多くの場合は要介護者にとって通院が困難で自立した日常生活を送れない時に利用することになると言えます。
対象者
居宅療養管理指導の対象者は高齢者(65歳以上)で要介護認定において要介護1以上を受けている方です。
また40歳から64歳の方でも、がんや脳血管疾患などの厚生労働省が2006年に定めた特別疾病により要介護1以上を受けている方も対象です。
特別疾病の種類は以下の通りです。
- がん(回復の見込みがない状態)
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靱帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
その一方で要介護認定で要支援1・2を受けている方は、介護予防居宅療養管理指導を受けることができます。
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メリットやデメリットは何がある?
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こちらでは居宅療養管理指導のメリット・デメリットについて解説します。
居宅療養管理指導のメリット
居宅療養管理指導のメリットは以下の通りです。
- 要介護者自身やその家族の負担を軽減できる
- ケアマネジャーと連携し最適な介護サービスを受けることができる
- 栄養管理・口腔管理・服薬管理など要介護者に合った必要な介護サービスを受けることができる
居宅療養管理指導のデメリット
居宅療養管理指導のデメリットは以下の通りです。
- 療養上の健康管理と指導が目的のため、医療行為が受けられず別サービス(往診や訪問診療など)を利用する必要がある
- 主治医(医師または歯科医師)の指示が無いと薬剤師・管理栄養士・歯科衛生士などのサービスを利用できない
- サービスには利用回数制限がある(月2回、数日間隔を空けるなど)
居宅療養管理指導の利用料金は?
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居宅療養管理指導の利用料金は300円から500円程度で利用することができます。
職種別と単一建物居住者数から比較した利用料金は以下の通りです。
- 医師(居宅療養管理指導Ⅰ)・・・1人514円、2~9人486円、10人以上445円
- 医師(居宅療養管理指導Ⅱ)・・・1人298円、2~9人286円、10人以上259円
- 歯科医師・・・1人516円、2~9人486円、10人以上440円
- 薬剤師(病院・診療所勤務)・・・1人565円、2~9人416円、10人以上379円
- 薬剤師(薬局勤務)・・・1人517円、2~9人378円、10人以上341円
- 管理栄養士(当該事業所)・・・1人544円、2~9人486円、10人以上443円
- 管理栄養士(当該事業所以外)・・・1人524円、2~9人466円、10人以上423円
- 歯科衛生士・・・1人361円、2~9人325円、10人以上294円
利用料金は介護保険1割負担・地域単価10円での計算となっています。
また単一建物居住者とは、マンションやグループホームなどに暮らす方を意味します。
利用料金について2点特徴があります。
- 居宅療養管理指導は介護保険サービスによる支給限度基準額の対象ではない
- 薬代などの医療費と交通費は別費用
往診や訪問診療とはどう違う?
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居宅療養管理指導と往診や訪問診療の違いはいくつかあります。
こちらでは各々の違いについて解説します。
医療行為があるかどうか
居宅療養管理指導では医療行為は行われません。
そのため医療行為が必要であれば、往診や訪問診療など別サービスを受けなければいけません。
ケアマネジャーと連携しているかどうか
居宅療養管理指導はケアマネジャーへの情報提供により連携が行われています。
しかし往診や訪問診療は報告の義務が無く連携していません。
なぜかというと居宅療養管理指導は介護保険であり、往診や訪問診療は医療保険が適用されるからです。
定期的か不定期か
往診と訪問診療の間にも違いがあり、それはサービスの利用が定期的か不定期かです。
往診は利用者または家族から依頼を受け不定期に行われます。
訪問診療は定期的な訪問があらかじめ決められています。
居宅療養管理指導を利用したいときは?
居宅療養管理指導を利用するにはいくつかの手順を踏みます。
まずケアマネジャーか医師に相談です。
ケアマネジャーに相談した場合は主治医(医師・歯科医師)に連絡が行き、サービスの必要性を判断します。
逆に医師に相談した場合もケアマネジャーと情報共有し連携を図ります。
次にケアプランの作成です。
ケアマネジャーと医師・歯科医師が連携しサービスの利用頻度と内容を決定します。
また医師・歯科医師が必要に応じて、薬剤師や管理栄養士、歯科衛生士などへ指示を行います。
最後に、契約しサービス利用開始です。
サービスの契約内容に基づき、利用が開始されます。
他に利用できる居宅サービスは?
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介護保険サービスの居宅サービスは居宅療養管理指導の他にも種類があります。
訪問介護(ホームヘルプサービス)
ヘルパーを自宅に招き、要介護者の自立した日常生活を送るサポートを行うサービスです。
主に、身体介護(食事介助・入浴介助・排泄介助・移乗介助・歩行介助など)や生活援助(掃除・洗濯・調理・買い物など)を行います。
介護認定で要支援1・2または要介護1~5を受けた方が利用できます。
また40歳から64歳の方でも厚生労働省が定めた特別疾病の診断を受けている方も対象です。
訪問介護サービスについてより詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
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訪問入浴介護
要介護者が自宅の浴槽での入浴が困難な場合に行うサービスです。
自宅まで専用の浴槽を運搬し、ヘルパーによる入浴介助を受けることができます。
介護認定で要支援1・2(医師から入浴許可を得た方)または要介護1~5を受けた方が利用できます。
また40歳から64歳の方でも、厚生労働省が定めた特別疾病の診断を受けている方も対象です。
訪問入浴についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
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訪問看護
看護師が訪問し、医師の指示に基づいた医療サポートを行うサービスです。
主に医療処置と医療機器の管理、褥瘡(床ずれ)の手当などを行います。
また身体に対する不安の相談も行うことができます。
介護認定で要支援1・2または要介護1~5を受けた方が利用できます。
また40歳から64歳の方でも、厚生労働省が定めた特別疾病の診断を受けている方も対象です。
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訪問リハビリテーション
理学療法士などが訪問し、医師の指示に基づいたリハビリを受けことができるサービスです。
主に、食事・着替え・トイレ・歩行などに必要な衰えた筋肉の強化や関節硬化の防止を行います。
また要介護者の家族に対して介助方法のアドバイスも行います。
介護認定で要支援1・2(介護予防訪問リハビリテーションの対象者)または要介護1~5を受けた方が利用できます。
また40歳から64歳の方でも、厚生労働省が定めた特別疾病の診断を受けている方も対象です。
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介護保険の居宅療養管理指導のまとめ
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こちらの記事では、介護保険サービスの居宅療養管理指導について詳しく解説しました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 居宅療養管理指導とは要介護者が自宅で自立した日常生活を送る支援サービスのこと
- 居宅療養管理指導の利用料金はおよそ300円から500円程度
- 往診や訪問診療との違いは医療行為とケアマネジャーとの連携の有無
- 居宅療養管理指導を利用するには、まずケアマネジャーか医師に相談する。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。